グローバリズムの終焉とその後の世界「コロナ」は終わりの始まりか

 コロナ禍によって、グローバリズムが終焉を迎えると囁かれています。まるで初めてグローバリズムが、終焉を迎えるような物言いです。

 しかしすでに一度、グローバリズムは終わっています。グローバリズムの近代史をたどりつつ、コロナ禍とグローバリズムの終焉、そしてその先を読み解きます。

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そもそもグローバリズムとは

 グローバリズムの定義だけ、先にはっきりさせておきましょう。

 グローバリズムとは、日本語で地球主義です。EUが国家を超えて経済を統合したように、地球規模で統合しようとするのがグローバリズムです。

 そのため世界共通ルールによる自由市場を目指し、ヒト・モノ・カネが国境を越えて移動します。

 市場原理的な経済は、新古典派経済学とも相性が良いです。
 よって規制緩和・構造改革・緊縮財政の3つが、経済政策として用いられることになります。

 とても簡単に言えば「世界共通ルールにするのに、国家の力が強いと邪魔。だから小さな政府を目指すのに、新古典派経済学や新自由主義を用いる」です。

二度目のグローバリズムの終焉

 1945年に一度、グローバリズムは終焉を迎えました

 近現代史における、グローバリズムの興亡をなぞってみましょう。

戦前のグローバリズム

 約200年前に資本主義が興り、世界はグローバリズムへ走り出しました。植民地帝国主義などはまさに、グローバリズムそのものです。
 地球規模で統一してしまえば、地球主義(グローバリズム)に適います。

 日本が明治維新で近代化したのは、欧米の植民地主義に飲み込まれないためです。国家としての形を保つため、明治維新で中央集権化して富国強兵を目指しました。

 第一次世界大戦後も、グローバリズムは終わりませんでした。

 しかし1929年、世界的な金融危機によってグローバリズムはブロック経済へと、形を変えました

 敵対の時代には覇権争いと呼ばれるものが、協調の時代にはグローバリズムと呼ばれます

 覇権争い、国家間の利害関係の対立はグローバリズムが原因でした。利害関係がグローバリズムで密接になることは、すなわち利害関係が対立しやすくなることです。

 こうしてグローバリズムは、二度目の近代戦争を引き起こしました。第二次世界大戦です。

1945年に一度目の終焉

 なぜ1945年の戦後体制は、グローバリズムを採らなかったのか。戦前のグローバリズムの反省からです。

 1945年以降の世界はケインズ的な経済政策を採用し、どちらかと言えば統制経済、ないし緩やかな自由貿易体制に移行しました。

 加えて東西冷戦も、統制経済に拍車をかけた一因です。

 こうしてグローバリズムは1945年に、一度目の終焉を迎えました。歴史からその姿を、消したかのように思えたのです。

ソビエト崩壊による復活

 1970年代のオイルショックで、ケインズ政策は権威を失墜します。オイルショックという外的要因による経済悪化とスタグフレーションに、ケインズ政策は対応できませんでした。

 ケインズ政策は、というよりどの経済学でも対応は不可能でした。
 しかしケインズ政策は批判され、権威が失墜します。

 ケインズ政策に変わり台頭したのが、新自由主義や新古典派経済学です。
 アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権などが新自由主義へ舵を切りました。

 新自由主義が広まる中、ソビエトの崩壊によって東西冷戦も終焉を迎えます。それに伴い、グローバリズムが復活しました。

 ソビエト崩壊の1991年が、グローバリズム復活の年と言えます。

コロナ禍によって二度目の終焉

 1991年代から広がり始めたグローバリズムは中国を巻き込み、2000年代初頭から2008年まで黄金期を迎えます。

 しかし2008年のリーマンショックにより、世界経済は大打撃。じつはこのときグローバリズムは、終焉の運命を迎えていました。
 現在までは、延命しているに過ぎません

 そしてその延命も、コロナ禍によって終わりました。グローバリズムが、終焉を迎えたのです。

グローバリズム終焉の背景

 2008年のリーマンショックによって、グローバリズムは大きく揺らぎました。金融危機のダメージももちろんですが、グローバリズムの土台が揺らいだのです。

 グローバリズムとは、世界の市場を共通ルールによって運用することです。共通ルールで「支配すること」とも換言できます。

 各国の事情を無視して共通ルールを押しつけるには、強い力が必要です。

 グローバリズムとは超パワーの覇権国家がないと、成り立ちません。そしてそれはアメリカでした。

 しかし中国が台頭し、アメリカは凋落しました。パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)は崩れ落ち、世界の警察からもアメリカは降りました。

