日本が財政破綻しないたった一つの理由をあなたは本当に知っている?

JR岸辺沿いの桜並木

 日本は財政破綻するのか? しないのか? 結論から先に言いましょう。

 日本は財政破綻しないし、相当なハードルを越えないとできません。表現を変えれば「決死の努力をすれば、財政破綻することは不可能ではない。しかし現実的には無理」というわけ。
 もう少し言い方を変えると「日本は財政破綻をしたいと思っても、まずできない」になります。

 なぜ日本が財政破綻しないのか? その理由はたった一つ。
 日本が財政破綻しない理由、過去に財政破綻しないとされていた主張、そしてもし財政破綻しようと思ったらどのようなハードルを越えなければならないかを解説します。

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日本が財政破綻しないたった一つの理由

 日本が財政破綻しない理由は簡単です。日本政府の負債である国債は、全て自国通貨である日本円で発行されているからです。

  1. 国債はすべて日本円で発行されている
  2. 日本円の発行権限、つまり通貨発行権は日本政府にある
  3. したがって日本政府は、通貨を発行することでいつでも国債を償還できる

 財政破綻とは英語でデフォルトと言います。負債の利息が返済期日になっても、払えないという状態がデフォルトです。日本政府は日本円を発行できるので、払えないなんて事態はあり得ません。
 払えないではなく「払いたくない」ならあり得るかもしれませんが。

 「国債はいくらでも発行可能だ。なぜなら自国通貨建て国債だから」という理屈は、現代貨幣理論(MMT)が主張しているイメージですが、じつは主流派経済学も認めるところです。
 主流派経済学の場合は「国債が大きくなりすぎると、ハイパーインフレになる~!」と、結論が大きく飛躍するほどに、想像の翼がたくましすぎるだけです。

 本当にハイパーインフレになるか、ならないかを検討してみましょう。

日本が財政破綻しなくてもハイパーインフレが!という主張の難点

デフレのときにインフレの心配は無用

 拒食症の人が、食べ過ぎて肥満になる心配をするでしょうか。肥満の心配はまず、拒食症を治してからです。

 デフレのときにインフレの心配をすることは、上記の心配に似ています。まずデフレを脱却してから、インフレの心配をしましょう。ましてやハイパーインフレの心配など、インフレになってからすればよいのです。

ハイパーインフレは混乱期にしか起きない

 歴史上、平時の民主主義国家でハイパーインフレは起こっていません。「革命」「内乱」「戦争」「独裁政権による政策の暴走」などが、ハイパーインフレの引き金になっています。

 インフレとは需要>供給の状態です。ハイパーインフレは「供給がまったく需要をまかなえない状態」といえます。日本は先の戦争で焼け野原にされ、ハイパーインフレが戦後に起こりました。焼け野原にされて工場や生産設備、人員が不足したからです。

 ハイパーインフレとはこのような、ひどい状況でしか起こりません。国債の額が増えたからハイパーインフレになる! なんて話は、おとぎ話にすらなりません。

ハイパーインフレの原因は金利の高騰らしいが……?

 国債が増えすぎるとハイパーインフレになって、日本が財政破綻する! と唱える人たちは、国債が増えすぎると長期金利が上がり、それがハイパーインフレの発端になると主張します。

 しかし日本国債が増えても、長期金利はむしろ低迷を続けています。現在はマイナス金利ですらあります。

 どのような理屈で、いきなり金利が高騰すると言うのでしょう。

過去に主張された日本が財政破綻しない理由

 ここで、過去に主張された「日本が財政破綻しない理由」も見直しておきましょう。今から考えれば、ややズレた部分もあります。

個人貯蓄1500兆円があるから日本は財政破綻しない

 この主張は現代貨幣理論(MMT)によれば、あべこべです。なぜなら「日本政府が負債を拡大するから、民間が資産を拡大できる」が現実だからです。

 「誰かの負債=誰かの資産」という公式は、お金の話である限りは覆りません。借金したい人がいないのに、お金は貸せないでしょう? お金が貸せなければ、債権=資産も発生しません。
 逆に言えば「誰かがお金を借りてくれないと、資産は発生しない」のです。

