現代貨幣論批判の報道が少なくなって、だいぶ経ちます。10月初旬には、ほとんど出ていなかったと記憶しています。
一方で過去に、MMT信者という言葉が少しだけ流れました。西村ひろゆきさんの記事、サンケイビズなどでです。
どちらも「信者」という言葉を否定的にとらえ、現代貨幣理論への皮肉を書いていました。
今日は「MMT信者」という言葉を、真正面から捉えて解釈してみます。
MMT信者の「信者」の定義とは
「信者」という言葉の定義は、どのようなものでしょう。
- 信者(しんじゃ)とは、特定の宗教を信仰する者。別に信徒(しんと)、檀信徒(だんしんと)、「~教徒」とも言う。
- 上記より転じて、特定の個人や団体や主義や製品などに熱中し、異なる主張を客観的に判断できない者。
この場合、2.の解釈がMMT信者という言葉に含まれています。
つまり「現代貨幣理論に熱中して、正当な経済理論や経済的主張を客観的に理解できない」ことが、MMT信者ということになるでしょう。
ファンと信者の違いとは
信者と教祖は何故キモイと言われるのか。ファンと信者の決定的な違い | APOLLONという記事を見ています。なるほど、面白い特徴があるようです。
記事によれば「ファンは時に、対象を批判する」そうです。信者はしないとのこと。つまりファンは「好き嫌い」であり、信者は「盲信」ということでしょう。
MMT「信者」という言い回しは、どうも正しくないように思えます。なぜならMMT支持者は、MMT批判に対して理論的に反論を繰り返しているからです。
……そもそも「MMTファン」というのは聞いたことがありません。学説ですから、当然ではあります。
ポピュラーなMMT批判に対しての反論は全て終わっている
現代貨幣理論批判は、おおよそ2種類ありました。
- 財政破綻する!
- 民主主義で積極財政をやれば、インフレが止まらなくなる
現代貨幣理論の主張は、なにも難しくありません。自国通貨建て国債で、財政破綻することはない。したがって国債発行の基準は、インフレ率を見ながらやるべきだ。これだけです。
1.は理論的にも間違っていて、すでに主張する人はいません。基本的にMMT批判は2.になります。これもブキャナンの「赤字の民主主義」が間違っている、財政主権は国民にあるという議論で反論されています。この反論に対して有効な再反論は、現在の所ありません。
MMT批判へ客観的に反論したら、MMT信者と呼ばれたでござる?
MMT信者の定義を思い出してみましょう。
つまり「現代貨幣理論に熱中して、正当な経済理論や経済的主張を客観的に理解できない」ことが、MMT信者ということになるでしょう。
MMT批判では、おおよそ正当性のある批判は聞かれませんでした。とするとMMT支持者が熱中しているのではなく、MMT批判者こそが「熱中している」のではないでしょうか?
つまりMMT信者などは存在せず、MMTアンチのみ存在するという解釈です。
MMT支持者は程度の差こそあれ、現代貨幣理論を理解しています。しかし一方でMMTアンチは、現代貨幣理論を「理解して批判している」のでしょうか?
その映画を見ずに、批判も評価もできません。新古典派経済学を理解するからこそ、批判できるのです。現代貨幣理論への批判も、そうであってほしいと思います。
ひろゆきさんのMMT批判に見る、MMT批判の共通点
MMT信者を応援して、無税国家をつくろう。(西村博之/ひろゆき)という記事が、少し前に出ました。ひろゆきさんの記事に対しての反論は、以下をご覧ください。
ひろゆきさんの記事の概要は、こうです。
- MMTでは、いくらでも国債が発行できるらしい
- だったら無税国家にしようよ? ほら、できないでしょ?
彼は意図的かどうかはともかく、MMTの「財政拡張はインフレ率に制約される」という理論を無視しています。MMT批判のほとんどは、このようなものです。
つまり「ここがおかしいじゃないか!」と、他の構成する要素を無視して批判するのです。
やはり存在するのは「MMT信者」ではなく、「MMTアンチ」のみなのかも知れません。
お帰りなさいませです。
お邪魔いたしますです。
> 彼は意図的かどうかはともかく、MMTの「財政拡張はインフレ率に制約される」という理論を無視しています。MMT批判のほとんどは、このようなものです。
つまり「ここがおかしいじゃないか!」と、他の構成する要素を無視して批判するのです。
すこーし前のおいらはそーだったわけです。よく読めば書いてあるのに。
反省を込めて言うと「おいら、読解力も理解力も足りない人なんです」って公言してるのと変わりないです。
>2.だったら無税国家にしようよ? ほら、できないでしょ?
今なら解るです。インフレに対するビルトインスタビライザーを棄ててしまうことですよね。
彼の人ではないですけど「政策で決めてたらタイムラグがー」って批判も見かけたですけど、インフレになれば自動的に納税額が増えてインフレを冷ます。冷ましきれなければ政策って二段構ですよね。一段目に気が付かないと、危ういって思い込めちゃうです。
ただいまです。
西村ひろゆきさんの主張って、実は結構ポピュラーなんですよね。
世の中は案外、そんなものなのかも知れません。