知っておきたい!生活保護の仕組みやメリット・デメリット

 格差拡大や高齢化、非正規雇用の雇い止めなどで困窮するケースが後を絶ちません。厚生労働省のデータによれば2000年代に入ってから「高齢者」と「その他」の生活保護受給者が急増しています。
 「その他」とは「高齢者」「母子家庭」「障害者や傷病者」のいずれにも入らない人たちです。

 「その他」は2000年に5.5万世帯でしたが、2013年には28万8000世帯に急増しました。奇しくも格差や非正規雇用の拡大と一致します。

 困窮に陥ったとき、最後の頼みが綱が生活保護です。だからこそ、生活保護のことをしっかりと知っておきたいですよね。生活保護の仕組みやメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

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生活保護とは

 生活保護とは憲法25条の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づいて、生活困窮者に必要最低限の生活費を支給する制度です。

 生活保護の申請はすべての国民に認められた権利で、誰でも生活保護を申請できます。申請自体は裕福な人でも可能ですが、審査に通った人しか生活保護は支給されません。

 生活保護は最低限の生活費を受給できますが、同時にさまざまな制限を受けます。例えば、生命保険や宝飾品、借金がNGです。引っ越しを迫られるケースもあります。

 生活保護の仕組みを理解することでメリット・デメリットがより鮮明にわかります。

生活保護の仕組み

 生活保護を受給するためには、いくつかの条件を満たさないといけません。

  1. 世帯収入が最低生活費より少ない
  2. 資産などを活用しても生活できない
  3. 働けない、雇用してもらえない
  4. 年金など他の制度を利用しても最低生活費に届かない

 最低生活費は自治体ごとに設定されています。気になる人は「生活保護の金額、あなたはいくらもらえる?簡単な入力だけで保護費を自動計算します!」で自動計算が可能です。
 ちなみに、計算してみると筆者は11万8000円が支給されるそうです。

 1人世帯だとケースにもよりますが、約10万円~13万円が支給されます。

 生活保護は主に生活扶助、住宅扶助によって成り立っています。他にも、医療扶助・教育扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助などの扶助があります。
 ケースによっては母子加算、障害者加算などで受給額に加算されることも。

 生活保護は福祉事務所で申請します。

  1. 福祉事務所に生活保護申請書を提出
  2. 当日~数日以内に面談と相談
  3. 申請から2週間以内に調査と決定が行われる

 生活保護申請書は申請の意思だけ確認できればOKです。最悪、コピー用紙の裏側に申請する意思があることを書いて提出するだけでも受理されます。
 申請書の作成がオンラインで可能な「フミダン」がおすすめです。

 自治体によっては申請書をなかなか渡してくれないケースもあります。上記サービスを利用して申請書を提出しましょう。提出さえすれば必ず調査や審査が行われます。

生活保護を受給するメリット

 生活保護を受給するメリットは2つです。「最低限の生活費が支給される」「医療費や住民税などが無料になる」です。

最低限の生活費が支給される

 生活保護にはさまざまな扶助がありますが、基本となるは生活扶助・住宅扶助です。自治体にもよりますが約10万円~13万円が支給されます。
 家賃を抜いた月々の生活費は7万円~8万円程度になります。

 追加で扶助が受け取れる場合も、自分で調べて申請する必要があります。福祉事務所やケースワーカーに相談してもいいでしょう。
 扶助には教育扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助などがあります。

医療費や住民税などが無料になる

 生活保護受給中は無料や免除がとても多いです。以下のものが無料になったり免除されたりします。

  • 住民税・所得税・固定資産税
  • 国民年金保険料
  • 国民健康保険料・国民健康保険税
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 医療費
  • 介護サービスの利用料
  • NHK受信料
  • 水道料金の基本料金(自治体により異なる)
  • 保育料
  • 交通費(自治体により異なる)

生活保護を受給するデメリット

 生活保護を受給することで制限されたり、イヤな思いをしたりすることもあります。生活保護のデメリットについても知っておいてくださいね。

水際作戦に合うことも

 生活保護は長年、予算を抑えるために水際作戦が採られてきました。水際作戦とは、申請前の面談であれこれ理由をつけて申請書を渡さないことです。

 格差や非正規雇用の拡大で生活保護が社会問題化しました。それに伴い水際作戦も問題視されています。特にコロナ禍では厚生労働省が積極的に生活保護に取り組み始めました。
 現在はある程度、緩和されているようです。

