【誰でもわかる】大きな政府の特徴やメリットとデメリット

 小さな政府と大きな政府。ときどき政治用語として登場しますが、漠然としたイメージだけしかないのではありませんか?

 大きな政府は特に日本で、あまり良いイメージを持たれていません。例えば戦争が起きるときは例外なく、どの国家であれ大きな政府になります。つまり日本は戦争に対して強い拒否反応を持つ故に、大きな政府論と相性が良くありません。

 しかし大きな政府は、21世紀にこそ必要です。大きな政府の特徴やメリット、デメリットを含めて解説していきます。

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大きな政府と小さな政府とは

大きな政府(おおきなせいふ、英: big government)とは、政府・行政の規模・権限を拡大しようとする思想または政策である。主に広義の社会主義(社会改良主義・社会民主主義・民主社会主義・スウェーデンモデル・日本型社会主義・集産主義)や国家資本主義・民族社会主義に立している。

大きな政府 – Wikipediaより

大きな政府と小さな政府の一般的イメージと暗黙の前提

 大きな政府と小さな政府が何か? を解説する前に、一般的なイメージの齟齬について解説します。

 小さな政府はしばしば、低福祉低負担社会を指すと言われます。しかしこの定義は、やや間違っています。

 小さな政府が低福祉低負担だとすると、大きな政府は高福祉高負担と考えられます。しかしこの対置は、小さな政府も大きな政府も均衡財政主義であることが前提になっています。
 「税から政府は支出している」「税の範囲でしか政府は支出できない」という前提が、暗黙におかれています。

 近年、現代貨幣理論(MMT)が明らかにしたように――また経済誌を見ても明らかなように――自国通貨建て政府負債は、増え続ける性質を持ちます。むしろ政府の財政運営は赤字こそが正常な状態です。

 つまり小さな政府が均衡財政主義であり、大きな政府は均衡財政主義を前提としないと認識するべきです。

大きな政府とは?

 大きな政府とは均衡財政主義に立脚しないとすれば、機能的財政論や現代貨幣理論(MMT)的な財政運営が指針となります。大きくまとめて、ケインズ主義的としても良いでしょう。

 つまり好景気には緊縮財政、不景気には積極財政を実施する政府です。加えて大きな政府は、自国通貨建ての財政赤字を気にしません。むしろインフレが行き過ぎることだけに、気を配ることになります。

 大きな政府は高福祉な傾向にありますが、高負担が絶対条件ではありません。ケースによっては高福祉中負担や高福祉低負担も、実現できる可能性があります。

  1. 小さな政府が経済への介入を嫌うのに対し、大きな政府は介入をいとわない
  2. 小さな政府が外交と警察だけが国家の役割と規定するのに対して、大きな政府があらゆることが国家の役割になり得る
  3. 小さな政府の判断基準が効率化や合理化だが、大きな政府の判断基準はそこにはない

 小さな政府が定義しやすいのに対して、大きな政府というのは定義しにくい特徴があります。なぜなら小さな政府以外のあらゆる政府が、大きな政府となり得るからです。

大きな政府のメリット

 大きな政府のメリットは明らかです。簡単に言えば国民の面倒を国家が見るのが、大きな政府の特徴です。したがって福祉は拡大するでしょうし、失業率なども政府が機能していれば低く抑えられるはずです。

 また経済成長について、じつは大きな政府が有利です。戦後から1980年代くらいまで、世界的には統制経済が続いていたと言えます。簡単に言えば戦前のグローバリズムの反省に立ち、大きな政府とすることで安定を図ろうとしていました。

 ハジュン・チャンの統計によれば1960年~1980年までの20年間と、その後の30年間では前者の経済成長が高く、グローバリズムが蔓延しはじめた1980年代~2010年までの経済成長は半減だったそうです。

  1. 大きな政府は高福祉傾向
    • 高福祉だから格差是正がされやすい
  2. 大きな政府は経済成長に有利

 上記2つが大きな政府の、特徴的なメリットでしょう。

大きな政府のデメリット

 大きな政府のデメリットは、経済的自由の縮小にあります。政府が経済や市場に介入し格差是正を進めることは、大資本や富裕層にとって国家から富の収奪を受けることに他なりません。

 また政府の経済政策は、しばしば間違うこともあります。大きな政府であれば、経済政策の間違いの影響が大きくなるという指摘もあります。が……これは間違いです。
 なぜなら小さな政府路線で日本は、失われた20年という経済失策を犯しました。政府の経済政策の間違いは、政府が大きい、小さいを問わず影響が大きいのです。

 また大きな政府は、戦争に突き進むと不安視する声もあります。なるほど確かに戦争する政府は、どのような国家であれ大きな政府になります。
 しかし大きな政府がすべて戦争するか? と言えば話は別です。

 戦争という行為は大きな政府を求めますが、大きな政府が戦争を求めるわけではありません。

  1. 主に富裕層や大資本の経済的自由が侵される
  2. 政治の間違いがダイレクトに経済を揺るがす。これは大きな政府だけのデメリットではありませんが……

 小さな政府を支持する人たちは、大きな政府が犯す政治の間違いをことさら過大に問題視します。「政治は間違えるのだから、市場の見えざる手に委ねれば良いのだ」と。

 しかし市場の間違いで、2008年には金融危機が勃発しました。小さな政府を目指せば目指すほど、金融危機の頻度は高くなっています。

 政治が間違わないとは言いません。しかし市場の間違いを過小評価しすぎるのは問題です。

 大きな政府のデメリットと言われるものが、果たして小さな政府のデメリットと比べてどうなのか? と聞かれると、筆者は「問題にならないデメリットばかり」と感じます。

21世紀こそ大きな政府が求められている

 21世紀の初端は、リーマンショックによって幕開けた……と後世には語られるかもしれません。それほどまでにリーマンショックのインパクトが、世界に与えた影響は大きかったように思えます。

 リーマンショックの原因は何か? と問われれば、行き過ぎた市場競争と金融工学でしょう。小さな政府を目指した結果、長期停滞と言われるほどの経済ショックを世界中が受けました。

 市場の失敗は、政治の間違いと同じかそれ以上に大きな影響を及ぼしたのです。そして市場の失敗を拭ったのは、他ならぬ政府でした。

 この事実を鑑みれば、21世紀こそ大きな政府が必要とされているのは明白のように思えます。

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