デフレスパイラルの原因の1つは消費税-デフレ脱却には消費税廃止を

 デフレスパイラルという言葉が、一般的になりました。デフレ脱却という概念も、報道などでよく使用されます。
 デフレスパイラルを断ち切って、デフレ脱却を果たすことはコンセンサスになりつつあります。

 しかし同時に、日本では消費税増税やむなしとの声もあります。
 ご存知でしょうか? 消費税こそが、日本をデフレスパイラルに突き落とした犯人だということを。
 インフレになりかけた瞬間に、政府は消費税増税で日本をデフレに逆戻りさせています。
 順を追って解説していきます。

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デフレスパイラルと合成の誤謬

 デフレは先日のデフレとは?どうすれば脱却できる?日本一わかりやすく解説という記事で、これでもかというくらい、分かりやすく解説しています。

 上記の記事から、デフレスパイラルに重要な部分のみ取り上げます。

 デフレスパイラルとは、デフレの悪循環をいいます。デフレの原因は需要不足ですから、デフレスパイラルとは「恒常的に需要が不足する状態、循環」を指します。
 需要不足とは、消費不足や投資不足です。

 デフレになると企業はコストを削ります。人件費も投資も! なぜなら、売上が上がりにくいからです。
 所得も下落しますから、個人も節約します。
 結果として企業と個人が節約したら、需要はさらに減少するという悪循環、すなわちデフレスパイラルになります。

 個々の合理的行動が、全体に悪い結果をもたらすことを「合成の誤謬」といいます。
参照:合成の誤謬 – Wikipedia

 事実として個人消費は低迷しています。
参照:ほとんど増えていない個人消費、統計データで明らかに | ニコニコニュース

 また企業の設備投資も、1990年以降の日本の設備投資 – 財務省によれば、当然ながら低迷してます。

 デフレスパイラルは、恒常的な需要不足・消費不足が引き起こしているのです。

低所得層ほどダメージが大きい消費税という「罰金」

 消費税の逆累進性は、たびたび報道でも取り上げられます。累進性とは「高所得の人ほど税率が重く、低所得の人ほど税率が低いこと」です。
 逆累進性とは「低所得ほど負担が重く、高所得ほど負担が軽い」という意味になります。

 仮に年収200万円の人と、1000万円の人で考えてみましょう。年収が低いほど、消費性向が高いのは事実です。
 消費性向とは「所得のうち、何%を消費するか?」の割合です。

 年収200万円の人は、ほとんどを生活費に当てるでしょう。したがって消費税が10%なら、約18万円を消費税で徴税されます。
 年収1000万円の人の消費性向を、0.7とします。700万円を消費するということです。うち消費税の額は63万円ほどです。

 ではそれぞれの、年収に対する消費税の率はいくらになるでしょう?
 年収200万円では10%、年収1000万円では6.3%ほどになります。低所得層ほど、税率が高くなるのが消費税です。

低所得層ほど、需要に対する貢献割合が高い

 低所得層の消費性向は極めて高く、所得があがるにつれて低くなる傾向があります。需要不足のデフレスパイラルにおいて、低所得層の需要への貢献割合は高いのです。

 その低所得層ほどダメージの大きな消費税は、膨大な需要を毀損しています。
 端的にいえば、消費税は消費罰金とも表現可能です。

 消費するたびに徴税されるのは、政府が「消費するな、節約しろ。需要不足にしろ」といっているに等しいでしょう。明らかなデフレ圧力です。

 先程の例で考えます。年収200万円(手取り)なら、月収は16万6千円ほどです。この内、消費税に支払うのは1万5千円ほど。
 もし消費税が廃止されたら、月に1万5千円”もの”余裕ができるのです。
※「なんだ、たった1万5千円か」というブルジョワは黙りましょう。

 平成30年の消費税税収は17兆6千億です。徴税額だけでGDPの3.2%です。逆にいえば、消費税を廃止すればそれだけで、”最低でも”3.2%の成長底上げが可能なのです。
 2018年のGDP成長率が名目で2.6%ですから、消費税を廃止するだけでデフレスパイラルから抜け出し、5.8%の成長が可能になるのです!

