2ちゃんねるの創始者であるひろゆき氏が、新著「1%の努力」を出版しました。
ひろゆき氏のスタンスや見解は、とてもユニークです。前々から興味があり、是非とも著作を読んでみたいと思っていました。
口コミを参照したところトップレビュー5つ中、3つが星1つ(笑) かなり辛辣なレビューだったので、迷わずに1%の努力を購入しました。
それだけ反発されるということは、内容がユニークで異端なはず。読み進めると、とても面白い本でした。
基礎情報
最初に基礎情報だけ、さっと見ておきましょう。
著者のひろゆきとは
ひろゆき氏は2ちゃんねる創始者で、現在は英語の4ちゃんねるを運営しているそうです。ニコニコ動画の管理人もしていました。
本名は西村 博之、1976年生まれです。現在はフランスのパリに住んでおり、通称はひろゆき。なお身長は173cm。この情報は必要なんだろうか。
目次
1%どの努力の大目次は、以下のようになっています。
- 団地の働かない大人たち——「前提条件」の話
- 壺に何を入れるか——「優先順位」の話
- なくなったら困るもの——「ニーズと価値」の話
- どこにいるかが重要——「ポジション」の話
- 最後にトクをする人——「努力」の話
- 明日やれることは、今日やるな——「パターン化」の話
- 働かないアリであれ——「余生」の話
個人的には「壺に何を入れるか」が印象に残りました。
「1%の努力」要約
「1%の努力」の要約をすごく簡単に言えば「無駄な努力はしんどいだけ」です。ひろゆき氏自身も1%の努力を、努力不要論として書いたと言います。
ただしこの努力不要論、案外「厳しい」面も。
努力不要論は思考停止を許さない
日本人は同調圧力に弱い、という性質があります。「みんな同じ」は安心できるんですが、一方で「みんなと同じなので、抜きん出るためには努力が必要」です。
努力でなんとかできる人は良いですが、それは一部です。100人いたら、90人の努力は実りません。
なのになぜ、みんな同じがいいのか? 同じだと、考えずに済むからです。一種の思考停止が「みんな同じ」にはあります。
逆に努力不要論を地で行こうとすると「みんな同じ」から決別しなければなりません。努力不要論は、思考停止を許さないのです。
努力じゃない積み重ね
努力を極端に表現すると「イヤだけど、我慢して頑張る」です。
ひろゆき氏は映画を見たり、エンターテイメントを楽しんだりするのが好きだそうです。
楽しいことに、努力は必要ありません。
2時間の映画を見た後に、あなたはなんと思うでしょうか。
「しまった、2時間も無駄にしてしまった」ですか? ひろゆき氏は「2時間もエンターテイメントを勉強した」と思うのだそうです。
筆者もひろゆき氏の感覚が、理解できます。
良い映画や本を見たら筆者は、レビュー記事を書いて共有するようにしています。面白くない映画は、どこが面白くなかったのかを考えると、色々と気づきがあります。
この作業は、苦痛ではありません。「努力じゃない積み重ね」の方が、苦痛な努力より実りますよ。
幸せになるための優先順位
壺に何を入れるか——「優先順位」の話。この章が筆者にとって、もっとも印象に残りました。
自分のやりたいことができれば、幸せになれます。そのためにどうするのか? 優先順位をつけることが重要です。
ひろゆき氏は、睡眠が優先順位のトップだそうです。睡眠と仕事なら、迷わず睡眠を優先するそう。
あなたにとって、幸せになるための優先順位は何でしょうか。筆者が優先するのは、美味しい食事と知的好奇心です。
印象に残った箇所を引用してレビュー
印象に残った箇所を、引用してレビューします。
余談ですが本をKindleで読むとき、印象に残った箇所にハイライトを入れておきましょう。読み返すときに、とても便利ですよ。
大学生に話しておきたいこと
仕事なんてものは、僕にとって砂利や砂や水にすぎない。それらを先に壺に入れてしまうと、どうしたって睡眠を削らなくてはいけない。 そんな人生は、死んでもイヤだ。
これは「壺に何を入れるか——「優先順位」の話」に出てきます。
- 壺に岩を一杯に入れる
- これでもう、何も入らない? いやいや、砂利が入ります
- 砂利を入れたらもう何も入らない? 砂が入ります。その後は水
この例えば話が示すところは「まだまだ詰め込める」ではありません。「先に水や砂利を入れると、後から岩は入らない」です。
あなたにとっての岩が何か、優先順位の高いものは何か。先に岩が入るスペースを、確保してしまいましょう。
キャパオーバーする瞬間
人間にはキャパオーバーする瞬間がある。たとえば、寒くて凍死するようなとき、ずっと寒さと戦って、死にそうだ、死にそうだと思い、どこかの瞬間で、「ああ、もう無理だわ」と諦めたときに死ぬのだという。
これも優先順位の話。簡単に言えば、ストレスを溜めて折れるとヤバい。努力をし続けても報われなければ、ストレスですよね。
残念ながら努力が結果に結びつく割合は、他の要素に比べて低いのだそうです。
例えば東大生の親で、年収450万円以下は1割しかいないそうです。6割は950万円以上。
努力より環境が学力に結びついている、明確な証拠です。死ぬ気になれば何でもできる! 的など根性論は、人を不幸せにすると言えます。
逆張り vs 紋切り型
世の中は、本当にみんな同じことしか言わない。そんな中で、ちょっと違う視点からモノが言えれば、一気に抜きんでることができる。
Twitterのインフルエンサーを見ていても、独自の意見や解釈、見解を持っていることが多いです。そしてその見解に、説得力があります。
単に「俺の独自理論!」では、逆張りにすらなっていません。みんなと違うことを、どれだけ説得力を持って言えるか。かなり大切なことです。
