SDGsの「貧困をなくそう」とは?政府に必要な取り組みも紹介

 「SDGs」という単語はときどきニュースにも出てきます。SDGsの取り組みとして「貧困をなくそう」が取り上げられることも。

 SDGsや「貧困をなくそう」とはどういった取り組みなのか解説します。また、世界の貧困の現状や日本での「貧困をなくそう」に必要な取り組みもお伝えします。
 「SDGsってよく聞くけど――いまいちわからない」という人は必見です。

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「貧困をなくそう」とは?

 「貧困をなくそう」はSDGsの第1目標として掲げられています。「貧困をなくそう」は世界中の極度に貧しい暮らしをなくそうとするものです。

 世界では1.25米ドル以下の生活をしている人が約7億人、10人に1人の割合で存在します。この貧困の解決が「貧困をなくそう」の大きな目標です。

 ところで、「貧困をなくそう」を掲げているSDGsって何? という人も多いはず。まずはSDGsから解説します。

SDGsとは

 SDGsとは「エス・ディー・ジーズ」と読みます。決して「エス・ディー・ジー・エス」ではありません。最後の「Gs」は「Goals(ゴールズ)」の略なので「ジーズ」と読みます。
 SDGsの意味は「持続可能な開発目標」です。

 持続可能な開発目標とは要約すると「行き当たりばったりにならない、持続性のある社会を目指す」ということです。

 SDGsは2015年9月に国連サミットで採択されました。当初は先進国から発展途上国への押しつけだとして反発もありましたが、現在はよりよい世界を目指す国際目標として掲げられています。

 SDGsは2001年に策定されたミレニアム開発目標「MDGs」の後継です。MDGsは先進国から発展途上国への支援という色合いの強いものでした。
 発展途上国向けに8つの開発目標をMDGsでは掲げました。
 SDGsは2016年から2030年の15年間で、17の項目を達成することが目標とされています。

 以下がその目標リスト一覧です。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任、つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

「貧困をなくそう」のターゲットや具体的内容

 SDGsの第1目標である「貧困をなくそう」では7つのターゲットや、具体的な内容について言及しています。
 表の下に具体的内容の要約を書いています。目を通すのが面倒な人はそちらをご覧ください。

1.12030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.22030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。
1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.42030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.52030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

 簡単に要約します。

  1. 極度の貧困状態を世界からなくす
  2. 各国の相対的貧困率なども半減させる
  3. 各国は貧困層を保護する
  4. 貧困層が水道、ガス、金融などの基礎的なサービスを受けられるようにする
  5. 気候変動によって貧困層が増えないようにする

 おおよそ上記のようなことが謳われています。これらの目標は本当に達成可能なのでしょうか? 過去の実績から考えてみましょう。

世界の貧困状況は改善している?

 世界の貧困状況は1990年代と比較し、明らかに改善しています。1990年時点で世界人口の35%、18億人が極度に貧しい暮らしをしていました。1.25米ドル以下の生活です。
 極度に貧しい人たち18億人のうち、6割が東アジアや太平洋の国々でした。

 しかし、2013年の統計では世界的な極度の貧困は7億6600万人にまで減少し、特に東アジアや太平洋の国々の貧困は全体の4%にまで減少しました。
 具体的には9億6600万人から7100万人にまで減少したのです。

 極度の貧困の減少は、中国の発展が大きな要因です。
 南アジアなどでも極度の貧困層は半減していますが、サハラ以南のアフリカなどでは1.5倍近くに増加しています。

 世界全体で見た場合、極度の貧困率は36%から10%にまで改善しています。その要因の多くは中国の発展です。このことから、経済成長こそが極度の貧困を減少させるとわかります

 中国の経済成長は急激で例外的ですが、社会の持続的な経済成長は可能です。持続的な経済成長のためには日本のような消極財政ではなく、中国のような政府による積極財政こそが求められます。

「貧困をなくそう」のために必要な取り組み

 SDGsの「貧困をなくそう」を実現するためには個人・企業レベル以上に政府レベルでの取り組みが必要です。

 「貧困をなくそう」の取り組みには極度の貧困撲滅以外にも、あらゆる国での貧困を半減させるという目標もありました。日本においては昨今、相対的貧困率の高さが問題になっています。
 そういった大きな枠組みでの問題には、やはり政府レベルでの取り組みが必要不可欠になります。

