日本では1980年代からずっと、財政破綻危機が囁かれてきました。「財政破綻する時期はいついつだ!」と数多くの予言が発せられ、その数だけ外れてきました。
ノストラダムスの大予言は、1999年と時期を明言していました。しかし財政破綻論は、時期すら明言しない、ないし平気で翻すので「ノストラダムスの大予言以下の信頼度」です。
日本の財政破綻の時期を予言する、財政破綻論者たちの滑稽さを解説しています。
日本が財政破綻が囁かれ始めた時期
そもそも日本の財政破綻が、囁かれ始めた時期はいつでしょうか?
1975年、日本は戦後初めて赤字国債を発行します。三木武夫内閣の大平正芳蔵相はこのとき「万死に値する! 一生をかけて償う!」と述べました。
1982年には鈴木善幸首相が、財政非常事態宣言を発しました。1995年に村山富市内閣で武村正義蔵相が、財政危機宣言をします。
しかし2020年現在、1995年を基準としても3倍以上に国債発行残高は膨らんでいますが、一向に財政破綻の気配はありません。一体いつの時期に、日本は財政破綻するのでしょうか?
検証するために「そもそも財政破綻とはなにか?」から解説します。
そもそも財政破綻とは
そもそも財政破綻とはなんでしょうか? 財政が非常事態、ないし危機的な状態とはどのような状態でしょうか。
財政破綻の定義を、しっかりと確認しなければなりません。
財政破綻の定義は債務不履行
財政破綻の定義は、債務不履行に陥ることです。英語でいうデフォルトです。
債務不履行とはなにか? 言葉のごとく、国債が償還不能になった状態を指します。
「国債の利払いができない」「償還時期の国債を償還できない」ことが債務不履行であり、財政破綻です。
では全て日本円で発行されている日本国債が、債務不履行に陥ることなどあるのでしょうか? 通常はあり得ません。以下のような異常事態なら、あり得るでしょう。
- 日本政府が通貨発行権を外国に売り渡す
- 日本政府がそもそもなくなる、日本という国家がなくなる
上記以外の「日本が主権を保った状態で、債務不履行に陥る」ということは、自国通貨建て国債ならば理論的にはあり得ません。
つまり日本が財政破綻するだろう時期など、存在しないのです。
財政破綻リスクのある国債にはどのような現象が起きる?
財政破綻リスクが高い国債ないし債務では、金利の高騰が起こります。また高い金利を設定しても、リスクがあるので購入されづらくなります。
日本国債はどうでしょうか? そもそも長期金利は低迷ないしマイナスです。金融機関ははこぞって国債を購入しています。
少なくとも日本は世界中の「マイナス金利に陥っていない国よりは、財政破綻リスクは低い」ことは自明です。……マイナス金利に陥っている国って、数えるほどしかありません。
財政破綻するとどうなるか?
財政破綻をすると、赤字国債が新規に発行しづらくなります。というか赤字国債を何らかの事情で発行できず、借り換え(ロールオーバー)ができなかったので債務不履行に陥り、財政破綻するわけです。
一般論では国債に頼っていた予算は縮小を余儀なくされ、行政の業務も縮小するとされます。この一般論は「外貨建て国債」の場合です。
日本でいえばドル建て、ユーロ建て国債など。
自国通貨建て国債の場合はそもそも債務不履行があり得ませんが、仮に国債を発行しなくても、例えば政府硬貨を発行することで、従来通りの予算消化が可能です。
日本が財政破綻する時期はいつ?諸説ありすぎ
1980年代から日本では、財政破綻危機が囁かれてきました。エコノミストや有識者、主流派経済学者たちはこぞって「日本が財政破綻する! いついつの時期がヤバい!」と予言してきました。
結果どうなったのか? 順を追って解説します。
財政破綻予言は外れ続けてきた
筆者が20代初めの時期、つまり2000年代初頭に本屋では財政破綻本が大量に並んでいました。筆者も若かったので、財政破綻を本気で心配していました。
数冊ほど読んだのですが、2000年代初頭の財政破綻本によれば、遅くとも2010年に日本は財政破綻しているはずでした。
この事実だけでも、財政破綻の予言が外れ続けてきたことが理解できます。
予言された年には、数年後に財政破綻すると予言し直される
