「#Amazonプライム解約運動」タグが、Twitterを騒がせています。報道でもAmazonプライム解約運動がニュースになっています。
ある種の炎上、ないしそれに近い状態です。Twitter上でも賛否両論があり、喧々囂々の議論(?)が交わされています。
Amazonプライム解約運動がなぜ起こったのか? 起きた理由やきっかけ、そしてAmazonプライム解約運動の根底にある幼稚さまでを、深掘りして解説します。
「#Amazonプライム解約運動」炎上の内容とは
現在何が起きているのかを、まずは説明します。
概要
きっかけはAmazonプライムのCMに、三浦瑠麗氏と松本人志氏が出演したことです。Amazonプライム解約運動のきっかけのメインは、三浦瑠麗氏です。
三浦瑠麗氏が常々主張していた徴兵制への反発や、過去の差別発言(?)が運動の動機です。「レイシストをCMに起用するなんて!」が、Amazonプライム解約運動のきっかけです。
三浦瑠麗氏をCMに起用したAmazonに対して、Amazonプライムを解約することで抗議するのが、この運動の要旨です。
「#Amazonプライム解約運動」のタグが作られ、Twitter上で大いに盛り上がっています。アマゾンプライム「解約しました」 ツイッターで拡散 きっかけは… – 毎日新聞のように、新聞記事になるほどです。
Amazonプライム解約運動の運動主体は、リベラル左派と思われます。
三浦瑠麗とは
Amazonプライム解約運動のきっかけである三浦瑠麗氏とは、どんな人物でしょうか。1980年生まれで、筆者と同年です。国際政治学者で、テレビでは若手の女性論客として活躍しています。
徴兵制を前々から主張しています。イデオロギーはWikipediaによれば外交タカ派、経済リフレ派、政治はリバタリアンだそうです。
小泉純一郎元総理の新自由主義・保守路線が、三浦瑠麗氏のイデオロギーのようです。新自由主義・保守路線は1990年代以降に広まり、2000年代に日本に定着しました。
現在では保守と呼ばれる有識者のほとんどが、新自由主義・保守路線です。
なおエドマンド・バークからの保守思想を知っている人は、新自由主義・保守路線をエセ保守と揶揄することも。
新自由主義・保守路線は、ネトウヨとも相性のいいイデオロギーです。
国際情勢を鋭く分析することもあります。しかし筆者の印象では、当たり外れが大きい評論家です。
三浦瑠麗氏がレイシストと評されるのは、三浦瑠麗氏、ワイドナショーでの発言に批判殺到 三浦氏は「うがった見方」と反論(アップデート) | ハフポストの発言からのようです。
発言要約「北朝鮮のスリーパーセル(テロ工作員)が潜んでいて、大阪などの大都市がヤバい」
Amazonプライム解約運動で興味深いツイートまとめ
三浦瑠麗氏を起用したAmazonに抗議するツイートが多いですが、同じくらいAmazonプライム解約運動そのものを「バカバカしい」と評するツイートも多いです。
Amazonに抗議し、Amazonプライム解約運動に賛同するツイート
Amazonプライム解約運動をバカバカしいとするツイート
Amazonプライム解約運動はバカバカしいか、社会運動か
Amazonプライム解約運動について深掘りして、その構造を検討してみます。
先に申し上げておくと筆者は、Amazonプライムに入っています。三浦瑠麗氏は好きでも嫌いでもありません。
Amazonプライム解約運動に悪者はいるか?