トップが下を殺しうる
東芝の社員、1人1人の努力が足りないかというと、そうではない。おそらく、他の企業と比べても、現場の人の努力の質や能力の差は、そこまでないだろう。悪いのは、経営層だ。
東芝の経営が傾いているのは、一体誰のせいかという話。
経営者やトップはしばしば、結果が出ないのを社員や下の人たちのせいにします。しかし下の人たちが他に比べて怠けているのか? そんなことはありません。
にもかかわらず努力を強要すると、下が殺されることに。
過労死やブラック企業などは、この典型ですよね。
社会システムが悪いんだ
お金儲けの本やダイエット本などは、この自由意志が正常に機能することが大前提として書かれている。
さて、この「自由意志」によって人生を変えられる範囲は、一体どのくらいあるのだろうか。
僕は、ゼロではないが「とても少ない」と思っている。
ダイエットは摂取カロリーより消費カロリーが多ければ、100%痩せます。「食べてないのに太る」などあり得ません。
しかし簡単に体重を落とせるなら、世の中にダイエット商品はあふれてません。
人間の自由意志は、そこまで強くありません。「やればできる」のだとしても、「できない人たち」は多く存在します。
自由意志が正常に機能することが前提の社会システムは、意志の弱い人間にとってしんどいシステムです。
肉屋を応援する豚
「肉屋を応援する豚」という言葉が最近のマイブームだ。いつか自分が殺されてしまう状況の豚が、肉屋の営業を心配してしまい、最後には屠畜される話だ。
筆者も前々から「意識高い系で、経営者目線を語る被雇用者はバカ」と言ってきました。「肉屋を応援する豚」とは、上手い言い回しです。
別名「奴隷の鎖自慢」です。
パリの働かないアリたち
パリでは、ホームレスがいい車に乗って出勤してくる。観光客から結構なお金がもらえるらしく、普通に車で出勤してきて稼いで帰るという。もはや、ホームレスという職業を謳歌している。
日本人にはちょっと、信じられない光景です。なんせ生活保護者が贅沢をしていたら、叩きまくるのが日本クオリティですから。
筆者は日本の食文化やアニメ、伝統芸能など大好きです。しかし現代日本は、生きづらい部分ばかり目立ちます。
口コミ
1%の努力の、口コミが非常に面白いです。
なんか他所で喋ったことを、まとめただけの本。
信者なら良いかもしれないが、どっかで聞いたことを今更本で読む価値はない。
星1つの口コミです。どれだけひろゆきの動画や話を聞いてんだよっ! との、ツッコミ待ちでしょうか。
言っていることが、どこかで聞いたことのあるような話をそれっぽく並べているだけで、鋭い洞察力に満ちた言葉がありません。
当然定量的な話は一切なく、定量的かつ感覚的な話に終始していて、いまいち説得力がありません。(原文まま)
やはりひろゆきはホリエモンと絡んで対談している方が面白いですね。
1%の努力という本は、ひろゆきの思想の本です。思想を数値化して、定量的な話に置き換えられると思う人がいるのは驚きです。
取り上げた2つの口コミは、トップレビューです。多くの人が「参考になった」「共感した」のだそう。――これだけ反発されるのは、かなりすごいことです。
とても感銘を受けました。自分の中でこれは絶対にやらなくちゃいけないという、縛りみたいな考え方がありましたが、もっと気楽に考えればいいんだと思えるようになりました。
真面目でまっすぐで生きづらい人ほど、読むことをおすすめします。無駄な努力を止めて、肩の力を抜いて幸せになりましょう。
まとめ
ひろゆき氏だけあって、文章は非常に読みやすいです。すいすいと読み進められますし、頭にも入りやすい文体です。
ひろゆき本と言うと「え”、ひろゆきかよ」と思うかもしれません。ひろゆきは存在が、かなり異質だからです。
だがしかし! 異質だからこそ読む価値があります。違うものの見方を、知ることができるからです。
「ひろゆきの本なんて、読む価値がない!」と決めつける前に、読んでみてはいかが? 食わず嫌いは、もったいないですよ。
>自由意志が正常に機能することが前提の社会システムは、意志の弱い人間にとってしんどいシステムです。
これは私の推測なので申し訳ないのですが、たぶんきっと、日本よりもパリの方が『自由意志が正常に機能することが前提の社会システム』なんじゃないかと、思ってしまいますね・・。
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>なのになぜ、みんな同じがいいのか? 同じだと、考えずに済むからです。一種の思考停止が「みんな同じ」にはあります。
>逆に努力不要論を地で行こうとすると「みんな同じ」から決別しなければなりません。努力不要論は、思考停止を許さないのです。
そもそも論としまして、まず人はそれぞれ一人一人、みんなオリジナルなんですよね・・。(血を分けた家族だって・・、極端なことを言えば一卵性双生児の双子だって、結局のところは別個体です)
ここに気付かないで個性個性というのは、違うんだろうなあとも思いますね・・。
そもそも、人は生まれた瞬間からみんなオリジナルなのです。
息がこと切れるその瞬間まで、その人の人生の主人公なのです。つまりは特別なのです。
ストーリーは千差万別ですけどね。
その千差万別の主人公のうち、全員が全員とは言えずとも、比較的多くの人の人生をより有意義なものにする可能性があるのが、経世済民であると、そう信じたいと思います。
>日本よりもパリの方が『自由意志が正常に機能することが前提の社会システム』なんじゃないかと、思ってしまいますね・・。
どうなんでしょうか。パリに詳しくないので、あまりよくわかりません(汗)