生活保護の申請は国民の権利です。誰でも生活保護を申請できます。
しかし、生活保護は長年に渡って水際作戦が行われてきました。生活保護予算の4分の1は自治体からです。そのため、自治体は生活保護が増えることを嫌いました。
今回の記事では生活保護の申請に必要な書類や、生活保護受給の条件などを解説します。くわえて、水際作戦に有効な裏技についても紹介します。
生活保護は国民の権利です。困窮しているなら、迷わず生活保護を申請しましょう。
生活保護とは
生活保護とは生活が困窮したとき、困窮の程度に応じて給付が行われる制度です。健康で文化的な最低限の生活を保障し、自立を支援するための制度が生活保護です。
生活保護の申請は国民の権利であり、誰にでも申請することができます。申請を受けて福祉事務所は資産調査などを行い、困窮していると判明したら生活保護が開始されます。
通常は資産調査などが14日以内に完了し、決定が下されます。
生活保護申請から受給までの流れ
生活保護の申請から受給までの流れについて解説します。
生活保護受給の条件
生活保護はどのような状態の人でも申請できます。しかし、受給にはいくつかの条件があります。
- 世帯収入が最低生活費より少ない
- 資産などを活用しても生活できない
- 働く場所がない、働けない
- 年金など他の制度を使っても最低生活費に届かない
ここで出てくる「最低生活費」とは、生活保護で支給される金額のことを指します。健康で文化的な最低限の生活を送れる金額が最低生活費です。
最低生活費は自治体によって異なります。10万円から13万円がおおよその最低生活費です。最低生活費の計算は以下のサイトで行えます。
最低生活費の計算サイトはこちら。
申請から生活保護決定までの流れ
生活保護の申請書は福祉事務所に提出します。
生活保護を申請するための必要書類を提出します。その後、14日以内に福祉事務所はあなたの資産調査などを行います。
くわえて、申請日の当日か数日以内に面談があります。相談員や担当のケースワーカーによって、健康状態や生活歴、住まいの状態などの確認が行われます。
聞き取りや資産調査などが完了し、生活保護を開始するかどうか決定されます。基本的には14日以内に決定されますが、やむを得ない事情がある場合は14日以上かかることも。
14日以上かかる場合でも、30日以内に決定しなければならないと定められています。
もしも生活保護が却下された場合、その理由が書かれた書類をもらえます。不服であれば再審査してもらうため、審査請求できます。
申請に必要な書類
以下が申請に必要な書類や、持っていくとスムーズに申請が進む書類です。書類がなくても申請書を書けば、生活保護は申請できます。
申請書を渡してくれない水際作戦の対策は後述します。
必要な書類
- 生活保護申請書
- 資産申告書
- 収入、無収入申告書
- 一時金申請書(アパートを借りるときの初期費用)
持っていくとスムーズに進む書類
- 賃貸借契約書
- 通帳
- 印鑑
- 本人確認書類
- 収入がわかるもの
生活保護を申請したときのQ&A
生活保護の申請は福祉事務所で申請書を書くだけです。しかし、生活保護の申請にはそれ以外のハードルがいくつかあります。
「水際作戦」「資産の保有」「扶養照会」です。
それぞれ解説していきます。
水際作戦にあったら
水際作戦とは、福祉事務所に相談に行っても申請書を渡してくれないことです。相談中に「まだ若いし働けるんだから」「住所がないと生活保護を受けられない」「借金がある人は借金をなんとかしてから……」などと申請書を渡してくれません。
生活保護の申請は国民の権利であり、阻害されることはあってはなりません。
こうした水際作戦に対抗するには、申請代行やサポートセンターを頼りましょう。たとえば、法テラスに相談して行政書士に付き添ってもらう、支援団体の職員に付き添ってもらうなどが有効です。どちらも親身に相談に乗ってくれるそうです。
知識のある付き添いがいるなら、福祉事務所の職員も水際作戦を行えません。水際作戦は適法ではないからです。
「法テラス」や「認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」はどちらも無料で相談できます。不安なら生活保護の申請前に相談しましょう。
資産の保有はどこまで認められる?
生活保護の受給では資産が制限されます。どこまで資産が認められるのか、簡単にまとめました。
持ち家
持ち家は「ローンが残っていない」「売却額が大きくない」の2点を満たしていれば認められます。ローンが残っている場合や、高い資産価値がある場合は売却が必要となります。
関連して、生活保護費からローンや借金の返済はできません。もし借金がある場合は法テラスに相談し、生活保護と自己破産手続きを同時に進める必要があります。
自動車
自動車は残念ながら多くのケースでは認められません。通院や生活、事業用に必要と認められた場合のみ、保有が許されます。
その他資産
貴金属や解約金が戻ってくる生命保険などは、売却や解約が求められる場合があります。なお、生活保護申請時の現金資産は最低生活費を下回っている必要があります。
金額にすると10万円前後です。
扶養照会されるのがイヤだ
生活保護を申請したとき、親族に援助できないかどうかを問い合わせる制度が扶養照会です。親族に知られたくない人も多く、扶養照会が生活保護のハードルになっていることも。
親族にDVを受けていたり、借金・相続などで対立していたりするなど関係がよくない場合は扶養照会を免除されるケースがあります。
くわえて、10年以上連絡を取っていなければ扶養照会しなくてもいいとされています。
扶養照会をされたくないなら、福祉事務所に相談してみましょう。
生活保護申請のための裏技「フミダン」
生活保護の申請書をオンラインで記入できるサービスがあります。
フミダンはオンラインで生活保護の申請書が作成でき、コンビニなどで印刷して福祉事務所に持っていけます。
申請書を渡さないのが水際作戦です。申請書を持ってこられると福祉事務所は受け取らざるを得ません。そう法律に定められているからです。
自分で生活保護の申請書を作っていくのは、水際作戦に対して有効な手立てです。
フミダンは2020年に発足したばかりのサービスで、まだまだ知られていません。ある種の裏技的な存在です。
あなたの周りに、生活保護の申請で困っている人がいたら教えてあげてくださいね。
まとめ
生活保護の申請は国民の権利です。生活保護の申請に複雑な書類は必要ありません。最悪、申請書だけでも生活保護は申請できます。
生活保護の受給にはいくつかの条件があります。世帯収入が最低生活費以下、活用できる資産がないことなどです。困窮しているなら条件をクリアしているケースがほとんどです。
水際作戦を行っている自治体もあります。申請に行っても申請書を渡してくれないケースが目立ちます。法テラスや支援団体に相談して付き添ってもらうか、フミダンで申請書をあらかじめ作っていきましょう。
貧困、困窮には誰しも陥る可能性があります。生活保護は国民の権利ですから、はばからずに頼りましょう。