この記事は「インフレっていまいちわからない」と感じている人向けの、ポイントを押さえた解説記事です。5分で誰でも「インフレってこういうことか!」と、深めに理解できるように書いています。
インフレを簡単に説明
まずインフレの基本原理と、2種類のインフレを簡単に解説します。
インフレの基本原理を簡単に言うと……
インフレの基本原理を簡単に言うと「需要>供給」です。逆にデフレは「需要<供給」の状態です。
ネットオークションでほしい人(需要)が多いと、商品の値段はつり上がっていきます。ほしい人がいないと、値段がつきませんよね。基本的にはこれと一緒です。
需要が大きく、供給が少ないと「物価が上がる=貨幣価値が下がる」状態、つまりインフレが起こります。去年は100円で購入できたものが、今年は105円の値がつく状態です。
なお「貨幣価値が下がる」が、簡単には理解しづらいかもしれません。
去年はリンゴ1つが100円でした。今年はリンゴが1つ105円です。
リンゴの価値が一定なら、リンゴ1つを「100円で買えなくなった」ので「貨幣の価値が下がった」と見なせます。
貨幣とは忘れがちですが、定規の目盛りのように常に一定ではないのです。
ものの価値を表す尺度であるとともに、貨幣自体も価値が上下するのでややこしくなるのですね。
デマンドプルインフレ
デマンドプルインフレのデマンドとは、日本語で需要の意味です。「需要がインフレに押し上げること」を、デマンドプルインフレと言います。
景気がよくなって需要が拡大し、「需要>供給」の状態になることです。デマンドプルインフレは景気拡大を伴うので「良いインフレ」と表現されることも。
コストプッシュインフレ
コストプッシュインフレには諸説ありますが、簡単に言えば「原材料の価格が高騰して、インフレになること」です。
日本の場合は石油、鉄鋼などの高騰で陥る場合があります。
コストプッシュインフレは景気拡大を伴わず、値段だけが上がり庶民の生活が苦しくなることが多いので「悪いインフレ」と表現されることも。
資本主義とインフレの関係を簡単に言うと
インフレやデフレとは、資本主義で起こる現象です。資本主義とインフレはどのような関係にあるのか、簡単に説明します。
資本主義ではインフレが当たり前
資本主義はインフレが健全な状態です。逆にデフレは資本主義では、もっともだめな状態のひとつです。
なぜ資本主義は、インフレでないとダメなのでしょうか。インフレとは「需要>供給」の状態であり「物価が上がる=貨幣価値が下がる」状態です。
お金を持っていても価値が下がっていくなら、企業や個人は消費や投資をします。資本主義は投資によって回りますから、お金の価値が減って投資に回るインフレは、望ましい状態です。
逆に投資や消費が減少するデフレは、資本主義が病気になったと言えます。
インフレは簡単に過剰にならない
世間では経済学者や有識者が、すぐに「ハイパーインフレ! インフレ怖い!」と言います。これは病人が、健康になるのを恐れているようなものです。
インフレは通常、簡単に過剰になりません。ハイパーインフレが起きた理由の多くは、戦争や革命などの混乱、もしくはインフレ過剰気味でさらに、インフレ加速政策を採ったことにあります。
資本主義はインフレが健全な状態ですから、恐れる必要はありません。
過剰なインフレが起こりそうになったら
それでも、もし過剰なインフレが起こりそうなら? インフレの抑制は非常に簡単に行えます。
金利を上げれば簡単に抑制できる
中央銀行が金利を引き上げれば、インフレは簡単に抑制できます。
インフレが過剰になるのは、以下の2つのどちらかです。
- 戦争や革命などの混乱で、焼け野原にされて供給ができなくなる
- 需要の投資が膨らんで、投資が投資を呼ぶプチバブル
1.のケースは、インフレどころの騒ぎではありません。諦めましょう。
2.が一般的なケースです。投資をするには、借金をする必要があります。借金の利息が高ければ、投資を抑制することができます。
それでダメなら緊縮財政
中央銀行が金利を上げても、まだインフレが過剰気味なら緊縮財政で抑制できます。投資に向かうお金を、税金で回収してしまえばOKです。
もしくは政府が支出を絞ることで、需要を少なくすることも可能です。
インフレの簡単な説明まとめ
余談ですが戦後、世界中の国家は「デフレにだけはなりたくない!」と思い、国家運営をしてきました。なぜならインフレは比較的簡単に制御できますが、デフレは抜け出すのにパワーがいるからです。
20年以上もデフレ、ないしデフレギリギリの日本はおかしいです。経済政策の大失敗、としか言えません。
閑話休題。
インフレという経済用語を、深く理解していくと経済全体が見えてきます。そのとっかかりになれば幸いですよ。