ベーシックインカム議論が混乱してます。
この混乱は、私には「理想論と現実論の混乱」に見えます。もう少し辛辣にいえば、本心からの愛国ゆえの日本への信頼――でしょうか。
ベーシックインカム議論が、なぜかくも混乱するのか? 整理しながら、解説していきます。
なお本稿では、社会保障一元化型のベーシックインカムは、取り扱いません。論外だからです。論外の理由を書けば、ベーシックインカム議論に対する混乱の原因も判明するでしょう。
ベーシックインカム議論の混乱「予算制約と予算額」
ベーシックインカムは、月に10万円弱(8万円程度)で語られることが多いです。社会保障をそのままに、ベーシックインカムによる給付金を給付するという話です。
予算では総額が100兆円以上になるようです。
余談ですが、ハイパーインフレの定義は、国際会計基準において「3年で100%の物価上昇」です。1年で26%(複利)になります。
とすれば、乗数効果を除いたとしても「年に十数%までしか、インフレは許容できない」のではないか? と思います。
機能的財政論にも現代貨幣理論(MMT)にも出てくる、インフレ制約です。
100兆円は、GDPのおおよそ5分の1。追加で政府支出すれば、インフレ率は余裕で20%を超えます。
供給が追いつくのは、どれだけ早くても数年後でしょう。
ベーシックインカムを実現するのなら――それをまかなえる供給をいかに実現するか? どの程度で実現するか? という青写真が必要です。
漸進的にという話であれば、私には青写真が示せると思います。が……そもそも、JGPのほうがベターと思ってますから(汗)
社会保障の充実では、ダメなのか?という議論
お断りしておきますが、私はベーシックインカムに賛成でも反対でもありません。
ついでに言えば、進撃の庶民の管理人という立場上は「どちらも表明しにくい」も本心です(笑)
閑話休題。
ベーシックインカムは、弱者視点で語られることも多いです。既存の社会保障の充実では、それは対応できないのでしょうか?
ベーシックインカム議論からは、この点が聞こえてこないのは不思議です。
低所得者や子供を慮るなら、例えば子ども手当や国家からの養育費の補助はいかがなのでしょう?
ベーシックインカム議論は、最初はミルトン・フリードマンの新自由主義から発生してます。これは、社会保障の一元化という「合理性・効率化」の議論です。
「一元化されて、公務員が少なくなる」などに、つながる議論ですね。
通常の社会保障の拡充では、ダメなのでしょうか?
ベーシックインカムで、本当に幸福度が上がるかどうか?
非常に簡単なシミュレーションですが、100万円持っていてもりんごが買えなけりゃ不幸です。
ベーシックインカムの実験は、「国民の数%に」くらいしかされていません。
端的にいえば「お金を与えられたら、その人は幸せになれる?」という実験であり、国家的な「インフレやデフレ、国家経済」では行われていないのです。
ベーシックインカム(積極財政として)の理論も、打ち立てられていません。
現代貨幣理論(MMT)をベースに考えるのなら、多分ですが無理です。だからこそMMTの理論家たちはJGP(ジョブギャランティープログラム)にたどり着きました。
数十兆円程度ならともかく、100兆円以上の単年度支出は「100%の確率で、危険水域のインフレになる」と断言できます。
とすれば……低所得層が「品物を買えない」状態になるということです。
幸福度、上がりますかね?
私がベーシックインカム推進派ならどうするか?