2010年に財政破綻しなければ、財政破綻論者たちは「2010年代中盤には破綻するぞ!」と予言し始めます。2010年代中盤に財政破綻しなければ、次は2020年代だと予言します。
財政破綻論者たちは「オオカミが来るぞ!」と叫び続けます。しかし30年以上の時間が経過しても、一向に財政破綻の時期は訪れないのでした。
日本が財政破綻すると主張する人たちの根拠
日本の財政が理解できてない人に伝えたい現実 | 東洋経済オンラインという、財政破綻論者の記事があります。作家の真山仁氏と、財務次官である岡本薫明氏の対談記事です。
サブタイトルは「絶対に安全だと言える根拠は何もない」という、稚拙なものです。
この記事の不思議なところは、日本が財政破綻するかもしれないという根拠が示されないまま、財政が厳しいことを前提条件に話が進むことでしょう。
例えば「あなたは病気かもしれない。だからこの注射をしましょう!」と提案されたら、普通は「いや、まず病気かどうかしっかり診断してよ」となります。
「別に体に不具合はない」「健康体そのもの」「だるいとか疲れたとかもない」と抗弁しても「それは絶対病気ではないといえる根拠ではない」といわれたら……私なら「こいつ、アホちゃう? 頭がいかれてるわ」と判断します。
「病気かもしれない!」といっているのは財政破綻論者であり、記事中に登場する真山仁氏、岡本薫明氏ですね。筆者は記事を読んでいて「アホちゃう? 頭がいかれてる」と素直に思いました。
財政破綻する時期の予言を外し続けても、財政破綻論が信じ込まれる理由
日本が財政破綻する! と囁かれ始めた時期は、1980年代でした。それからすでに30年以上、40年近くの時間がたっています。半世紀近く、と表現することすらできます。
財政破綻論者たちは「日本が財政破綻する、ないし危機的なのは自明のこと」として、もはや証明する努力すらしません。どの時期に破綻するのか? 予言し、間違え続けてきた事実からも目を背けています。
なぜこのような非論理的かつ、非科学的な主張が幅をきかせるのでしょうか? 答えは非常に簡単です。「正しい説が広まるわけでもないし、間違っている説が広まらないわけでもないから」です。
たいていの人は、自分の経験の範囲でしか物事を知覚できません。つまり「負債や借金、債務はイコールで悪いこと」と、直感的かつ経験的に判断をするのです。
したがって財政破綻論者たちが、いかに財政破綻の時期を予言し外し続けようとも、財政破綻論は根強く信じ込まれることでしょう。
どのように財政破綻論の嘘を「世論に浸透させていくか?」を、考えなければなりません。
おまけ 素晴らしいから広まるという幻想を捨てる時期
筆者は「正しい言説だから広まる」という、ナイーブな考え方はとうの昔に捨てました。したがって「正しいかどうか証明すること」と「正しいから広めようと活動すること」は、全く別の行動です。
「素晴らしいから広まるはず」という幻想は捨てましょう。なぜなら「素晴らしいから広まる」を肯定するとすれば、現在、広まっている全てのものは「素晴らしいもののはず」となるからです。
つまり広まっている財政破綻論の、素晴らしいものという話になってしまいます。
※素晴らしいを正しいに置き換えてもOKですよ。
「日本は財政破綻なんぞしない!」「むしろもっと国債発行するべきだ!」という言説を「どのようにマーケティングして広めるか?」を、一人ひとりが考えて実行してみてはいかがでしょうか。
今後の教訓のために実際にその破綻予言本を並べて欲しいです。そうすれば滑稽さと破綻論のでたらめさがより伝わる気がします。
さすがに20年前に読んだ本は、覚えていないのです……(汗)申し訳ない。
わざわざのコメントありがとうございます。
以下のように並べていただけますとより滑稽さが強く伝わると愚考したためつい具申してしまった次第です。
http://aiko-hj.blog.jp/archives/20483533.html
御ブログは定期的に拝見させていただいております。今後のご活動を期待しております。
リンク先を拝見しました。このサイト、すごくおもろいです。
時間のあるときにいろいろ見てみたいと思います。