 水際作戦への対策は申請書を最初から持っていくことです。自治体は申請書を必ず受理しなければならないからです。

自動車・宝飾品・生命保険などが制限

 生活保護を受給するには、生活に活用できる資産を持っていてはいけません。宝飾品や生命保険など現金に換えられるものは現金に換えて、生活費に充てる必要があります。

 車に関しても仕事や生活に必要だと認められないと保有できません。認められるケースもありますから、福祉事務所に相談してみましょう。

引っ越しが必要なケースがある

 生活保護を受給すると、住宅扶助の範囲内に収まる賃貸に住まなければなりません。例えば、4万円の住宅扶助なのに5万円の物件には住めません。
 この場合、4万円以内の物件への引っ越しが求められます。

 引っ越し費用がでるケースもあるようです。まずは相談してみましょう。

ローンやクレジットカードはNG

 生活保護で借金は認められていません。ローンやクレジットカードも制限されます。生活保護を申請するときに借金がある場合、生活保護の申請と自己破産手続きを同時に進めるます。

 生活保護申請と自己破産手続きを無料で相談できるサービスもあります。法テラスは国によって設立されたサービスで、さまざまな支援・扶助制度があります。
 「自己破産 生活保護 免除」などのキーワードで検索してみましょう。

 クレジットカードが使用できないのは地味に不便ですが、デビットカードでも近いサービスは受けられるので検討してみましょう。

扶養照会されて親族にバレる

 扶養照会とは生活保護申請者の3親等にまで「扶養ができないかどうか」と問い合わせることです。コロナ禍で困窮者が続出する中、扶養照会があるから生活保護を受けない人もいます。

 親や子供、親族に生活保護を受けていることを知られたくないのです。

 共産党の小池晃議員の質問を受けて、田村憲久厚労大臣は「扶養照会は義務ではない」との答弁をしました。
 扶養照会しても、実際の扶養につながるケースは0.4%程度との調査もあります。扶養照会を撤廃しようとの動きもあり今後、注視が必要です。

 精神疾患があり、親族に知られると悪化すると思われるケースで扶養照会は行われません。他にも10年以上付き合いがなかったり、過去にDVを受けていたなどのケースも同様です。

ケースワーカーの訪問がある

 生活保護期間中はケースワーカーが家庭を訪問します。ケースワーカーには収入状況や求職活動の状況、預貯金の金額を報告する必要があります。

 ケースワーカーの訪問は年に1~12回とされています。多くても月に1回程度です。

3つの義務が発生する

 生活保護を規定する生活保護法には、受給者の3つの義務が定められています。

生活上の義務

 生活保護を受けている人を被保護者と呼びます。被保護者は能力に応じて勤労に励み、健康増進に努め、生活の節制をしなければならないと定められています。

 ケースワーカーが訪問して、こういったことで注意を受けることも。具体的には「ハローワークで求職活動をしましょう」「飲酒やギャンブル、喫煙はほどほどに」などです。

届け出の義務

 被保護者は収入や生活状況に変化があったら、福祉事務所に届け出ることを義務づけられています。例えば、同居人ができたら届け出が必要になります。

指示等に従う義務

 福祉事務所や自治体の指示に、被保護者は従う必要があります。具体的にはケースワーカーの指示に従う必要があるわけですが、ケースワーカーとの相性問題もあります。

 どの程度この義務が適用されるかはケースバイケースです。柔軟に対応しましょう。

まとめ

 貧困にいつ転落するか誰にもわかりません。真面目に生きてきたはずなのに、気がついたら生活が困窮していたケースも枚挙に暇がありません。貧困とはいつの間にか転落してしまうものなのです。

 生活保護の仕組みとメリット・デメリットについて知っておけば、いざ自分が困窮しても慌てなくて済みます。正しい生活保護の知識を身につけ、万が一に備えておきましょう。

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