IPで住所は特定できない-TwitterのデマからIPの仕組みと情報開示を学ぼう

 先日ツイッターで、以下のようなツイートをしました。

 上記リツイート先をたどると、2チャンネルのひろゆき氏を発見。

 最初に結論から書きます。基本的に、IPアドレスで住所は特定できません。名誉毀損や侮辱罪、誹謗中傷などの場合に、弁護士や裁判所を通じて個人を特定することは可能です。しかし個人の特定には、情報開示請求という手続きが必要になります。

 Twitterのデマを通して、IPアドレスではなぜ住所が特定できないのか? 特定するための情報開示請求とは何か? を解説します。

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そもそもIPアドレスとは何か

 そもそも論の基本の基本。IPとはなんでしょうか。

 IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなものです。光回線を引いている場合でしたらOCNやぷららなど、プロバイダやISPと呼ばれる業者がIPアドレスをユーザーに割り振ります。

 割り振られるIPアドレスは、固定IPアドレスとそれ以外のIPアドレスがあります。固定IPアドレスはオプションで、追加料金を支払うことで契約することがほとんどです。自宅サーバーなどを運営していない限り、通常は非固定IPアドレスです。

 プロバイダはどのIPアドレスが、どの時間帯にどのユーザーに割り当てられていたか? 知っています。しかし個人情報保護法で、ユーザーの住所とIPアドレスの紐付けは一般的に開示していません。

 したがってインターネット上でIPアドレスから、住所を特定することは不可能です。プロバイダにハッキングでもしない限り。
 当然ですがプロバイダが「TwitterデモのIPの住所は○○」とばらす行為は違法です。

 例えば被害者が悪意ある書き込みを特定しようとすると、弁護士や裁判所を通じた情報開示請求が必要になります。

通常はIPアドレスで住所は特定できない

 ネット上には「IPで住所検索」のようなページがいくつもあります。筆者が試しに自分のIPで検索してみたところ、兵庫県の尼崎と出ました(笑) 筆者は大阪の吹田市です。

 ユーザーがIPアドレスから特定できるのは、せいぜいIPを割り振っているプロバイダと、おおよその都道府県くらいです。
 都道府県の判定については、IPアドレスの逆引きの話やホスト名が出てくるので割愛します。

 ここでは「IPアドレスでは、都道府県くらいしかわからない」と、覚えておいてください。……まあ都道府県判定も、わりと怪しいものですが(笑)

冒頭のツイートがでたらめな理由

 このくつざわ氏のツイートは、ほぼデマだろうと推測できます。なぜか? 上記の住所特定をするためには、以下の2つの条件が必要です。

  1. Twitterへ書き込みしたユーザーのIPアドレスは、Twitterにしかわからない
  2. IPアドレスがわかっても、住所や個人をプロバイダ以外が特定することは不可能

 上記2つは事実です。とするとこの2つの条件を満たすには「Twitterのサーバーを管理しており、なおかつたまたまそのユーザーが使用しているプロバイダの中の人だった」という条件が必要だからです(笑)
 とあるサーバーの管理者さんすげー(棒読み)

 ちなみに上記の条件が成立しても、特定ユーザーの住所などを外部に漏洩するのは違法行為です。よってくつざわ氏のいう「とあるサーバーの管理者さん」は、犯罪を犯したことになります。

 なおTwitterのサーバーは、アメリカで管理されているそうです。「とあるサーバーの管理者さん」は何者だよと(笑)

 もしくはとあるサーバーの管理者さんが、情報開示請求をしたとも考えられますが……それなら普通に「情報開示請求をした」と書くでしょうしね。

IPアドレスや誰が書いたか特定するための手続き「情報開示請求」

 プロバイダ責任制限法第4条によって、我々は情報開示請求をすることができます。例えば誹謗中傷や名誉毀損を、インターネットで受けているとします。その日時や書き込みを保存しておき、サイト運営者にIPアドレスの開示を求めます。