だいぶ前ですが、最低限の国民の衣食住を保証するベーシックインカム論を書きました。要約します。
- 衣食住は、生活必需品で誰でも必要
- 低所得層向けに、食べ物と住処を物品で提供する
- 上記は、国産品に限る
補足します。住処は、公営住宅の増設で良いでしょう。地方創生なんですから、そちらへの移住も考慮しても良い。
食べ物は、フードスタンプでも結構です。
政府が農家から買い上げてもいいです。
所得制限をかけて、例えば「年収400万円以下の世帯は、上記のベーシックインカムを申請できる」とすればいいです。
利点はなにか? 公営住宅が不便だったら、不満が出ます。当たり前ですが、インフラ整備は必須になってきます。
また食べ物を国産品に限定することで、国家が農業や漁業を支援することになります。豚肉の国産品がなけりゃ、みんな不満でしょ(笑)
要点は「政府が使う通貨(政府需要)を、国土に役立てる」ことです。
普通のベーシックインカムだと、お金を給付してハイ終わりです。どこに使われるか? は不明です。
デフレとインフレを真剣に、考えよう
デフレは最悪です。最終的には供給能力が毀損していきます。
売れない→失業→ノウハウが失われる、ですから当たり前です。
マイルドなインフレ©sorata31さんは、資本主義に必要です。需要に供給が追いつき、また需要が伸びるのイタチごっここそが、資本主義の本質です。
今まで10作ってたものを、明日から100にしろ! といわれて、対応できる人はいません。需要も供給も、徐々に伸ばしていかないといけないのです。
だからこそ、現代貨幣理論(MMT)では「行き過ぎたインフレ」”も”警戒します。
ベーシックインカムにしても、公共事業にしても、政府支出とは政府需要です。デフレを脱出するにしても、インフレを抑えるにしても「考えなければいけないこと」でしょう。
ベーシックインカムを唱える人たちの、理想は理解できます。私だって、その理想には賛同します。
日々の生活に悩むことなく、明日の金を心配することなく、心安らかに暮らせる国家。ええ夢だと思います。
その夢に到達するためには、苦々しい現実の対応が必要です。現実対応するための理論と実践主義的な知恵が必要なのです。
また保守に求められる、漸進的な対応も必要でしょう。
既存のベーシックインカム議論にのったものは、私は「理論的に難しいのが現状」と思います。
ベーシックインカムの実現が、目的ではないはず。その先の「国民が豊かに暮らせる国家」が目的のはずです。
おまけ ベーシックインカム議論に思うところ
理想は大事です。でも現実も大事。大阪弁で、失礼しましょ。
人間って時々、手段が目的にすり替わる。これ、危険やで。ベーシックインカム議論では、双方ともにそうなってる。
こんなん、最終的には「非難合戦」になるに決まってるやん。
まあ、そうなったら面倒やから、僕は絡まんけど(笑) 勝手に決裂したらよろしい。
そうやって「先鋭化して退化した組織」なんて、珍しくもないけどね。昔の左翼と、同じ道を歩むん? と思ってまうわ。バカバカしい。
「自分の思想と主張に、賛同するものだけ」なんて、了見の狭い話や。ネトウヨはごめやけどな(笑) あいつら賛同以前に、あほやから。勘弁してほしい(笑)
人間にはぎょーさん経験がある。その経験によって、主張も変わってくる。理想主義も大切やし、現実主義も大切。
このブログも、コメントをくれてる人は「別に僕の主義主張に同意」しなくてええ。読んでる人もそう。
書いたけど、その人らの思考の「参考」になればええねん。決めんのは僕ちゃう。読んでる人ら。
僕は役に立ちそうな記事を、書くだけ。
理想は大事やで。そやないと、現実を変えられへん。でも、現実も大事。現実を把握してないと、理想なんて持ったらあかん。
現実を把握してないのは、理想やなくて夢想やな。
僕はやること、やってる。超頑張っとる(笑) あのな、休みをもう9ヶ月取ってない。余裕ないねん。もうすぐ40歳。しんどいねん。安寧がほしいねん(笑) もう、墓場に入ってもええわ(笑) しんどいし。
議論はええよ。穏便にお願いしたいところやね。
もう少し、深いところまで議論してええんちゃうかな。PV? 議論のほうが大事。後々、PVに繋がりはるわ。
僕の目的は1つ。「進撃の庶民を数十万PVにする」ですわ。
僕のブログも、多分そうなる。個人では「達成できる話」が、多人数になると難しくなるのはしょうがないね。
でもその分、僕の個人的なブログより「大きな力」を”発揮できること”を祈ってます。
最後に申し上げます。くだらん稿をかいて、ごめんねm(_ _)m
> ベーシックインカムの実現が、目的ではないはず。その先の「国民が豊かに暮らせる国家」が目的のはずです。
激しく同感です。
ベーシックインカムに限らず、目的を見失ってる話し合いってよく見かけますよね。
自分もそうならないようにって自戒の念を込めての同感です。
目的と手段がすり替わる。よくある話ではありますよね(汗)
