日銀は異次元の金融緩和を終了-リフレ派の敗北と幻のインフレ目標

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リフレ派の敗北

 日経新聞によれば、日銀は異次元の金融緩和を終了したようです。3年前から、国債引受量を減らしていました。
 先日はついに、黒田日銀総裁以前のペースに戻ったようです。

 この異次元の金融緩和の目的は、インフレ目標を達成することでした。金融緩和をすればインフレ目標が達成できると、リフレ派は2013年に息巻いていました。
 あれから6年。インフレ目標は、達成されていません。
 壮大稀有な「異次元の金融緩和」という社会実験は、失敗でした。

 リフレ派は何を間違えたのか? 金融緩和は現代貨幣理論(MMT)的に、どのような解釈になるのか? どうして効果がなかったのか? を解説します。

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日銀の「異次元の金融緩和」と「リフレ派」が終了しました

 日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に(日経)によれば、2016、17年をピークに、日銀は国債引受量を減らしているとのことです。
 現在では、黒田日銀総裁以前の国債引受量に戻ったとのこと。

 日経では「16年9月に決めたのが緩和策の軸足を『資金供給』から『長短金利操作』に移す措置だ」と解説します。
 しかし、当初のインフレ目標は達成できず。2%には全く届いていません。
 これは「金融緩和が、非金融部門への資金供給にならなかった」ことを意味します。

 マネタリーベース(日銀当座預金と現金通貨)は増えたが、マネーストック(非金融部門のお金)は増えなかったのです。

 「お金を刷れば、お金が増える」は、こう表現を変えるべきでしょう。「お金を刷っても、死金が増えるだけ。借りて使われなければ、意味がない」と。

 異次元の金融緩和の終了と、インフレ目標未達成は「リフレ派の敗北」となったのです。

リフレ派の理論とは?

 簡単に、リフレ理論を解説しておきます。

  1. 異次元の金融緩和をして、お金を「民間銀行」に供給する
  2. 個人や企業が、インフレ期待を抱くので借りてくれる(はず)
  3. 資金需要が満たされて、本当のインフレになる

 2.が致命的です。どこの社長が「うーむ……日銀が国債を大量に引き受けているから、インフレになるはずだ。よし! 借金をしよう!」とか言うんですか。

 経営者は売上や需要を見ます。デフレで売上の見通しが悪いのに、借金する人はいません。
 日銀当座預金にいくらお金があろうと、「借りて使う人」がいなければ「死蔵しているも同じ」です。

世界経済の減速予測が出ている中で、金融緩和終了の影響はないのか?

 世界経済は、減速予測が出ています。余談ですが、このタイミングで消費税増税とか……日本国民はよほど、貧乏になりたいようです。
 まさかまた、1997年の消費税増税とデフレ転落をアジア通貨危機のせいにしたように、不景気を「金融緩和が終わったからだ」とか言い出さないでしょうね?

 閑話休題。

 結論から言います。金融緩和を終了しても、影響はありません。世界経済の減速と、消費税増税の影響は大きいでしょうが。

 マネーストック(政府以外の非金融部門のお金)は、需要によって決定されます。つまり景気が良ければ、資金需要は多くなります。悪ければ、資金需要も少なくなります。
 したがって景気の悪いときに、需要を増やすのは政府しかありません。

 日銀が金融緩和をしても、日銀当座預金にお金がブタ積みになっても、景気には1ミリも影響しませんし、需要にも影響しません。
 むしろ世界経済の減速に対して、政府が「借りて使うこと」をしないといけません。

異次元の金融緩和でマネーストックが増えない=クラウディングアウトも起こらない

 リフレ派は主流派経済学の亜種です。基本的な部分では、一致していると言えます。

 リフレ派や主流派経済学は「政府が支出しすぎると、クラウディングアウトが起こる!」と言います。
 クラウディングアウトとは? を説明するのに、リフレ派や主流派経済学の「又貸し信用創造」について説明しなければなりません。
※日銀に預ける支払準備率は、10%とする

  1. 本源的預金が100、存在するとする
  2. A銀行はa社に、支払準備金を除いた90を融資
  3. a社は90をb社に支払い、b社はB銀行に90を預金する
  4. B銀行は支払準備金を除いた81をc社に融資する
  5. 以下、無限ループ

 イメージは、以下の画像です。

主流派経済学の信用創造のイメージ

 つまり「本源的預金の額の多少で、最終的に融資できる総額が決まる」というわけ。ではその本源的預金を、政府が使ってしまったら?
 「民間への資金供給が、圧迫されるじゃないか!」という理論です。
 逆に異次元の金融緩和をすれば「本源的預金(?)が大きくなるので、たくさん融資ができる!」という「間違った理論」です。

 しかし実際は、国債発行の信用創造入門編-MMTで積極財政が可能なのはなぜ?で解説しているように、政府支出の信用創造(貨幣創造 Money Creation)も民間銀行で起こっています。
※本質的には政府、日銀間で可能ですが、現実の仕組みとしては上記になっています。

信用創造
現代貨幣理論(MMT)の信用創造……というか、これがイングランド銀行も黒田日銀総裁も認めている信用創造です。

 現代貨幣理論(MMT)の信用創造とは? 「借りた瞬間に、預金通貨が”増える”」です。よって、誰も借りない異次元の金融緩和は、信用創造されていなかったのです。
 したがって、異次元の金融緩和ではマネーストックも増えません。

 逆説的ですが、異次元の金融緩和でマネーストックが増えなかった=クラウディングアウトも起きない、との証明です。

リフレ派の6年間の試行錯誤と敗北

 異次元の金融緩和は、インフレ目標を達成することがありませんでした。失敗です。
 余談ですが2016年~2018年までの「ちょっとだけ、景気がよく見えた時期」は、単に外需と世界経済のおかげです。

 また、アベノミクスの効果とされる「失業率の低下」は、民間の自立回復です。
※2010年に、失業率・銀行貸出DIなどの主要指標がトレンドを転換してます。

外需が陰り始め、2019年は7ヶ月連続で実質賃金が下落

 閑話休題。

 異次元の金融緩和は、それ単体では毒にも薬にもなりませんでした。しかしリフレ派および日銀は、「異次元の金融緩和で、デフレ脱却が出来る!」と主張しました。
 この罪は、いかほどに重いか。

 リフレ派の理論が採用され、財政出動は必要ないとの空気が出来上がったのです。「金融緩和さえやれば、財政出動なしでもデフレ脱却できる」という空気です。
 実際に安倍政権は、2013年以外はすべて緊縮財政です。
 緊縮財政か否かは「デフレを脱却したかどうか」が基準であり、一般予算の絶対額は関係ありません。

 日銀の異次元の金融緩和でデフレ脱却! は幻と終わりました。リフレ派の壮大な社会実験が、失敗したことを意味します。

 リフレ派の理論は、主流派経済学とほぼ一致しています。リフレ派の現実への敗北は、すなわち主流派経済学の敗北と同義です。
 現実を分析していないリフレ理論が、現実に敗北した。至極、当然の結果でしょう。

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