消費者物価指数でみる政府の「デフレスパイラル圧力」の消費税

 実際の数字を見てみましょう。政府は1989年(バブル期)以外の2度の消費税増税で、日本をデフレスパイラルに突き落とし、デフレスパイラルを継続させようとしています。

 1991年はバブル崩壊の年です。2008年はリーマン・ショックです。
 比較して1997年の消費税増税後、少なくともリーマン・ショック級の消費者物価指数の下落が確認されます。
 バブル崩壊とも比較できるほどの下落です。

 2014年の消費税増税後も、リーマン・ショックとほぼ同等の消費者物価指数の下落です。
 ざっくりいうと、消費者物価指数が上昇する=インフレと好景気ですから、政府によって日本の経済は腰折れさせられ続けたのです。

 政府の経済政策こそが、デフレスパイラルの原因だったのです。

2019年に消費税増税を決行したらどうなるか?

 消費税増税は、2%といえどリーマン・ショック級の不景気圧力になると解説しました。

 コラム:世界各地で貿易が急減速、景気後退の瀬戸際に – ロイターによれば、世界的な景気後退局面の恐れが強いとのことです。
 2015年あたりから2017年の日本のGDPの増加は、外需に頼るものでした。個人消費も企業投資も低迷している中で、外需以外にGDP増加要因は考えられません。
※2018年後半から、外需に陰りが指し始めています。

 相変わらず内需が弱い中で、外需に頼れなくなるのです。もし2019年10月に消費税増税を決行したら、日本経済はリーマン・ショック級”以上”のダメージを負う可能性が非常に高いでしょう。
 最低でも「リーマン・ショック級」というわけです。

 すなわち、デフレスパイラルの谷に蹴落とされることになります。
 デフレスパイラルから脱却するためには、最低でも「消費税増税凍結」が必要です。ベストは当然、「消費税廃止」です。

 消費税増税によるデフレスパイラルという、政府の愚行を繰り返させてはいけません。

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3 Comments
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プロフェッサーカオス
5 年 前

消費増税派の議員は基本ネトウヨみたいな思想だから人権意識が低い
ゆえに、人権意識について欧州を持ち出すと「日本独自の」論を言い出す

うちはうち、よそはよそってなもんか

一方、消費税では今度は逆に自ら「ヨーロッパでは消費税は20%が当たり前」で、20%で経済成長している
と、消費税に限っては、欧州を持ち出す傾向がある

都合のいいことだ

しかし、この記事には「消費税欧州厨」を破綻に追い込む内容が入ってない

欧州は消費税が高くても、成長できるのに、日本は消費税が高いと成長ができない

それはなぜか?

プロフェッサーカオス
Reply to  高橋 聡
5 年 前

ほんとひさしぶり

欧州では消費増税しても、経済成長をする論

ここを切り崩すと、増税派は、もはや為す術なし

俺も分配されまくってるため、増税直後は、消費が低下しても、致命打にならないんだと思っている

要は循環させればいい

日本は払い損で、年金・健康保険・各種の税、消費税とあり、更に平均的に低収入で、不安が大きく、消費できん。消費できても生活に必要な産業のみに低額を消費するに過ぎん

特に消費したいざかりの年齢層

消費税でもなんでも、欧米の制度が優れているとするならば、欧米のマネをするのはけっこーだが
部分的にマネるのではなく、消費税を上げても経済発展するために必要な付随する条件も同時にマネなければ意味がない

消費できる環境・状況・条件まで揃えてマネないと消費増税など何の意味もないどころか有害そのものだ

派遣切り問題でも同じ事が言える。派遣だからこそ、正社員よりむしろ給与を出す。ここまでマネないと派遣システムは単なる奴隷を作る装置になるだけ

逆に言えば、消費税を上げても尚、消費できる安心できる環境があるなら、消費増税は意味を持つ可能性がある