「コロナ禍で国会議員の歳費を2割削減!」と、報道がありました。
給付金は遅々として決定できず、またその予算額も微々たるものです。しかしこういった「身を切る改革!」的なパフォーマンスは、素早いようです。
国会議員の歳費削減にメディアも「批判するふりをしつつ賛同」しています。また多くの国民も「国会議員の収入が減ること」で、ガス抜きされるのではないでしょうか。
最初に結論だけ書きますと、日本の政治はわりと終わっています。この期に及んで「どうにかなる」と思えるほど、筆者は楽天的になれません。
国会議員の歳費削減報道には、そう悲観するだけの背景があります。
その理由も含めて、解説していきます。
新型コロナで国会議員の歳費2割削減
コロナ禍のため、国会議員の歳費を2割削減するという報道が流れました。筆者はこの報道に、日本の政治は終わってるなぁ……としみじみ思いました。
「コロナ禍で日本はどうなるのか?」なんて言っている人は、かなり楽天的な方々です。なぜなら今までふざけた政治を、蔓延させていたのです。今さら、どうにもならないに決まっています。
まず報道の内容を見ていきましょう。
国会議員の歳費削減になった経緯
上記の要点は「国民の所得がコロナ禍で減少している。よって国会議員も国民と痛みを分かち合うために、歳費削減する」です。
自民党の二階幹事長が呼びかけ、2割削減が5月から施行される予定です。
自民党と立憲民主党が歳費削減で一致
与党である自民党と最大野党である立憲民主党が、コロナ禍の国会議員歳費削減で一致しました。東日本大震災でも国会議員の歳費削減は行われ、復興予算に充てられました。
その再現のように思えますが、今回はやや状況が異なります。
歳費削減に賛成しつつ金額が少ないと批判する人々
フジテレビバイキング坂上忍やその他
フジテレビのバイキングでMCの坂上忍氏は、国会議員歳費削減が2割ということにご不満です。番組の中で「せめて5割」と発言しています。
同じくコメンテーターの岸博幸氏も「5割くらい削減できるはずだ」と発言。
つまり坂上忍氏も岸博幸氏も、本質的にコロナ禍での国会議員歳費削減に賛成です。その金額や割合について、批判しているだけです。
丸山穂高議員の発言
N国の丸山穂高議員も、国会議員歳費削減について「遅せーし、少ねーよと言われるやつですが、やらないよりやった方がマシ」と発言しています。
この発言は非常に素直なものです。つまり「世論に迎合し切れていないが、やらないよりはやった方がダメージは少ないでしょ。ウケるでしょ」ということです。
国会議員歳費削減に対するTwitterの反応
Twitterでは「そんなことより給付金」という反応が多かったです。東日本大震災と異なるのは、日本国民全員が被災者の立場ということでしょう。
東日本大震災では、被災地以外の日本国民は「支援する方」でした。だからこそ「国会議員が歳費を削って支援に充てる」に共感したのです。
……ガス抜きになる国民も多数でしょうが、東日本大震災のときとは受け止め方がやや異なるでしょう。
国会議員や政治家の仕事は歳費削減か?
