財政破綻とは-定義・構造・文章での使用例などを解説

 日本では度々、財政破綻という言葉が報道や記事になります。けれど財政破綻という言葉を、正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

 「財政破綻 とは」と検索しても、他の単語と同じように単語の解説が出てきません。財政破綻の意味を正確に定義せずに、日本は財政破綻を恐れていると言えます。

 財政破綻を定義し、どのようなものかを認識してもらうために解説します。

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財政破綻の定義とは

 財政破綻の定義のために、財政と破綻それぞれの単語を見ていきます。

財政とは

国家や地方公共団体がその任務を遂行するために営む経済行動

財政 – Wikipedia

 かみ砕いて言えば「国家が自分たちの目的に沿った、運営や活動をするための収入や支出」が財政です。

破綻とは

1 破れほころびること。
「処々―して、垢染 (あかじみ) たる朝衣を」〈竜渓・経国美談〉

2 物事が、修復しようがないほどうまく行かなくなること。行きづまること。「経営に破綻を来す」

破綻(はたん)の意味 – goo国語辞書

 財政破綻のケースでは、2の意味で使用します。手詰まりにある、行き詰まる、立て直せないなどの状態になってしまうことを破綻すると言います。

財政破綻とは

 財政の目的は「国家や地方公共団体の任務」であり、手段として「経済行動が付随する」だけです。

 国家や地方公共団体の任務が「手詰まりになる」「果たせなくなる」ほどに、経済行動を制限されることが「財政破綻」と定義できます。

 経済行動の制限とは何か? 債務不履行(デフォルト)によって生じる、様々な制限です。つまり財政破綻とは、以下の構造で定義されます。

  1. 国家や地方公共団体の任務が目的
  2. その手段としての経済活動が制限され、目的が果たせなくなる
  3. 経済活動の制限は債務不履行によって生じる

 なぜ財政破綻が悪いのか? と問われれば「国家や地方公共団体の任務が果たせなくなるから」です。「債務が返せないから」ではありません。

問い直すべき国家や地方公共団体の任務

 現在の日本は、プライマリーバランス至上主義です。しかし財政とは「国家や地方公共団体の任務」のために存在します。

 果たしてプライマリーバランスは、国家の目的でしょうか? 何のために政府が存在しているのかを、いまこそ考え直す時期ではないでしょうか。

 プライマリーバランスや国の借金と言って、日本が自ら国家の経済活動を制限するのは、セルフ経済制裁ないし仮想財政破綻のように思えます。

財政破綻する構造としない構造

 財政破綻は、国家などの経済活動が制限されることから生じます。その経済活動の制限は主に、債務不履行(デフォルト)で起こります。

 では債務不履行とは、どのようにして起こるのでしょうか?

  1. お金を借りて債務を負う
  2. 債務に対して利息を返済する
  3. 収入が足りず利息や債務が払えず、債務不履行(デフォルト)する

 上記のプロセスで注意してほしいことは、「お金は自分で作れない、発行できない」ことが前提条件になっているところです。自分で発行できるなら、利息も債務も返済が滞るなどあり得ません。

 地方公共団体の場合、通貨発行権がありません。従って上記のプロセスで理解して、間違いありません。一方で国家は、通貨発行権を所有しています。

 通貨発行権の有無など、想定されるケースでどうなるのかを解説します。

通貨発行権があり自国通貨建て国債のケース

 通貨発行権があり自国通貨建て国債のケースで、財政破綻することはあり得ません。自分でお金を発行できるのに、それを借りて返せなくなるなんて話はおかしいですよね。

 通貨発行権あり&自国通貨建て国債では、債務不履行(デフォルト)に陥ることは理論上不可能です。

通貨発行権があり外貨建て国債のケース

 外貨建て国債は、その外貨で返済する必要があります。従って自国の通貨発行権は関係ありません。外貨建て国債は、債務不履行(デフォルト)に陥って財政破綻する可能性があります。

通貨発行権がないケース

 EUはユーロという共通通貨です。つまりドイツにもイタリアにも、ユーロの発行権はありません。よって通貨発行権を、EUのそれぞれの国家は持っていません。

 通貨発行権を所有していないので当然、債務不履行(デフォルト)に陥って財政破綻する可能性があります。

通貨発行権があり自国通貨建て国債だが、固定相場制のケース

 通貨発行権があり、国債も自国通貨建て。けれども固定相場制なら、財政破綻する可能性があります。実際にロシアは、このケースで財政破綻しました。

破綻する自国通貨建て国債、破綻しない自国通貨建て国債 - 進撃の庶民
「自国通貨建ての国債では、財政破綻(この場合はデフォルト=債務不履行、借金が返せなくなること)はあり得ない」と言われますが、実は自国通貨建ての国債でも財政破綻する場合があります。 無論、「絶対に財政破綻はあり得ない自国通

 要約すると「固定相場制は自国通貨を、他国通貨で担保してもらっている状態。よって完全な通貨主権がなく、よって債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある」と言うわけです。

財政破綻と経済破綻の違い

 関連キーワードで、財政破綻と経済破綻は同じ検索意図で検索されます。けれど財政破綻と経済破綻は、似ているようで異なります。

 財政は、国家や地方公共団体に限定した経済活動です。経済という定義には、もちろん民間も入ってきます。財政破綻は国家や地方公共団体だけとすれば、経済破綻とは日本の企業や個人も含めた、もっと広範囲な破綻です。

財政破綻という言葉の定義を正しく使いこなそう

 日本では「国債がGDP比で200%になり、日本は財政破綻寸前だ!」という、不正確極まりない言説がさも現実のように語られます。

 新聞やテレビ、マスメディアや有識者、果ては学者までもが「借金が大きくて大変だ!」と言います。誰しも報道や記事で、見たことがあるでしょう。

 けれど実際は、日本が財政破綻することは現状ではあり得ません。通貨発行権があるからです。
 むしろ財政破綻だ! だからプライマリーバランスだ! と、ありもしない危機をでっち上げて「国家や地方公共団体の任務」を妨げている状態は、非常に不健全です。

 財政破綻という言葉を正しく理解することで、現実への認識も変化するのではないでしょうか。

 もっと詳しく知りたい方は、三橋貴明氏の著作がおすすめですよ。

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