日本経済は破綻済みという衝撃の現実-今後の日本経済はどうなる?

 日本経済はすでに破綻している。これは明白な事実であり、現実です。

 「そんなバカな!」と多くの人が思うかもしれません。けれど経済が破綻しているとは、どのような意味かを考えたとき、日本経済は破綻しているといわざるを得ないのです。

 日本経済がすでに破綻している理由を解説するとともに、日本経済再生の道を検討します。

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経済の破綻とは何か

 そもそも論ですが、経済の破綻とは何でしょうか? もちろん資本主義下での経済、と言う前提条件です。

破綻の定義

 破綻とはコトバンクによれば、こうです。

  1. 破れほころびること。
    「処々―して、垢染(あかじみ)たる朝衣を」〈竜渓・経国美談〉
  2. 物事が、修復しようがないほどうまく行かなくなること。行きづまること。「経営に破綻を来す」

破綻(ハタン)とは – コトバンクより

 経済破綻とは「資本主義経済が、正常でなくなること。行き詰まること」と定義できます。

経済と資本主義の定義

 資本主義とは「負債を拡大しつつ、経済成長していく経済形態」を指します。詳しくは以下の記事で解説しています。

 資本主義下における経済とは「経済成長し続けるもの」であり、インフレが正常です。破綻の項で述べたとおり、経済破綻の定義は「資本主義経済が、正常でなくなること。行き詰まること」です。

  1. 経済成長できない状態が長期に続いている
  2. 正常なインフレ状態にないこと

 上記1.と2.のいずれかに当てはまれば、経済は破綻を来していると言えます。

日本経済はすでに破綻している

 日本経済がすでに破綻しているのは、20年以上にわたる経済成長の停滞、デフレで明らかです。日本人はデフレ慣れしてしまっていますが、デフレとは「資本主義経済の異常な状態」です。

 20年以上も経済成長していない経済が、破綻していないと考える方が現実逃避ではないでしょうか。

経済成長できなくなった日本経済

 日本経済はいつから、経済成長できなくなったのでしょうか。失われた20年と言われてますが、正確には1998年から日本は経済成長できなくなり、デフレが続いています。
 現在が2020年ですから、すでに22年に及びます。このままでは失われた30年と言われる日も、遠くないでしょう。

1997年をピークに貧困化する日本

 1997年をピークに、日本国民の年収は下降トレンドにあります。

 平成30年度は441万円まで回復したと発表されていますが、20年前と比べて「年収が下がっている」というのは異状です。GDPでも21世紀に入って日本は、ほとんど成長していません。

少子高齢化と生涯未婚率

 男性の生涯未婚率は1990年代から、急激に上昇しています。また女性の生涯未婚率は、2008年のリーマンショック以降から上昇トレンドです。

 1991年がバブル崩壊、1998年からデフレ突入、2008年にリーマンショック。このように並べてみると、経済的理由と生涯未婚率がある程度リンクしていることがわかります。

 未婚率が上がれば当然、少子化も加速します。

 「生涯未婚率が上昇し続けるような経済」が「破綻していない」と言えますか? 経済の語源は経世済民、すなわち世を治め民を救うことですから、日本経済はすでに破綻しています。

世界第2位の経済大国は遠い過去

 日本は2010年以前、世界第2位の経済大国でした。ご存じの通り、中国の台頭により転落した……というのは事実の半分です。もう半分は、日本が経済成長しなかったからです。

 経済が破綻しているにもかかわらず、日本国民がそうと感じないのは「過去の経済ストックが”まだ”あるから」ではないでしょうか。

 ある意味で現在の日本は、世界第2位の経済大国だった時代の資産を、食い潰しながらしのいでいると言えます。

このままでは後進国に転落との試算も

「普通に暮らす」という戦い。日本はあと25年で後進国化する=内閣官房参与 藤井聡 | マネーボイス
もしも日本の「デフレ」が放置され続ければ、日本と諸外国との「格差」はさらに拡大していくことは必定。結果として、日本経済の相対的地位はさらに勢いよく凋落していく。

 日本は揶揄を込めて「衰退途上国」と言われることがあります。世界が経済成長をし続ける中で、日本だけが経済成長せずに停滞しているからです。

 2040年に日本は、このままでは後進国化するとの試算もあります。2040年って、あとたった20年です。

日本経済が破綻した理由

 日本経済が破綻していることはもはや、自明であり現実です。なぜ日本経済は破綻したのかについて、いろいろな説が唱えられます。

  1. 日本の国民性がどうのこうので、合理的ではないから云々
  2. 古い規制を抜本的に改革しないと! 改革が進んでいないから云々

 上記のような言説は、100%嘘です。1.は「ではなぜ世界第2位の経済大国になれたのか」が説明できませんし、2.はすでに散々やってきています。

 むしろ「効率性と合理性を追求した結果、経済成長できずに破綻した」と考える方が自然です。

プライマリーバランスと緊縮財政

 日本経済を破綻させた、もっとも罪深い概念がプライマリーバランスです。財政均衡主義、緊縮財政など様々な呼び方があります。

 なぜプライマリーバランスや財政均衡主義が、罪深いのかと言えば「日本に財政問題はそもそも存在していないから」です。

 効率化も合理化も、財政を切り詰めるための方便です。すなわち国政レベルでの効率化と合理化が、日本を経済破綻に追い込んだ主犯です。

規制緩和と構造改革

 規制緩和と構造改革も、効率化と合理化を暗黙の旗印として行われた政策です。2000年代初頭には小泉政権により、痛みを伴う構造改革がなされました。
 もっとも痛みの先に成果はなく、むしろ痛みが続くだけというものでしたが。