Amazonプライム解約運動は「Amazon」「三浦瑠麗」「抗議するリベラル左派」「抗議活動をバカバカしいとする人たち」の4要素があります。
一般的にCMは、好感度の高いタレントを起用します。しかしどのタレントを起用しようが、それは企業の自由です。よって三浦瑠麗氏を起用したAmazonに、特に瑕疵は見当たりません。
三浦瑠麗氏は前々から、徴兵制や右派的主張をしていました。CMに起用された後で、好感度を下げる言動やスキャンダルがあったわけではありません。よって三浦瑠麗氏にも瑕疵はない。
しかし起用したタレントに、反発するのも消費者の自由です。もちろん解約も自由ですし、解約を呼びかけることも自由です。
しかし一方でAmazonプライム解約運動を、バカバカしいと批判するのもまた自由。
Amazonプライム解約運動に、明確な悪者は存在しません。
……運動している当人たちからすると、Amazonと三浦瑠麗氏が悪者なのかもしれませんが。
イデオロギーと人物への印象が一体化している現象
政治議論でよくある「主張=人格という誤認識」現象をしっていますか? 主張が異なる=敵とする認識です。
主張が異なる=敵と認識するには、主張=人格と思い込むことが必要です。自分の主張を否定されることは、イコールで自分の人格を否定されることと感じる場合、主張が異なる=敵という認識に辿り着きます。
このことを踏まえた上で、以下の議論に進みます。
AmazonのCMは政治ではありません。三浦瑠麗氏にとってみれば、CMというタレント仕事でしょう。しかし「三浦瑠麗の政治主張が気に食わない! CMに起用するな!」と批判されました。
不買運動まで起こされました。
ならば「CMなどに出ているタレントは、政治主張をすると、CMに差し障る」という結論になります。なぜなら万人から批判されない政治主張など、あり得ないからです。
したがって日本では、有名人ほど政治的な発言をしにくくなります。
これは主張=人格という誤認識、ないし幼稚な考え方が原因ではないでしょうか。
便利さ or 信念の2択なのか?
筆者はAmazonプライムに入ってます。はっきり言って超便利。月々500円で動画見放題、送料無料、音楽聴き放題。
筆者の政治主張は「新自由主義ってあかん奴や!」です。そしてAmazonはグローバル資本であり、グローバル企業です。
しかし、政治主張と異なるから利用しない! なんてことはしません。普通に利用します。
「それはそれ、これはこれ」ですよね。
「三浦瑠麗が出ているから、Amazonプライムを解約しました!」って力説して、「おお! すごいな! 君は信念の人だ!」とはなりません。普通は。
「何言ってんだ? こいつ」が、一般的な感想じゃないですかね。
「利便性を犠牲にしてまで、自分の信念を貫いている(俺かっけー)」と思っているのかもしれませんが、解約する必要があったのでしょうか。
むしろ「Amazonプライム入ってますが、あのCMは嫌でした」の方が、抗議になりそうです。
不買運動が成功しないわけ
不買運動に成功事例はほとんどありません。今回の、Amazonプライム解約運動も失敗に終わるでしょう。なぜか? 簡単な話です。
第一に、不買運動にはゴールが設定されていません。謝罪させたいのか、撤退させたいのか、ダメージを与えることだけが目的なのかetc……。
第二に不買運動は、持久戦になります。一方で人間の情熱に、持久力はありません。
第三に政治的な主張を通すために、不買運動である必要があるのか。不買ではなく、抗議活動で代替できる場合がほとんどです。
- ゴールが設定されていない
- 持続性がない。2週間後にはほぼ忘れられている、1年後には思い出すのも困難
- 不買運動である必要性がない
こうして大抵の不買運動は、一時期のブームとして報道され、消費されるのがオチです。「不買」運動なのに「消費」されるとは、これいかに(笑)
Amazonプライム解約運動の構造まとめ
Amazonプライム解約運動の構造は「レイシストである三浦瑠麗を起用するなんてけしからん! 三浦瑠麗に仕事を与えるなんて! 抗議して仕事を取り上げよう!」が本質です。
「気に食わないあいつを追放しろ!」が、Amazonプライム解約運動と言えます。
今回の運動に加わった人たちは今後、口が裂けても「有名人ももっと、政治発言をするべき!」と主張しないようにしましょう。
過去の政治発言で叩かれて仕事を失うなら、誰も政治発言なんてしないでしょう。そんな不寛容で非リベラルな全体主義社会なんて、筆者はまっぴらごめんです。
最後に謎かけをしましょう。
「多様性が大事と主張する人たちは、『多様性の否定』という多様性を肯定できるか?」
ぜひ皆さんも、考えてください。
>ならば「CMなどに出ているタレントは、政治主張をすると、CMに差し障る」という結論になります。なぜなら万人から批判されない政治主張など、あり得ないからです。
そういうことだと思います。
例えば、安倍ちゃんを批判してる人は日本人の約半分くらいいます。