Twitterの反応でも多くありましたが、コロナ禍における国会議員の仕事は歳費削減でしょうか? もっと真っ先にやるべきことがあるはずです。
コロナ禍に緊縮・節約で起こること
コロナ禍のさなか、緊縮財政を決行すればどうなるでしょうか? 現在はただでさえ緊急事態宣言で自粛要請が出され、需要と消費が急激に縮小しています。
居酒屋からスナック、ラーメン屋、イオンなどのスーパーも休業している店がわんさかあります。
ここでさらに「国会議員の歳費を削減して緊縮財政!」などとすれば当然、より需要は縮小します。状況がひどくなるだけです。
苦しみに寄り添う前に給付金で苦しみを和らげるべき
国民の苦しみ(痛み)に寄り添い、身を切る改革! というフレーズは、維新の会などの改革政党からよく言われます。筆者はこの言葉が、大嫌いです。
第一にそもそも、こんなものはパフォーマンスでしかありません。国会議員の歳費を削っても、たかだか数百億円の話です。
第二に国会議員の歳費削減など無意味にもかかわらず、なにか有意義なことをやりきった感がでてしまいます。無駄な会議よりたちが悪い。
国会議員の歳費削減という無駄なことをする前に、全国民への給付金を早急に実施するべきでしょう。
緊縮ポピュリズム・全体主義と国会議員の歳費削減
余談になりますが国会議員の歳費を全て削減したとして、いくらになるか計算したことはありますか? 歳費は国会議員一人あたり、およそ2200万円プラスアルファです。
国会議員の総数は465人。全ての国会議員の歳費をゼロにしても、わずか100億円強です。
ちなみに政党交付金は、約320億円。
コロナ禍で仮に全国民へ10万円を給付すると、約12兆円になります。いかに国会議員の歳費削減という話が「みみっちくてケチくさい、無駄な話か」が理解できるはずです。
緊縮が前提条件の日本の政治
なぜ東日本大震災や、コロナ禍などの災害が起こると日本はすぐに「国会議員の歳費削減!」という話になるのでしょうか。
理由の一つは、緊縮財政が政治の前提条件だからでしょう。
給付金を出すにしても、震災復興するにしても「なにかを節約して予算をひねり出す」ことを、世論が日本の政治に求めます。
「給付金も出して、自営業者に手当てして、企業にも休業補償を補填する」などという大盤振る舞いは、世論が許さないのです。日本国民ってマゾかなにかですかね? (笑)
緊縮ポピュリズムないし緊縮全体主義
財政出動を主張すると「財政破綻! ハイパーインフレ!」と、お花畑の反論があります。コロナ禍になれば「国会議員の歳費削減!」と緊縮志向が働きます。
公共投資は無駄な事業と削られ、社会保障は「維持するためには節約しかない」と細ります。
これらは日本が緊縮ポピュリズムないし、緊縮財政全体主義に陥っているからに他なりません。
はっきり断言「日本の政治は終わっている」
はっきりいいますが、日本政治は終わってます。
緊急事態宣言で半強制的に、多くの自営業者や企業が休業を余儀なくされました。1ヶ月後の生活すら見通しが立たない国民も、大勢います。
しかし給付は薄く、限定的です。給付の中にはマスク2枚! が含まれているそうですよ。笑うしかないですよね!!
国民の生活に対して真剣さに欠け、さらに政治家のパフォーマンスで「国会議員の歳費削減」です。メディアはこれに「そんなことをしている場合じゃない!」と批判を浴びせるどころか、「削減の割合が少ない!」と賛意を報じます。
なぜ政治家がパフォーマンスに走り、メディアが賛同するのか? それが国民世論にウケるからに他なりません。わずか数十億円の国会議員歳費削減で、自分たちの支持率が上がるわけです。……ああ、これって「国会議員の歳費削減!」という名前の広告ですよね?
必要な政策は遅々として進まず、こんな無駄なことがすぐに決定されて実行される。日本の政治は終わっていると表現して、何ら過言ではありません。
日本政治は知性の欠如、思考停止、パンとサーカスに陥っています。コロナ禍でその本質が、さらに浮き彫りにされることでしょう。
中野剛志氏の名言を、皆様にもご紹介したいと思います。
「今年は来年よりはいい年になるでしょう」
さもありなん。最悪と思えるうちはまだ、最悪ではないのですから。
自民党の支持率が下がり、代わりに
その党内派閥レベルの違いしかない維新の会の支持率が上がる国ですので
(実際、名前と本拠地以外の党内派閥レベルに収まらない違い挙げられます?)
最近ではいっそ直球の知的スカトロジーでもばら撒いてやろうかな
と思うぐらいです。(そんな気力が有ればですが)
自民と維新の違い、ないですよね~。
>最近ではいっそ直球の知的スカトロジーでもばら撒いてやろうかな
と思うぐらいです。(そんな気力が有ればですが)
私も気力が、なくなってきています(笑)