国の借金を一人当たりに換算するのはおかしい!という理由

 メディアはよく「国の借金! 国民一人当たり何百万円!」と報道します。

 このような報道を目の当たりにすると「大変だ! 日本人は生まれたときから借金を背負っているのか……! 財政健全化しなきゃ!」という気分になりますよね。

 しかし少数ですが、メディアの報道がおかしいと気がつく人たちも出てきました。

 じつは日本に財政問題は存在しません。したがって「国民一人当たりいくらの借金問題」も存在しません。

 そのカラクリをわかりやすく解説します。

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国の借金を国民一人当たりに換算すると

 いわゆる国の借金と呼ばれるものは「国債+借入金+政府短期証券」を合わせたものです。

 2019年時点で871万円と、過去最高を記録しました。ところで借金の話をするなら、資産の話もないとおかしいですよね? 聞いたことはありますか?

 日本政府の資産は約630兆円。国民一人当たり約525万円の資産があります
 こう聞くと「あれ? あまり大変じゃなくね?」と思いませんか。

国の借金・国民一人当たりの推移

 マスメディアの流す恣意的な「国の借金! 国民一人当たり――」ではなく、公式な数字をもとに計算した国民一人当たりの借金(?)をまとめました。

 Googleスプレッドシートでまとめてグラフにも。

国民一人あたりの借金グラフ
シート1年,政府総債務残高(1億円単位),政府純債務残高(1億円単位),人口,総債務残高/国民,純債務残高/国民 2000,7,262,797,3,565,656,1.2683,5726403,2811366 2001,7,679,390,3,923,702,1.2713,6040581,3086370,( 200...

 なお、せっかくまとめたこのグラフを今回の記事では「意味がない、おかしい」と解説する予定です。

 ――グラフをまとめた労力はとても無駄でした。

国の借金=国民の借金?

 まず「国の借金=国民の借金なのか」について考えていきましょう。考える過程で構造がわかり、今後の思考の役に立ちますよ。

国債の保有者は金融機関と日銀

 国の借金の大半は国債です。国債は一体誰が保有しているのでしょうか? 国が借りたなら貸した相手がいるはず。

 以下が国債保有者のグラフです。

 保有者のほとんどは民間銀行と日銀です。

 日銀が5割近く保有しているのは、異次元の金融緩和が理由です。金融緩和でマネタリーベースを増やし、通貨を発行しました。
 そして通貨の代わりに国債を引き受けていたら5割近くに!

 日銀は通貨である円を発行する機関です。したがって円建ての国債を、いくらでも引き受けることが可能です。

 なお日本の国債は100%円建てですから安心ですね。

日銀は独立しているか政府機関か?

 では日銀は独立した機関なのか、それとも政府の一部のどちらでしょう。

 日銀は本質的に政府の一機関です。
 アベノミクス三本の矢には「金融緩和」がありました。政府が指示した金融緩和を日銀が実行したのです。
 ですから実質的には政府の一機関と見なすのが自然です。

 日本政府は通貨発行権を持っています。日銀を通じて通貨をいくらでも発行できます
 そして国債は通貨で発行されています

 金融緩和で日銀は大量の国債を引き受けました。そしてじつは、すべての国債を引き受けることも可能です。

 ――政府は国債を通じてお金を借り、政府が通貨発行を通じて国債を引き受ける。これって借金ですかね?

通貨発行権は誰のもの?

 もう少し本質的な話をします。

 通貨発行権を日本政府は持っています。よって円をいくらでも発行できます。

 政府は国家の一機関であり、国家の持つ主権は国民に由来します。なぜなら日本の主権者は国民だからです。

 とすると通貨発行権も、国民が持つ権利の一部と見なすことができます

 ここからやや難しい話になります。

 通貨は信用創造を通じて生まれます。信用創造の権限は、日銀を含む銀行に与えられています。誰が与えているのか? 国家であり、主権者たる国民です。

 すごく話を簡単にすれば「日本は自分で通貨を発行して自分で借りて、自分に返すだけ」。これが国の借金の正体です。

 自分で自分に貸したお金を借金と呼ぶなら、国の借金=国民の借金で間違いありません。

国の借金の嘘とレトリック

 国の借金報道には悪意あるレトリックが仕組まれている、としか思えません。

責任感につけ込む「国民一人当たり」

 「借金」という単語は非常にマイナスイメージです。自分が背負ったらイヤなものNo.1ではないでしょうか。

 そもそも日本には財政問題が存在しません。なぜなら「自分で自分に貸しているだけ」だからです。したがって「国民一人当たり」に換算する意味もありません。

 しかし「借金」「一人当たり」という単語を使用することで、責任感につけ込んでいるのではないか? と考えられます

 面白いことに、メディアによって「国の借金」という単語の出現頻度が異なります。以下の記事にまとめてあります。興味のある人はどうぞ。

絶対にデフォルトしない借主

 国債の貸主は銀行です。故に百歩譲って「国の借金」という表現はよしとします。

 しかしこの借金、絶対にデフォルトしません。なぜなら日本は通貨発行権を持っているからです。絶対にデフォルトしない借主は、銀行にとって美味しいお客様以外の何者でもありません

 その証拠に優良顧客過ぎて、長期金利は低迷。低迷どころかマイナス金利までつく始末です。

 「国の借金」「国民一人当たり」という単語や観点からでは見えてこない、こういった側面も覚えておくべきでしょう。

国の借金を一人当たりに換算するのはおかしい

 結論としては「そもそも財政問題自体が存在しない。よって存在しない国の借金問題を、国民一人当たりに換算する意味がない。したがっておかしいだろ」になります。

 国債の話はかなり迷走しがちです。ちょっとだけ、ややこしいですよね。

 以下の書籍を読めば理解が捗りますよ。

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 以下の記事もおすすめですよ。

まとめ

 国の借金を一人当たりに換算するのがおかしい理由は以下です。

  1. そもそも財政問題などないのに、さも問題であるかのように報道しているから
  2. ネガティブな言葉で、返済が必要だと印象づける報道の仕方だから

 確かに銀行から借りているのは事実ですから、一人当たりの換算しても間違いではありません。意味がないだけです。

 報道するなら「政府の借金が1000兆円を超えました。国民一人当たり900万円です。なおこの数字には何の意味もありません」と、断りを入れるべきかもしれませんね。

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