ということは、安倍ちゃんの批判をすれば日本人の約半分くらいからは支持される可能性が高いのです(「よう言ってくれた!」って感じで)。反面、安倍ちゃんを応援しているもう半分の日本人からはあまり良い顔はされません。(逆もまたしかりです)
これは理屈ではありません。そういうものなのです。
居酒屋でしてはいけない話題で、政治・野球・宗教と言われるようなものです。
欧米のタレントがわりと政治の話をしても平気なのは、日本よりも社会の2分化が酷く進んでいて、どちらかを敵にまわしても食いっぱぐれないくらいにはそれぞれの支持層が強固だからではないかと思います。(例えば、トランプの岩盤支持層なんかは、アメリカ国民の3割前後みたいに言われていたと思います)
日本の岩盤支持層は、ネトウヨもパヨクも諸外国に比べればさほど多くもなく・・、それらによっぽど迎合するようなタレント、もしくは言論活動をしていなければ、政治的発言をする芸能人は飯の種を得ずらくなるのではないかと思います。
上記のようなことがありますので、最初から自身のスタンスをある程度明確にしているような政治評論家等なら兎も角・・、芸能人が政治的発言をするのは日本においてはある程度リスキーなことになるのではないかと思います。
もちろん、それでも政治的発言をするかどうかは、それぞれの個々人の自由ということになります。
(ただし、国民からの支持率10%以下の政府とかでしたら、せこいようですけど批判することに関するリスクは少なくなります)
(しかし、支持率10%以下でも、強権的独裁国家だと逆の意味でリスキーにはなります)
(日本は、政治的迫害(投獄・収監)を受けるリスクは少ないので、飯の種のことを気にしないようならば、芸能人でもいくらでも政治的発言をできると思います)
おっしゃるとおりなんですけど、すごく今の状況に違和感バリバリなんですよね。
いわゆるリベラル左派って「みんなで話し合おう! 民主主義! 政治に関心を持つべき!」と主張するわけじゃないですか。
でも叩かれる恐れがあるなら、おっしゃるとおり芸能人が政治的発言をするのはリスキーなわけです。
そして叩いている本人が、リベラル左派に分類される人たちなわけで。
なんだかなぁ……という感じですね~。
シンプルに言ってしまえば、ネット右翼が保守などと呼べない紛い物だというくらいには・・、世間でリベラル左派って言われている人たちも、リベラルとは呼べない紛い物だということなのではないかと思います。
(そもそも、自衛隊という違憲組織を囲っておきながら、憲法を守れ(護憲)などという人達なのですから、まあ、結局は紛い物なのだろうなあとは思います)
(共産党も最終目的に憲法1条破棄があるくらいには改憲を考えているだろうに、護憲て言ってしまうのはギャグなのかなあと思います)
手厳しいことを言うようですが、香港や台湾の人権や自由を守れとまともに声一つ上げられない日本の一般的に言われてるリベラル左派勢力は、所詮、自由や人権を政権批判の道具ぐらいにしか思っていなくて、本気で自由や人権を考えたことがない半端な人達なのではないかと思います。
また、ちょっとこれは蛇足みたいな話しではあるんですが・・、
この今回の記事とちょうど逆のような話がちょっと前にあったのです。
それは、Netflixっていう動画配信サイトで配信した、『日本沈没2020』というアニメ作品についてなんです。
自分はこの作品を見てはいないのですが、配信当時、反日的とだいぶん騒がれた作品なのです。(で、ネット右翼みたいなのがNetflix退会しましたみたいのをやってたんですね)
ただし、感想サイトとかそういうのを注意深く見てみましたら、実は反日的というよりかは、ただたんに話がまとまってなくてとっちらかっていて、純粋に作品としてあんまり楽しめなかったっていうのが真相っぽかったです。(ただし、沈没先が日本列島のみならず、朝鮮半島南側もなぜか巻き込まれて沈没しているという話しを見て、これは韓国系の北シンパ的イデオロギーだけは感じざるを得ないなとおもわず思わざるをえませんでしたが(笑))
ただ、ネトウヨ系言論人の1人である上念司さんなんかは、この日本沈没2020について、いやこれは実は愛国的なんじゃね、的なことさえ言われていました。
まあ、純粋に物語としてまとまりがなく楽しめなかったっていうのが真相っぽい話ではありますが、一部ネット右翼は反日的と浅く考えて、当時、突撃かましてたんですね、Netflixに・・。(つまんねー話しとだけ言ってればすんでた話なんですが・・)(ただおもしろいと言っている人も一部いる感じでした。個人的には少なめの印象ではありましたが・・)
今回の記事で、上記のようなことを思い出して、左右(パヨク・ネトウヨ)そろって似たようなことしてるんだなあと、興味深いなと思って見てしまいました・・(^^;)
>世間でリベラル左派って言われている人たちも、リベラルとは呼べない紛い物
これに尽きますよね。
リベラリズム(自由主義)なのに、自分たちの意見に反する議論は認めないという(笑)