小さな政府とは何でしょうか? なんとなくイメージで「こんな感じ」と思っていませんか?
「小さな政府とは何か?」と具体的に聞かれて、しっかり答えられる人は少ないと思います。小さな政府のポイントを、今回は解説します。
しっかり覚えておくことで、記事や報道を考える視点が変わりますよ。
小さな政府とは何かのポイント
小さな政府のポイントとは市場原理を重視し、 経済への政府の介入を極力小さくする 政策又は思想です。 主流派経済学や新古典派経済学が採用している思想であり、低負担低福祉の社会を目指すことを目標にしています。
しかしその反面、自己責任が厳しく問われる、格差が拡大するなど様々な問題点も指摘されています。 小さな政府は、最小国家や夜警国家という表現をされることもあります。
小さな政府の特徴的な政策は、以下の3つです
- 政府支出の最小化
- 規制緩和による市場競争の強化
- 低福祉な自己責任社会
小さな政府は最終的に、政府が外交と治安維持以外しなくてよいと言う結論に行き着きます。これが先ほど書いた、夜警国家と言われるものです。
小さな政府を目指していると判断できるポイントとは
緊縮財政と規制緩和は、小さな政府の代表的な政策です。規制緩和や構造改革が行われる政府は、小さな政府を目指していると判断してよいでしょう。
実際の例では水道事業民営化や入管法改正、日米貿易協定などの自由競争などが規制緩和や構造改革になります。他にも公務員数を減らしたり、行政を効率化して政府支出を減らそうとしたり……これらは、小さな政府を目指す政策になります。
換言すれば小さな政府とは、極度の効率化と合理化を目指すことです。
小さな政府と大きな政府で判断しづらいポイントとは
日本は年々、政府の予算額は増えているから小さな政府ではないのでしょうか?小さな政府はいくつものバリエーションがあり、日本も小さな政府志向です。
例えば租税が高負担であっても、厚い福祉や社会保障がされているとは限りません。納税した税収が、国債の償還に使用されているケースもあります。
実際に日本の場合、2014年に消費税増税した金額の8割が、国債の償還に使われていました。消費税は社会福祉に使用すると言っていたのは、真っ赤な嘘でした。
このように高負担低福祉というケースも、小さな政府ではあり得ます。
つまり小さな政府を目指しているかどうかは、予算の絶対額ではなく税収と政府支出のバランスで見なければなりません。最も判断しやすいのが、デフレを脱却できているかどうかでしょう。
政府支出が適切であれば、そもそもデフレにはなりません。逆に政府支出が過少であれば、デフレに陥ります。
現在はデフレないしデフレギリギリの状態ですから、政府支出は決して大きいとは言えません。
日本は1998年から、ずっとデフレを続けています。従って20年以上、小さな政府を目指し続けてきたということになります。
小さな政府は経済的自由を求める思想
小さな政府とは新古典派経済学が主に支持する経済的自由を求める思想です簡単に言えばたくさん儲けた人に大きな税金をかけてがっぽりとお金を取っていく政府は主流派経済学的には自由を侵害しているのです
しかし市場原理に任せていては、格差がどんどん拡大します。市場では大きな資本を持ったものが勝ちますから、大資本が常に勝利します。
格差の拡大はアメリカのように超大金持ちと、それ以外の身分社会を形成します。また規制緩和や市場原理主義で、政府は弱者を保護することができません。
これにはすでに実例があります。アメリカでは過去30年間のとも9割の労働者の平均所得は1%しか上がりませんでした。逆に富裕層の所得は何倍にも膨れ上がりました。
富裕層はさらに利益を求め、て政治に口出しするようになります。こうして盲腸にかかっただけで手術費用が、何百万もする国家が形成されます。
小さな政府を目指すことは、良いことか悪いことか。失われた20年を過ごした日本を観察すれば、答えは自ずと出てくることでしょう。