11月初旬に発売されたばかりの「マンガでわかる日本経済入門」を購入し、読了しました。
最初に結論を述べると「経済とか難しい! わからんし!」という人に読んでほしい本です。ここまでシンプルかつわかりやすく経済を解説した本はありません。
当たり前かもしれませんが、マンガ感覚で読めてしまいます。マンガですもの。
今回の記事は「マンガでわかる日本経済入門」の面白さや読みやすさを解説します。
基礎情報
「マンガでわかる日本経済入門」は原案・解説を中野剛志、マンガを山田一喜が担当しており、11月2日に発売されたばかりの新著です。
Kindle版、書籍版が発売されており、書籍版は192ページです。マンガが半分、解説が半分くらいの割合ですのでスイスイ読めます。
Amazonの説明文は以下の通り。
平成の日本経済がなぜ20年も停滞し続けているのか? ひと言で言うと、「デフレ」対策をすべきところを、「インフレ」対策という正反対の経済政策を行っていたからに他ならない。その理由を知るためには、「お金とは何か?」「税とは何か?」と言った根本的な問題を学び、現代経済の仕組みを知る必要がある。
本書では、経済学のことをよくわからないサラリーマンや学生でも、世の中で何となく常識であると信じられている経済政策がいかに間違ったものであるのか、その理由がわかる一冊。日本におけるMMTの第一人者として知られる著者が、「財政健全化しなければ財政破綻する」という常識に真っ向から反論するMMT(現代貨幣理論)についても解説。
マンガでわかる 日本経済入門 | 中野 剛志, 山田 一喜 |本 | 通販 | Amazon
Amazonの説明文にもある通り中野剛志は日本のMMT第一人者であり、多くの著作をリリースしています。中でも「奇跡の経済教室」「真説・企業論」「富国と強兵」あたりは超おすすめの本です。
上記著作は難易度の低い順に挙げています。
目次
- はじめに 日本経済は、どうして成長しないのか
- 第一章 デフレとは何か?
- 第二章 お金とは何か?
- 第三章 金融政策とは何か?
- 第四章 財政政策とは何か?
- 第五章 構造改革とは何か?
- おわりに 主流派経済学者とは何か?
それぞれの章はマンガから始まり、次に解説文が出てきます。マンガと解説文の分量は半々くらいでしょうか。
なお信用創造はもちろん、スペンディングファーストや租税貨幣論も解説されています。
現代貨幣理論(MMT)のさわりだけ知りたい人にもおすすめですよ。
ネタバレあらすじ
「マンガでわかる日本経済入門」の舞台は西日通り商店街です。かつては盛況でしたが、今ではデフレですっかり寂れています。
登場人物はヒロインで花屋の鈴村欄、魚屋の店主である向井ゲン、主流派経済学者の池尻大次郎(通称大ちゃん)、異端の経済学者の4名です。
主流派経済学者で国民的人気の池尻大次郎がある日、西日通り商店街にやってきて演説します。「この国の長引くデフレを脱却しなければなりません! 国民は痛みに耐えて! 構造改革とリフレ政策で必ず脱却できます!」
どこかで聞いたことのある文句ばかりですね。
「痛みに耐えるって言っても一体いつまで……」とボツリと漏らす花屋の鈴村欄。そこに異端の経済学者が通りがかり、鈴村欄や向井ゲンの質問に答えながら池尻大次郎を論破していくというあらすじです。
主流派経済学者の池尻大次郎のモデルは明らかにあの人――。誰なのかは本編を読むとわかりますよ。
マンガは名探偵コナンと同程度の台詞量です。わかりにくい? 美味しんぼの説明箇所と同じくらいです。
レビューと感想
「マンガでわかる日本経済入門」は、経済の理解に必要な部分をピンポイントでシンプルに解説しています。これ以上削れない! と悲鳴を上げるほど説明を簡素化し、わかりやすく砕いています。
解説している内容はかなり高度で、本来は専門書を読みあさらないといけないレベルのことです。
「マンガでわかる日本経済入門」は無茶苦茶コスパがいい本です。「この値段でこの内容を、ここまでわかりやすくする?!」と私びっくり。
JGP(Job Guarantee Program)にまで言及しているのにも驚きです。
個人的にはアメ型・ムチ型の成長戦略の説明が新鮮に感じました。知らない人にとっては目から鱗ではないでしょうか。
ただし初心者にとって混乱する説明は省いている部分も。わかりやすさを優先していますから、正確性はある程度犠牲になっています。
私はほぼ知っている内容でしたので、1時間足らずで読み終えました。経済初心者が読んでも2時間ほどで読了できると思います。
今から経済を知りたい! 基礎知識を学びたい! でも難しい専門書はちょっと……という場合におすすめの本です。
口コミ
口コミはAmazonから引用しています。
大学のとき岩田教授に金融論を学んで以来、疑問に思っていたことが次々に氷解していき、愕然としました。全部読んでいるわけではないが、前作『奇跡の経済教室』と並んで中野剛志の最高傑作だと思います。
これを読んだ後に今のテレビで見る経済・政治が如何におかしな事ばかりか、スッと理解できます。説明が非常に分かりやすく、スラスラ読み理解できます。まさに真の経済入門書です。
数えていませんので曖昧な感覚ですが、漫画半分、解説文書半分といった感じです。数多くはありませんが只今勉強中の私が目を通した入門書の中では、一番とっつきやすいと感じていて、気負うことなく繰り返し読めそうです。
まとめ
「マンガでわかる日本経済入門」はすでに経済を知っている人ではなく、これから経済を勉強したい人に向けて書かれています。
「専門書はちょっと……」と尻込みしているあなた向けに、中野剛志が限界までわかりやすく書いた本が「マンガでわかる日本経済入門」です。
すでに「マンガでわかる日本経済入門」の内容を知っている人は、まだ知らない人におすすめしてあげましょう。「マンガでわかる日本経済入門」なら読みやすいので、おすすめもしやすいはずです。
多くの人が「マンガでわかる日本経済入門」を読めば、日本の経済政策も変わるかもしれません。