一目瞭然!日本のインフレ率の低さをグラフや数字で各国と比較

 日本は失われた20年でデフレに悩まされています。そう言われても、それが普通なのであまり実感が湧きませんよね。

 そこで、今回の記事では他国と日本のインフレ率を比較しました。比較した国はアメリカ、ドイツ、イギリス、韓国です。さらに、それぞれの国の1994年から2020年までの平均インフレ率も比較します。

 なんと、日本の平均インフレ率は0.17%です。他の国はだいたい2%でした。

 グラフや数字で比較すると、日本のインフレ率がいかに突出して低いか理解できます。

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インフレ率とは

 インフレとは物価が上昇し、相対的に貨幣価値が下落する現象です。
 昨日は100円でパンが2つ買えました。今日は100円でパンが1つしか買えません。このケースではパンの値段が50円から100円に上昇しました。
 逆に、100円の価値がパン2つ分から1つ分に下落したとも言えます。
 この物価の上昇率、貨幣価値の下落率をインフレ率といます。

 去年よりどれくらい物価が上昇したのかをインフレ率は表します。
 インフレ率は一般的に2~3%が健全だとされます。

日本のインフレ率の推移とグラフ

日本のインフレ率グラフ
1980198119821983198419851986198719881989
7.814.922.741.902.262.030.600.130.682.27
1990199119921993199419951996199719981999
3.083.251.761.240.70-0.130.141.750.67-0.34
2000200120022003200420052006200720082009
-0.68-0.74-0.92-0.26-0.01-0.280.250.061.38-1.35
2010201120122013201420152016201720182019
-0.72-0.27-0.060.342.760.79-0.120.470.980.48
2020
-0.06

 上記が日本のインフレ率です。1994年からインフレ率が低くなり(ディスインフレーション)、1999年から完全にデフレ化しました。
 1994年以降で1%以上のインフレ率になったのは、1997年(消費増税)と2008年(リーマンショック直前)、2014年(消費増税)の3回だけです。

 2010年代もときどきインフレ率がマイナスになっており、デフレは脱却できていません。直近の2020年のインフレ率は-0.06%でマイナスでした。
 1994年から2020年までの日本の平均インフレ率は、0.178%と非常に低い数字です。

日本と各国のインフレ率の比較

日本とドイツのインフレ率グラフ
日本とドイツのインフレ率グラフ
日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、韓国のインフレ率グラフ

 日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、韓国のインフレ率を比較したグラフを作成しました。グラフではわかりにくいので、各国の1994年から2020年までの平均インフレ率も算出しました。

国名平均インフレ率
日本0.17%
アメリカ2.19%
ドイツ1.46%
イギリス1.97%
韓国2.86%

 日本のインフレ率が突出して低いことがわかります。他の国ではインフレ率がおおよそ1.5~5%弱で推移していました。一方、日本は1%を突破したことが1994年以降、3回しかありません。

 日本では根強く「国の借金でインフレ率が高くなる」と信じられていますが、実際には異常なほどの低いインフレ率です。

日銀のインフレ目標が未達だった理由

 2013年の安倍政権から、日銀は異次元の金融緩和を実施してきました。金融緩和を実施した理由は、2%のインフレ目標を掲げたからです。
 金融緩和によってマネタリーベースを増加させれば、インフレ期待が高まりインフレ率が高くなると考えられました。この理論を信じていた人たちをリフレ派と呼びます。

 しかし、日本のインフレ率はピクリとも上がりませんでした。リフレ派の理論は間違いだったのです。

 考えてみれば当たり前です。いくら日銀がお金を民間銀行に供給しても、資金需要がなければ借り手は増えません。お金が市場に出回らず、当座預金にブタ積みになります。
 マイナス金利の時点で、いくら金融緩和をしても効果はありませんでした。

 日本の政策は金融緩和+消極財政(緊縮財政)です。
 消極財政を続けている限り、インフレ率が上がる見通しは立ちづらいでしょう

日本が低いインフレ率から抜け出すためには

 日本が低いインフレ率、すなわちデフレから脱却するための解決策は簡単です。
 デフレとは需要<供給の状態であり、インフレとは需要>供給の状態です。需要が増えれば自然とインフレ率は上がります。

 インフレ率が低いことは、日本に需要が少ないことを示しています。

 需要の増加は民間だけでは困難です。需要が少ないとは、売り上げが少ないことと同義です。需要が少ないと企業は設備投資を減らし、コストカットに走ります。
 人件費が減らされて所得が減少し、個人も節約に走ります。
 こうして、ますます需要が少なくなります。

 民間だけでは需要が増やせないため、政府支出による需要増加が必要です。

 くわえて、日本は1994年からインフレ率が低下しています。需要が増えやすい社会構造に体質改善することが必要です。

 1つは大きな政府です。インフレ率が低いのは政府支出が小さすぎる証拠です。
 もう1つは富の再分配機能の強化です。消費性向の高い低所得層に富の再分配が行われれば需要は増加します。

まとめ

 インフレ率とは去年よりどれくらい物価が上昇したかです。相対的に、貨幣価値の下落率とも言えます。

 資本主義においてインフレが健全な状態です。デフレやインフレ率が異常に低い状態は不健全です。
 日本のインフレ率は1994年から2020年の平均で0.17%でした。一方、他国はおおよそ2%です。日本のインフレ率がいかに低いか理解できます。

 低いインフレ率を解決するには、政府支出拡大による需要増加が必要です。くわえて、消費性向の高い低所得層に富の再分配を行うことも必要でしょう。

 低いインフレ率を克服し、デフレから脱却すれば経済成長は目の前です。経済成長のため、低いインフレ率を解決しなければなりません。

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