ベーシックインカムとは?メリット・デメリットなど簡単に解説

 ベーシックインカムとは何かについて、できるだけ簡単にわかりやすく解説します。今回の記事を通じてベーシックインカムを整理し、議論の土台にしていただけたら幸いです。

 中学生でも理解できるくらい、かみ砕いて解説しますよ。

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ベーシックインカムとは?わかりやすく解説

 ベーシックインカムとは一定の金額を毎月、国民に給付する制度です。最低所得保障や最低生活保障と呼ばれます。

 最低限の生活ができる給付を受け取れるので、働き方の多様化や少子化などへの効果が期待されています。
 デメリットとしては財源の議論が多いです。他に労働意欲の低下も危惧されます。

 最近では竹中平蔵氏がベーシックインカムに言及して、にわかに注目が集まっています。

ベーシックインカム(basic income)の意味

  ベーシックインカムは英語でbasic incomeです。日本語に直訳すると「基本所得」となります。最低限度の生活ができる所得を保障するので「基本所得保障」「最低生活保障」と言われます。

ユニバーサルベーシックインカム(UBI)とは

 ユニバーサル(universal)は「全般的な」という意味です。ユニバーサルベーシックインカムは「国民全員に一律給付するベーシックインカム」です。

 生活保護やベーシックインカムの一種である負の所得税と、区別するために使われます。

生活保護とベーシックインカムの違い

 生活保護は経済的に自立できない国民を保護し、自立を促しながら援助する制度です。憲法に謳われる「健康で文化的な最低限度の生活」を保障します。
 生活困窮者のみ、生活保護の対象です。

 一方でベーシックインカムは国民全員が対象です。
 混同した議論をたまに見かけますので、しっかり区別してくださいね。

ベーシックインカムの種類

 ベーシックインカムは基本的に、国民一律給付が原則です。しかしベーシックインカムの議論に含まれる負の所得税は、一般的なベーシックインカムとやや異なります。

 また財源案によってベーシックインカムは種類が分かれます。ベーシックインカムの種類は「負の所得税」「社会保障を財源」「国債を財源」の3つです。

負の所得税

 負の所得税はベーシックインカムと区別されることもあります。議論が混乱するため、負の所得税以外をユニバーサルベーシックインカムと呼びます。

 負の所得税とは一定水準以下の所得の場合は所得税がマイナスになる、つまり逆に政府から所得税を給付される制度を指します。
 加えて所得によって給付される金額が変わります。

 ベーシックインカムと異なり「高所得者に給付しなくていい」「所得再分配機能が働く」などがメリットです。
 話題である竹中平蔵氏が言及したベーシックインカムも、負の所得税が前提です。

社会保障を財源とするベーシックインカム

 ベーシックインカムで必ず議論されるのが財源です。

 財源を社会保障費に求める議論がスタンダードです。現在、社会保障費は100兆円ほど。この社会保障費をベーシックインカムに一元化しようという議論があります。

 失業保険や国民健康保険、年金、生活保護などを一元化するため、行政の効率化につながります。一方で国民の細やかなニーズに応えられないので、反対も根強いです。

 給付額は月に7万円程度で議論されることが多く、生活保護受給者が生活できないとの反論もあります。

国債を財源とするベーシックインカム

 国債を財源とする議論もあります。現代貨幣理論(MMT)によれば国債発行に制限はありません。したがって、ベーシックインカムの財源を国債でまかなうとする議論です。

 国債が財源なら、既存の社会保障と両立でます

 しかしMMTに則れば、問題は国債発行額ではなく需給ギャップです。想定ほど需給ギャップが大きくないと供給を需要が大幅に超え、過剰なインフレになる可能性が考えられます。

 この議論については以下で詳しく解説しています。

ベーシックインカムのメリット・デメリット

 ベーシックインカムのメリット・デメリットはさまざまなものがあります。今回の記事では、一般的な議論のポイントだけに絞ります。

メリット

 ベーシックインカムのメリットは「少子化対策」「貧困救済・労働環境の改善」「働き方やライフスタイルの多様化」「地方活性化」です。

少子化対策

 ベーシックインカムは国民一律に給付されるので、赤ちゃんももらえます。例えば毎月の給付額が7万円だとすると、子供の生活費の大半がまかなえるでしょう。
 世帯所得は出産するほど増加します。

 したがって所得の高低に関係なく結婚・出産が多くなり、少子化対策になります。

貧困救済・労働環境の改善

 ワーキングプア、過労死など我が国の貧困・労働問題は根深いです。

 ベーシックインカムでは最低限の生活が送れます。したがって望まぬ労働環境から抜け出すことも容易です。ブラック企業や賃金の安い非正規雇用への需要が減り、労働環境が改善すると言われています