 政府レベルで必要な取り組みについて議論します。

経済成長に伴う仕事の創出

 中国の経済成長がもたらした極度の貧困の減少効果は計り知れません。単純計算しても9億人程度が、20年間で極度の貧困から抜け出したことになります。

 しかし、ただ単に経済成長すればいいだけではありません。例えば、日本では政府による需要創出が大きな課題になるでしょう。デフレでは経済成長できず国民が貧困化するばかりだからです。

 中国のケースでは、富の再分配機能の強化がこれから求められるでしょう。富の再分配や規制によって富の偏在を是正し、総需要を活性化させる必要があります。

 富が偏在すると総需要は低下します。富裕層ほど消費性向が低いからです。
 消費性向とは「所得のうち、どれだけの割合を消費するか」のことです。
 年収200万円の人は生活費で200万円ほとんどを使いますから、消費性向はほぼ1です。
 一方、年収1000万円の人はすべて消費するでしょうか? もしかしたら500万円ほどしか消費しないかもしれません。そうすると消費性向は0.5となります。

 では1億円を50人で分配するとして「全員200万円ずつ」と「1人が5000万円で、49人が約100万円ずつ」ではどちらが総需要が高まるでしょうか。
 答えは前者です。

 富の偏在によって総需要は低下し、格差是正によって総需要は増加します。
 したがって、経済成長には富の偏在の是正が必要です。

 このように、各国のケースに適切な経済政策が求められます。日本においてはまず、政府による需要創出でデフレを完全に脱却することが必要です。

貧困層が教育を受けられる環境

 教育を受けていないといい仕事に就けません。極度の貧困に陥っている子供たちは教育を受けられません。するといい仕事に就けず、貧困が連鎖します。

 この現象は極度の貧困だけのものではありません。日本においても教育環境が学歴に大きく影響すると知られています。いい教育環境は高所得な家庭で与えられます。低所得や貧困の家庭ではどうしても劣った教育環境になってしまいます。

 こうして教育格差がつき、教育格差は将来の仕事に影響を及ぼします。学歴が低いとなかなか高所得の仕事には就けません。
 このように、日本においても貧困の連鎖は存在します。

 発展途上国は経済発展に伴って教育の整備が必要です。先進国ではより教育格差を是正する必要があるのではないでしょうか。

まずは国内の「貧困をなくそう」

 日本もSDGsを掲げています。日本のSDGsの取り組みは外務省の「日本政府の取組 | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省」で確認できます。2020年12月には「SDGsアクションプラン2021」が策定されました。

 SDGsアクションプラン2021ではSDGsの17の目標のうち、8つの課題に取り組むとしています。「ジェンダー平等の社会」「健康・長寿」「科学技術やイノベーション」「強靱な国土とインフラ」「気候変動対策」「自然保護」「平和主義」「具体的な取り組み手段」です。

 貧困への取り組みも含まれていますが、メインではないようです。

 しかし、長年のデフレや格差拡大で日本国内の貧困問題も大きくクローズアップされています。相対的貧困率は約16%となっており、G7で2番目に高い数字です。子供の貧困率は13.9%で7人に1人が貧困状態です。

 「貧困をなくそう」では「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」とあります。

 日本政府もまずは国内の「貧困をなくそう」を、政府レベルですすめていくべきではないでしょうか

まとめ

 SDGsの「貧困をなくそう」を解説している記事はたくさんありますので、今回の記事では「日本政府が取り組むべきこと」に重点を置きました。

 SDGsには多くの企業や個人が取り組んでいます。しかし、政府レベルで取り組んでいるとは報じられません。実際に政府レベルでの大きな取り組みも見られません。

 いつもの「かけ声だけ」になっているのが現状です。

 けれども、日本国内の貧困問題も深刻化しています。日本政府は本腰を入れて国内の「貧困をなくそう」に取り組むべきだと思います。

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2 Comments
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政市
2 月 前

高橋様、お久しぶりです。
実はSDGsについてですが、これは国が掲げる目標ではありますが、私からすれば、グローバリスト達が一般市民を平等に貧しくし、国境や伝統文化を破壊に使われそうな気がするので、反対することも視野に入れた方が良いですね。
あと、YouTubeのトレトレチャンネルにて、SDGsがい問題があるのか、分かりやすく説明しているので、紹介したします。
トレトレチャンネル
https://youtu.be/zOmEzD4VL64