私も自戒せねばと思います。PVアップも「単なる手段だ」という意味で。
賛同致します、ベーシックインカムでは無くても目的が大事なので、ただ現状の日本だと手続きやらで、住宅食料品等を配るのに民間企業に頼り余計なお金と混乱を招きそう。実際は食料品を配るにも健康状況、アレルギー等余った食料の処理、住宅の場所によっては不服申立てや不平等が産まれるので結局はお金配りが1番楽で安いのかと福祉は自分は一本化を推進します。実際一本化は難しいけど子供手当てだけを見ても実際配ってるお金よりも銀行振込、手続き等の人権費がかかりますのでなるべくスリム化を。全てを充実が確かに理想ですが団地とかの
住宅でも余計なお金はかかってるかと、修繕管理の手間もありますので物、住宅の支給は非常に難しいと思っております。後実際の話お金は確かに何処に使われるかはわからないです、ただ何に使えと誰がどんな正論を言おうが色々な事に使うでしょう使い方を考えたら実際何も出来なくなると思います、配るものが食料品だろうと住宅だろうと服だとしてもです。
スリム化は、デフレ脱却できてからでも良いのではないかな……と(汗)
将来的にはITやAIでの、効率化も視野にいれるべきなのでしょうね。
BI議論はとかく、混乱しがちですよね。論点が多いのもそうですが、BIといわれるものが数種類あるのも、混乱の原因ですね。
後食料品、物など住宅を与えろって人見ますがその人達は冷静に考えた事はあるのでしょうか?食料品と考えて下さい、ある場所に取りに行くと考えて下さい、絶対条件で老人徒歩圏内、受け取る事により子供等がイジメにあう可能性を考えたら隠密性、後体壊して取りに行けない事を考えたら配達?仕事してる事を考えて仕事の時間は人それぞれで受け取るために仕事変えたり出来なかったとしたら意味の無いので24時間体制イタズラや窃盗を防止する為の管理人、これにどの位のお金と人が必要か自分には全然想像もつかないのですが…
アメリカでは、フードスタンプという制度があるそうですよ。
食料品にしか使えない配給券だとか、工夫の余地はありそうな気がします。
後住宅はもう団地って形でもうやってますね、圧倒的に数が足りないですがあれも民間企業に投げて抽選とかしてますね。収入で家賃が変わるので老人二人で3dkとか凄く安く借りてます。実際その人達にその広さ必要かとかも怪しいです。結局数も足りてないので民間企業か人から住宅を買うか借りるかして与えたとしてどうなのかと?個人で借りるより高く取られそう。いっそ団地売り払ってしまってから管理費、修繕費、新たに建てるお金も無くした方がとも思ってしまいます
>ベーシックインカムは、弱者視点で語られることも多いです。既存の社会保障の充実では、それは対応できないのでしょうか?
(中略)
>通常の社会保障の拡充では、ダメなのでしょうか?
これ、私もそう思うんですよね。
今までは緊縮で削減されまくってんでしょうけど、もし、積極財政が政策的に採用されたら、諸々の社会保障・・児童扶養手当、年金、生活保護等々を拡充する・・・。それではだめなのかなあとは思ってしまうのです。
必要な所に必要なぶん、支給する・・・、それではダメなんでしょうか?
全員が全員にお金を一定金額配るんでしたら・・、それは、ある意味では全員が全員から平等にお金を徴収する消費税とも似たような(?)印象を受けるような・・・。(まあ、搾り取る消費税とは、同じ平等でも方向性はまったく真逆ですが・・)
「機会の平等」と「結果の平等」の問題とも近しんでしょうかね?
(まあ、経世済民勢力としては・・、機会はもちろん平等にして、なおかつ、結果の方も、文化的な最低限の生活のところまではおおむねみんな平等にする必要があるのでしょうが・・)
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この議論は、原発賛否議論や、死刑制度賛否議論、もしくは公務員の給料下げる下げない議論に近しいものを感じますね・・。
近しいとは思うんですけど、どうにもまだ、それらを言葉にして、うまく体系たてて説明できないですね、どう近いかが・・・。すみません。
ただ、なんとなしにではありますが・・、この議論の流れは、上記の諸議論に近しいものを若干感じますね。
私も、社会保障の充実でいける気がします。BIに、特に拘る理由はないかなと。
結局、BI自体は新古典派経済学に端を発しているので、「効率化」という命題から逃れられないのですよね。
これはおっしゃっている「公務員の削減や給与減少」と、同じ命題なんです。
でも「効率化」は「手段」であり、目的にはなりえません。
「何のために、効率化するのか?」という目的が、語られないとダメなんですね。
死刑制度や原発議論も、やはり「目的を見失っている」ことが、多々見受けられます。
※死刑制度については、私は「よくわからない」という立場です(汗) 詳しくないので(笑)
……日本人の議論って、目的を見失うことがよくある気がします(笑)