 世界の共通ルールを支えるべき覇権国家がいなくなれば、当然グローバリズムは瓦解します。これが2008年のリーマンショックの象徴される、一連の動きです。

 現在、米中貿易戦争が話題になっています。20年前なら「アメリカが中国に経済制裁」と、一方的な展開だったはずです。
 貿易戦争になる程度に、中国が力を付けて台頭した証左です。

グローバリズムの終焉で起きること

 世界共通ルールを支えていたアメリカが凋落し、グローバリズムの終焉は明らかになりました。グローバリズムの終焉の後、世界はどのように動くのでしょうか。

覇権多極化の時代

 唯一の覇権国家であったアメリカは、凋落しました。よって覇権は、多極化すると思われます

 ヨーロッパは今のままだと、ドイツが覇権を握るかもしれません。ユーラシア大陸は、中国かロシアでしょう。
 アメリカ大陸はもちろん、アメリカが覇権を握ります。

 中東やアフリカ大陸は、混沌としそうです。

 日本はおそらく、中国の覇権に飲み込まれていきます

サプライチェーンの国内回帰

 グローバリズムの時代は、サプライチェーンが世界中に広がっていました。しかしコロナ禍を受けて、グローバル展開することのリスクを企業は知りました

 サプライチェーンの国内回帰は、およそ必然かもしれません。可能性は非常に高いでしょう。

ナショナリズムの復活

 グローバリズムは、個人と国家を切り離します。しかしEUの移民問題でナショナリズムへの回帰が起きたように、これからの世界はナショナリズムへ回帰するでしょう。

 すでにアメリカのトランプ、イギリスのブレグジットなどの例があります。

 行き過ぎればファシストや全体主義の復活も、あり得るかもしれません。ジョージ・オーウェルの小説「1984年」のような世界に、ならないことを祈るばかりです。

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自由貿易は影を潜め保護主義へ

 TPPやNFTAなどで推進された自由貿易は、影を潜めるかもしれません。特にヒト・モノ・カネのうち、ヒトとカネは国境を越えづらくなるでしょう

 自国内の雇用を確保するため、保護主義に走る国も出てくるでしょう。すでにアメリカは、保護主義へと転換しているように見えます。

国際秩序は新たなる局面へ

 アメリカ一強であった国際秩序は、新たな局面を迎えざるを得ません。戦後レジーム(戦後秩序)が、崩壊する可能性もあります。

 覇権国家の多極化がもっとも可能性が高いですが、アメリカと中国の二極化、新たな冷戦という可能性もあります。

 グローバリズムの終焉を迎えても世界は、なかなかより良くなったとは言いがたいかもしれません。それでもグローバリズムより、良い方向に向かっていると信じるしかありません。

グローバリズムの終焉と日本の没落

 グローバリズムは終焉を迎えました。しかし日本の没落は、グローバリズムだろうがそうでなかろうが続くこととなるでしょう

 理由はいくつかあります。

  1. 日本は自身が凋落するグローバリズムを望んでいる節がある
  2. よって世界がグローバリズムと決別していって、最後まで日本が取り残される可能性も
  3. 富国強兵に取り組めない日本は、アメリカの次は中国の覇権に飲み込まれるに違いない

 このビジョンを読み解くために、以下の2つの著書がおすすめです。どちらも、名著と言うにふさわしい本です。

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まとめ

  1. 2008年にグローバリズムは、実質的に終焉を迎えていた
  2. グローバリズムとは覇権国家による、ルールの押しつけ
  3. 覇権国家の凋落によってグローバリズムの終焉が訪れる
  4. アメリカの凋落と中国の台頭が、グローバリズム終焉の原因
  5. グローバリズム終焉の後は、覇権多極化の時代へ
  6. ナショナリズムへの回帰、国家への回帰が訪れるだろう
  7. 日本は相変わらず没落し続ける可能性が高い

 コロナによってグローバリズムは、終わりの始まりを迎えました。激動のこの時代、何を考えどのように生きていくのか?

 時代を知ることで、判断の材料になれば幸いです。

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2 Comments
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麗巌
18 日 前

ショックな内容ですね。偏見かもしれませんが、日本の経済学者に長髪が多いのは国家を邪魔者ととらえるアナーキストが多いからだと思っていました。これからは短髪の経済学者が増えるかもしれません。