日本の経済成長率はデフレで低下しています。そのことは、多くの人がご存じでしょう。しかし、実際にどれくらい低下しているのか知る人は少ないはず。
21世紀の日本の実質経済成長率は平均0.9%でした。
同じ先進国であるアメリカ、イギリス、ドイツなどと比較しても低い数字です。繰り返しますが、比較した数字は”実質”経済成長率です。
どうして日本の経済成長率が低いのか。他国との比較もまとめて解説します。
経済成長率とは
経済成長率とは、前期や前年と比較したGDPの伸び率です。GDPは国内総生産と呼ばれ、国内で生産された付加価値の総合計を指します。
つまり、経済成長率とは国内で生産された付加価値の総合計の伸び率です。
名目経済成長率
名目経済成長率は、名目GDPから算出される経済成長率です。名目GDPとは国内で生産された付加価値を合計した金額です。インフレやデフレなど、物価変動の影響を受けます。
実質経済成長率
実質経済成長率は、実質GDPから算出される経済成長率です。実質GDPとは名目GDPから物価変動率を差し引いた指標です。インフレやデフレなどの影響を受けないため、名目GDPより重視されることが多いです。
日本の経済成長率の推移
以下のグラフと数値は実質経済成長率です。
1980 | 1981 | 1982 | 1983 | 1984 | 1985 | 1986 | 1987 | 1988 | 1989 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3.18 | 4.21 | 3.31 | 3.52 | 4.50 | 5.23 | 3.33 | 4.73 | 6.79 | 4.86 |
1990 | 1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 |
4.89 | 3.42 | 0.85 | -0.52 | 0.99 | 2.74 | 3.10 | 1.08 | -1.13 | -0.25 |
2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
2.78 | 0.41 | 0.12 | 1.53 | 2.21 | 1.66 | 1.42 | 1.65 | -1.09 | -5.42 |
2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
4.19 | -0.12 | 1.50 | 2.00 | 0.38 | 1.22 | 0.52 | 2.17 | 0.28 | 0.67 |
2020 | |||||||||
-5.27 |
1991年のバブル崩壊以降、高かった経済成長率が低下しました。バブル崩壊後と1998年のデフレ突入以降、マイナス成長やゼロ成長が目立ちます。
日本のマイナス成長は、消費増税してデフレ突入した1998年から1999年と、リーマンショック後の2008年から2009年、東日本大震災の2011年です。
リーマンショックや東日本大震災並みに、1998年の消費増税とデフレ突入のインパクトは大きかったとわかります。
2013年から2020年までがアベノミクスですが、決して経済成長率は高くありませんでした。アベノミクスでは経済成長しなかったのです。
21世紀の日本と世界の平均経済成長率
21世紀の日本の経済成長率は平均0.9%です。コロナ禍でマイナスが大きかったため、2020年の経済成長率は含めていません。
一方、同時期のアメリカは平均2.1%、イギリスは1.85%、ドイツは1.35%でした。
多くの先進国では実質経済成長率が日本を上回っており、日本の経済成長率の低さが目立ちます。なお、同時期の中国は平均9%、韓国は平均4.1%でした。
中国に至っては日本の10倍もの経済成長率を誇ります。
どうして日本の経済成長率はこんなにも低いのでしょうか。
重ねてお断りしますが、比較した数値は実質経済成長率です。名目経済成長率ならもっと差がついたことでしょう。
日本はなぜ経済成長率が低いのか
デフレで下がるのは名目経済成長率だけではありません。計算式として実質経済成長率はデフレに影響されません。しかし、現実には実質経済成長率もデフレに影響されます。
デフレとは需要過少の状態です。需要が過少であれば企業の売り上げは伸びず、設備投資や人件費のコストカットが行われます。
所得が下がれば個人は消費を抑えて節約します。
デフレは社会全体をコストカットに走らせます。
コストカットの結果、研究投資や開発費もコストカットされます。
くわえて、日本は1997年から政府も消極財政(緊縮財政)を敷いてきました。研究開発予算や大学の予算も削りに削っています。
研究開発費や設備投資などが削られていけば、イノベーションが起きにくいのは必然です。デフレは名目経済成長率のみならず、実質経済成長率の足も引っ張ります。
その証拠に、日本の実質経済成長率は21世紀に入って0.9%でしかありません。
“普通の”経済成長率を取り戻すには、デフレ脱却が必要です。
デフレ脱却は政府による支出の拡大、積極財政しかありません。
まとめ
日本の経済成長率は実質値で非常に低いものです。21世紀に入って日本の実質経済成長率は平均0.9%でした。
同じ先進国であるアメリカ、イギリス、ドイツと比べてかなり低いです。
中国や韓国とは比較にすらなりません。中国は日本の10倍、韓国は4倍の経済成長率です。
日本の経済成長率が低いのはデフレだからです。デフレは社会全体をコストカットに動かし、研究開発費や設備投資などを鈍らせます。その結果、イノベーションも起きにくくなります。
そうして、実質経済成長率の伸びも鈍くなるのです。
日本でも積極財政が必要です。