 これらの「競争というムチによる日本経済のてこ入れ」は、ことごとく失敗に終わりました。

新自由主義による国内産業の育成放棄

 グローバリズムだ、新自由主義だと浮かれた21世紀。日本は国内産業の育成を、全く以て放棄していました。

 1990年代まで世界を席巻していた、メイドインジャパンはそのブランド力を急速に失いました。IT機器ではもはや、中国や韓国に太刀打ちできていません。他にもテレビ、白物家電、ソフトウェア産業etc……。「これぞ日本の技術!」と言える産業は、ほとんど消滅しています。

 グローバリズムだ、緊縮財政だと言いながら、国内産業を保護せず競争の中に放置した結果です。

日本経済再生の方法はあるのか

 日本経済はすでに、破綻しています。破綻しているからこそインバウンドやカジノなど、外国に頼る政策しか打ち出せません。

 すでに20年も失われてきた日本経済に、果たして再生の道はあるのでしょうか。

技術立国のための科学技術の立て直し

 日本は山が多く、平地が少ない国土です。加えて海に囲まれ、国土に資源は豊富とは言えません。すなわち大規模農業に向かず、工業化にしても資源を輸入に頼らなければなりません。

 とすると日本経済にとって、技術立国こそが最適な選択肢かもしれません。技術立国として歩んでいくためには、国内の教育、基礎研究や研究開発分野などへの予算を惜しむべきではありません。

日本の科学研究の実力が急速に低下している
2017年度版の「科学技術白書」(6月2日政府、閣議決定)によると、主要な科学論文誌に発表された論文のうち、引用された件数の多い論文の国別順位で、日本はこの10年間で4位から10位に下がっており、基礎研究力の…

 ちなみに日本は大学世界ランキングで、大幅に順位を下落させています。加えて科学技術研究費は、先進国の中でも支出割合が低いことが知られています。

 技術が日本の優位性でしたが、それを自ら捨て去ろうとしているとすら解釈できます。

積極財政による内需立国

 日本に財政問題は存在しません。日本が現在の状況で、財政破綻するのはほとんど不可能です。

 意外に思われるかもしれませんが、日本は人口で世界第11位です。つまり内需で経済を回すポンテンシャルが、十分にあります。

 積極財政への嫌悪感や拒否感さえなくせば、日本経済は破綻から再生への道を歩むことが可能です。

国民所得倍増によるダメージのケア

 失われた20年は、日本国民から様々なものを奪ってきました。そのひとつが、アニマルスピリットです。起業精神やチャレンジ精神と換言してもよいでしょう。

 デフレとは国民にとって、日々貧しくなっていくことです。よって落ちないように気を付けることばかりになり、チャレンジする気概や精神も失われていったと言えます。

 古今東西、国民が豊かになれば国家も豊かに強くなります。貧している国民に対して、所得倍増を約束するくらいの大胆さが、日本経済の再生には必要でしょう。

日本経済がすでに破綻していることへの後書き

 日本経済はすでに破綻している。これは資本主義や経済の意味を考えれば、ほとんど明白な事実ですし現実です。

 では多くの日本人は、日本の政治は、この事実を受け入れるでしょうか? 日本経済は破綻しているとの認識から、スタートして政策を考えられるでしょうか?

 おそらく答えはNOだろうと、筆者は考えます。破綻などという事態を、人間は早々に受け入れることなどできません。
 先延ばしにして、現実逃避するのが人の常です。

 さらに悪いことに、経済とは破綻していても「走り続けることは可能」です。

 日本経済はすでに破綻している、という事実を受け入れるかどうか? は、あなた次第です。

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2 Comments
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黄昏のタロ
4 年 前

お邪魔いたしますです。

>> ある意味で現在の日本は、世界第2位の経済大国だった時代の資産を、食い潰しながらしのいでいると言えます。

 不毛な掲示板等での論争をやってしまってる、おいら。『インフレじゃなくてもいいじゃん』『円高だから大丈夫』って辺りの論争で、為替にお金を流す力にぶち当たったです。

 ダムに例えれば、過去の実績のポテンシャルエネルギーの様なものではないか?っ考えてるです。『世界二位』の累積でダムの高さも世界二位。為替の世界に対する水圧も高いのです。
 今は単年度では中国の方が高くなってますが、方式が違うから水圧が直接及ばないだけ。為替の世界では、世界二位を維持してます。ここが円高になる原因なのではないか?って考えてるです。
 中国が単年度だけではなく、累積で上になるか変動相場制にすれば雲行きは怪しくなると思います。