 他にも生活保護では補足できない貧困層にも給付されますから、貧困対策としても効果的です。

働き方やライフスタイルの多様化

 ベーシックインカムが行われると、働かなくても生活できます。よって働き方も今と大きく変わると言われています。

 生活を気にせず創作活動に打ち込んだり、好きなことを仕事にしたりと、働き方やライフスタイルの多様化につながります

地方の活性化

 ベーシックインカムは全国一律に給付されるため、物価が安い地方への移住が進むかもしれません。コロナ禍でリモートワークが一般的になってきたため、地方への移住も容易になりました。

 ベーシックインカムは地方活性化につながると期待されています。

デメリット

 デメリットは「財源」「労働意欲の低下」「経済競争力の低下」「自己責任社会の到来」です。

財源がもっとも問題視される

 ベーシックインカムで財源は議論の的です。

 仮に社会保障を一元化した場合、さまざまな社会のニーズに応えられなくなり、将来の社会保障が不安視されます。

 逆に国債を財源とした場合、ベーシックインカムにはビルトインスタビライザー機能(景気の調整弁)がありません。そして支出する金額は巨額です。
 インフレが過熱し、増税などで実質的な支給額が減る可能性もあります。

 財源の設計がベーシックインカムにとって一番の課題です。

労働意欲の低下への危惧

 ベーシックインカムによって労働意欲が低下する、と考える人は多いです。

 フィンランドの実験では労働意欲が低下しませんでした。しかし国家規模でベーシックインカムを行った場合、同じ結果になるとは限りません。

 労働意欲が低下しないという保証はないのです。

経済競争力の低下

 経済競争力が低下するとの声もあります。ベーシックインカムによって雇用市場が売り手市場化すると賃金が上がります。
 人件費が増加し、企業が国際競争力を失うと危惧されます。

 国際競争力の代償が貧困と低賃金なら、そんな国際競争力はいらないと筆者は考えます。

自己責任社会の到来

 もし社会保障をベーシックインカムに一元化した場合、自己責任の風潮がさらに強まります。社会保障の構造が「必要な人を助ける」から「後のことは自己責任で」にガラリと変わるからです。

 高額の医療費なども国の補助がなくなり、自己責任になるかもしれません。

どうしてベーシックインカムが話題なのか

 ベーシックインカムが話題になったのは、竹中平蔵氏が言及したからです。竹中平蔵氏は小泉内閣で経済財政政策担当大臣や金融担当大臣を務めた人物です。
 現在でも民間議員として政府中枢に近いところで活動しています。

 その竹中平蔵氏がベーシックインカムに言及したインパクトは、かなりの大きさでした。今までやや忌避されていたベーシックインカムが、一気に議論されるようになりました。

 竹中平蔵氏がベーシックインカムに言及した背景にはコロナ禍があります。コロナ禍で職を失う人も出てくる中での発言でしたから、余計に人々を引きつけたのだと思われます。

導入された国とその効果

 ベーシックインカムはカナダ・オランダ・フィンランドなどで導入実験されました。ここではフィンランドの実験結果について紹介します。

 フィンランドは2017年から2018年の2年間にわたり、25歳から58歳までの失業者から2000名を無作為に抽出してベーシックインカムを給付する実験をしました。
 支給金額は560ユーロ、日本円で約6万5000円です。

 実験の結果、ベーシックインカムが雇用にもたらした影響は小さいと判明。またベーシックインカムを受給した人の方が生活満足度が高く、精神的なストレスの度合いが軽かったともわかりました。

 ただしフィンランドの実験は規模が小さく、注意が必要です。国家全体でベーシックインカムをした場合、フィンランドと同じ結果になるとは限りません。

日本でベーシックインカムが導入される可能性は?

 日本でベーシックインカムが導入される可能性は今のところ低いでしょう。いかに竹中平蔵氏が言及しても日本では「働かざる者、食うべからず」という意識が根強いです。
 無条件の給付であるベーシックインカムへの反対意見は強硬です。

 財源問題についても議論がまとまるとは思えません。

 一部の野党が言及するだけにとどまっており、ベーシックインカムの実現可能性はほとんどないのが現状です。

まとめ

  1. 基本的にベーシックインカムとは一定額を国民一律給付する政策
  2. 最低所得保障・基本所得保障などと呼ばれることも
  3. 負の所得税議論と区別するためにユニバーサルベーシックインカムと呼ぶこともある
  4. 財源議論が最大の争点
  5. 社会保障一元化型のベーシックインカムに筆者は反対

 国債を財源とするベーシックインカムについて、筆者は賛否を明らかにしていません。まだまだ議論が必要だと思うからです。

 個人的にはベーシックインカムがほしいですし、賛成したい気持ちも山々です。しかし実現性や問題点を考えると二の足を踏みます。

 本稿ではベーシックインカムを、わかりやすく整理することに重点を置きました。本稿を土台にして議論いただけると幸いです。

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