 したがって「個人貯蓄がたくさんあるから、政府がそこから借金できる」のではありません。「政府が借金を増やすから、個人貯蓄などの民間資産が増える」のです。

 よって「個人貯蓄が1500兆円だから、そこまでしか日本国債は発行できない」という話にはなりません。日本国債を増やすと、個人貯蓄や民間資産が増えるので延々と追いかけっこすることになります。

国の資産もあるので純負債は少ない

 「借金だけを数えて、資産を数えないのは変だ」というのはもっともな話です。過去に日本が財政破綻しない理由として「政府の資産も数えたら純負債が少ない、したがって財政破綻しない」という主張がありました。

 日本国内で「政府・企業・個人」の資産と負債を合計すると、ゼロになります。当たり前ですよね。「誰かの負債=誰かの資産」ですから。

 それに日本が財政破綻しないのは、自国通貨建て国債であり通貨発行権を持っているからです。
 なので上記の「政府の資産を負債を合わせて考えてどうのこうの」は、微妙にズレた話です。

国債の9割以上が日本国内で消化されている

 現在でも日本国債の90%以上は、日本国内で消化されています。外国人が持っている日本国債は、5~6%ほどだったかと思います。
 「日本政府の借金は、日本人が貸している。だから財政破綻しないんだ!」というロジックは、昔は説得力がありました。

 しかし現在では、現代貨幣理論(MMT)によってもっと単純かつ強力なロジックになっています。「自分たちで発行できる円で借りているのだから、財政破綻するはずがないでしょ」というわけ。

 したがって外国人が国債を買っていようが、円建て国債なので関係ありません。よって「日本国内で消化されようが、外国人投資家が持っていようが『円建てなら関係なく財政破綻しない』」が正解です。

微妙にズレていた過去の「日本が財政破綻しない」というロジック

 過去に日本で述べられていた、日本が財政破綻をしないロジックは「ほんの少しズレている」のがお分かりいただけたでしょうか。
 現代貨幣理論(MMT)が登場してから、一気に「日本が財政破綻しない」というロジックが、整理されました。

 ここからはちょっと論旨を変えて「本気で日本が財政破綻を目指すためには、どうしたらよいのか?」を解説してみます(笑)

日本が財政破綻するために越えなければならないハードル

 日本はそんじょそこらのことじゃ、財政破綻しない、できないとなかなか強固です。日本が財政破綻をしたいなら、かなり高いハードルを越えなければなりません。

ドル建てで借金しまくって返さない

 いわゆる外債、外貨建て国債を大量に発行すれば、日本のは財政破綻可能になります。しかし実際に財政破綻するためには「借りたのはいいけど、返済能力がなくなってしまって……やむにやまれずデフォルトになりました」という大義名分が必要です。

 そりゃそうでしょう。
 最初から返さない前提で借金しようとして、貸してくれる国はありません。よしんば騙して借金したとしても、返さないつもりだったとわかれば最悪戦争です。

 とすると外国から借金した後に、日本の輸出企業をいじめまくって国際競争力を毀損させ、外貨獲得能力を低下させることが必要です。……財政破綻って、大変です。

市場や国民の反対を振り切って、国債償還を政治的決断で停止する

 外国を巻き込むと、最悪戦争になりますから……国内で完結して財政破綻する方法を探してみましょう。

 簡単です。政府が「国債償還できるけど、償還したくない! 償還やめた!」と停止してしまえばよいんです。市場、企業、国民に喧嘩を売る形になりますが。

 市場や企業、国民に喧嘩を売るので当然、政府は一瞬で吹っ飛びます。総理大臣が内乱罪に問われる事態になるかもしれません。
 次の内閣はすぐに、国債の償還を始めます。したがって財政破綻は、ほんの一時期だけ実現するでしょう。財政破綻って、やる覚悟がいります。

変動相場制から固定相場制に移行する

 自国通貨建て国債でも、固定相場制ならば財政破綻したロシアの例があります。簡単に言えば「固定相場制は自国通貨の価値を、外国通貨に依存している」から、財政破綻することがあり得るのです。

 詳しくは、以下の記事が非常に参考になります。

破綻する自国通貨建て国債、破綻しない自国通貨建て国債 - 進撃の庶民
「自国通貨建ての国債では、財政破綻(この場合はデフォルト=債務不履行、借金が返せなくなること)はあり得ない」と言われますが、実は自国通貨建ての国債でも財政破綻する場合があります。 無論、「絶対に財政破綻はあり得ない自国通