 このIPアドレスを元に、プロバイダに情報開示請求を行います。

 情報開示請求は通常、弁護士に依頼することがほとんどです。弁護士は裁判所を通じて、サイト運営者やプロバイダに情報開示を迫るわけです。
参照 発信者情報開示請求の方法の流れ、必要期間、成功ポイントを弁護士が解説|咲くやこの花法律事務所

 ここでは「インターネットは決して匿名ではない」と覚えておけばOKです。犯罪行為をインターネットでした場合、プロバイダやサーバーに情報開示請求して被害者が加害者を特定するのは「普通に行われていること」です。

 逆に言えば、情報開示請求をしないでIPアドレスから住所を特定することは不可能なのです。

情報・ITリテラシーを高めよう

 Twitterでリアルタイムにデマツイートを見たので、そのデマツイートを例にして解説してきました。IPアドレスで住所の特定はできません。情報開示請求をしない限り、の話ですが。

 しかしくつざわ氏のツイートへの反応は、驚くべきものでした。多くの人が「Twitterの書き込みからIPを特定して、そこから住所を特定した」という途方もないデマを、真実と信じ込んでいたのです。

 くつざわ氏は区議であり、公職に就いている人間です。公職の人間がデマを公言するのも大概ですが、そのデマを何の検証もなく信じ込むのもだめでしょう。

 あまりに情報リテラシーが低い、といわざるを得ません。ちなみに突っ込みをしたひろゆき氏のツイートですが、続々と「わはは、情報リテラシー低すぎない?」系の返信ツイートが寄せられています。
 まあ要するにくつざわ氏のツイートを真に受けている人たちは、馬鹿にされているというわけ。

 デマをデマと理解するためにも、情報リテラシーを高めるようにしましょう。

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この記事を書いた人

「難しいこともわかりやすく」政治・経済コラムをメインに発信。2019年まで16年間自営業→SEO/ウェブ制作/ウェブライター/進撃の庶民管理人などで活動中。
日本で数少ない現代貨幣理論の論者(MMTer)。
左右や保守・革新にこだわらず「庶民(自分含む)のためになる政治経済情報」をブログで掲載。
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4 Comments
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Muse
3 月 前

>多くの人が「Twitterの書き込みからIPを特定して、そこから住所を特定した」という途方もないデマを、真実と信じ込んでいたのです。
>あまりに情報リテラシーが低い、といわざるを得ません。

今回のテーマについて、あらかじめ一般常識?として知っている人間にとっては「そんなバカな?」と呆れる内容ですが、意外と世間では知られていないといえます。たとえPCやスマートフォンからブラウザやメーラを使ってネットをガンガン使っている人とか、あるいは、オフィス内で、WordやExcel等のアプリ操作に習熟している人であってもです。

やはり、ネットワークやセキュリティ関連のコンシューマーレベルのリテラシーが不足しているといわざるを得ません。今回のテーマに関連する内容で言うと、IPアドレスとホスト&ドメインの対応関係とかDNS(名前解決)の役割、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの違い、固定IPアドレスと動的IPアドレスの違いとかDHCPの役割、サブネットマスクとデフォルトゲートウェイ、HTTPプロトコルやプロキシサーバ、パケットフィルタリング等々、数え上げればきりがありませんが、要はTCP/IP、Webやセキュリティの基本的な用語に関する知識ですね。

上記の内容に関する初心者向けの書籍は選択に迷うほど出版されていますが、何らかのきっかけがないとわざわざ買って読もうという気にもならないということかもしれません。

黄昏のタロ
3 月 前

お邪魔いたしますです。

 TwitterとFacebookの紐付けで、個人特定されちゃったのと混じってるのかなと思ったです。

 IPでは手続きを踏まないと個人特定できないと朧気に判っていても、(手続きを踏んで)逮捕されたり別ルートの個人特定と混ざると、「有り得るかも」ってなるのかなと思うです。更に、公職とか公式とかの味付け(?)で、「有り得るかも」に傾いて行くのかなと。

 おいら自身も、傾いたりぐらついたりはあるです。そんなときは、真偽が判るまでほったらかすですね。慌ててアクションを起こす必要なんて無いです。