 但し固定相場制に移行するためには、外交でアメリカに「固定相場制に移行したいのですが……」と交渉しなければなりません。実現は不可能でしょう。

ハイパーインフレ実現のために、国内の供給能力を破壊しまくる

 外債は最悪戦争になりかねない。内債で償還停止したら内乱罪だし、財政破綻も一瞬しか無理。固定相場制への移行は外交が必要で、しかも実現はほぼ無理。

 とすれば日本国内の供給能力をことごとく破壊すれば、ハイパーインフレになって国債発行および通貨発行が不可能、むしろ極度の金融引き締めが必要になって財政破綻が可能になるかもしれません。

 ……。
 「日本国内の供給能力をことごとく破壊」って内乱じゃん。無理じゃん(投げやりポーイ)

財政破綻論者はお花畑の夢想主義者!

 日本が財政破綻しない理由は、日本が本気で財政破綻を目指しても数々のハードルが立ち塞がるからです。財政破綻するって、むっちゃ難しいんですよ。
 財政破綻論者は「10年後に財政破綻が!」などと簡単に言いますが、無理です。ハードルが高すぎて、財政破綻するなんて現実的ではありません。困難です。

 財政破綻論者はお花畑だったのです!

日本が財政破綻しない理由まとめ

 日本を財政破綻させようとしても、道筋が見えないほどに日本の財政破綻は困難です。これが日本が財政破綻しない理由です。
 ……すいません、学術的には「自国通貨建て国債だから、財政破綻しない」が本当の理由です。

 「自国通貨建て国債だし、通貨発行権があるので財政破綻しない」と言われても、理屈は理解できても「なんとなく不安」かもしれません。
 しかし「本気で財政破綻を目指して、こんなに困難」と示されると「ほんまや! 無理やん!」となりませんか? (笑)

 日本が財政破綻しない理由。正当なのは「自国通貨建て国債だから」ですが、どうしても相手が納得しない場合は「財政破綻させようとすると、これだけ大変」と目先を変えてみてもよいかもしれません。

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黄昏のタロ
2 月 前

お邪魔いたしますです。

 ハイパーインフレがー。

 ハイパーインフレだって条件があるですよね。そもそも論だと、ハイパーインフレになる前に策を講じて、それなりに対処すると思うです。普通に考えたら、ほったらかしてハイパーインフレにしないですよね。

 デフレをほったらかすよーに、ハイパーインフレもほったらかすんじゃないかって、政権の信用が無いのも心配したくなる理由に入ってるんじゃないか?って考えてるです。

12434
2 月 前

緊急「徳政令」で日本を救え!
https://ameblo.jp/watanabemiki/entry-12588105691.html
渡邉美樹オフィシャルブログ 夢に日付を!(ワタミ 代表取締役会長 兼 グループCEO)

渡邉美樹さんがよく仰るように、「国の借金を放置しておくといずれはハイパーインフレーションを引き起こしてしまう」という主張は昔から腐るほど聞かされてきましたね。国民の多くはどちらかと言えばそれを信じています。しかし、その理屈や仕組みはそもそもどんなものか、あるいはそれは本当に正しいのかを、本気で考えていた日本人は極少数でしょう。
「国の借金が膨大になるのはなんとなくヤバいな」という漠然した気持ちを抱えている人が大方だと思います。本気で国の借金がまずいと考えている国民が多いなら間違いなく、渡邉さんのように、改憲で財政規律を憲法の条文に追加すべきと考えている国民がそれなりにたくさんいるはずですが、現実はそうではありません。

しかし仮にもし、「国の借金による日本の財政破綻」を本気で危惧する国民が多くなりましたら、それに異論を唱える現代貨幣理論支持者も同じく増えるはずです。渡邉さんは、後者と真面目に向き合うつもりがあるのでしょうか?
渡邉さんは「政治家は嫌われても正しい方向を示すべきだ」と主張していますが、それならば、渡邉さんは自分がさんざん嫌な思いをすることになっても、西田昌司議員のような現代貨幣理論支持者と公開的な議論をすべきです。おそらくもしそれをやったら、西田議員の支持者などから渡邉さんは厳しく批判されと思います。それをある程度受け止めるくらいの度量は見せて欲しいところです。