国の借金の嘘-1000兆円を日本に貸したのは誰か答えられますか?

 日本の経済問題の発端となっている、いわゆる国の借金問題について解説します。

  1. デフレや失われた20年は国の借金問題とプライマリーバランスが原因
  2. 社会保障の削減、減額なども国の借金問題が根底に存在する
  3. 少子高齢化や未婚率の上昇も、元をたどれば国の借金問題

 案外日本の問題の多くが、国の借金問題に端を発しているのです。そして国の借金1000兆円! 返さなければ! という言説は、完全な嘘です。

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いわゆる国の借金とは何を指すか

 国の借金とは日本の場合、何を指すのでしょう? 基本的には国債発行残高のことだと、思っておけばOKです。

 前より多少は少なくなりましたが、現在でも「国民1人あたり○○万円! 家計に例えると収入が○万円で、借金が○○万円あるようなもの! 大変だ!」と報道されたり、記事になります。

 こうして「国の借金が大きいから、そのうち返済できなくなって財政破綻する!」と言うわけ。しかし最近では、その嘘が徐々にばれつつあります。
 そもそも論ですがこの嘘は、30年前から言われ続けています。財政破綻はいくつるのか? 3年後にやばい! 来年こそはやばい! やっぱり○年にやばくなる! と、すべての予測は外れています。

国の借金1000兆円は誰が貸している?

 誰かが借金しようと思うと、必ず一方に「お金を貸す人」が必要です。「誰かの債務=誰かの債権」の原則です。

 では日本政府は一体、誰からお金を借りているのでしょうか? 「国の借金が1000兆円あって大変だ!」という人に筆者は、必ずこの質問をぶつけます。

 一時期は「国民が政府に貸している」という言説が有力でした。現代貨幣理論が広まった現在では「政府が発行して、政府に貸し付けている」が正解とわかりました。

  1. 日本国債は日本円で発行されている。これを自国通貨建て国債、もしくは内債という
  2. 通貨発行権は政府が所持している。理論的には、1000兆円硬貨を発行することだって可能
  3. 中央銀行の独立性という議論は、2008年のリーマンショック以降は吹き飛んだ

 上記3つが「政府が政府に貸している」という根拠になります。

 そして重要なポイントですが、自国通貨建て国債の発行はインフレ以外に制約がありません。インフレにならなければ、理論的には無限に発行できます。

国の借金1000兆円という最悪の嘘

 日本は国の借金が大変だからと、緊縮財政を20年以上続けています。緊縮財政は失われた20年となり、日本の経済成長をストップさせました。しかし上述したように、自国通貨建て国債はいくらでも発行可能です。

 「国の借金1000兆円で財政破綻する!」という嘘が、いかに最悪であったのか? うかがい知れようというものです。

 1997年に日本は、消費税を3%から5%に増税しました。この影響で1998年に、デフレに突入します。様々なデータから明らかですが、消費税増税はリーマンショック級の経済ショックを日本に与えます。2019年の消費税増税も、例外ではありません。
 この消費税増税は、「国の借金問題」に端を発しています。

 失われた20年で失われたものは、様々です。

  1. 豊かさや経済成長
  2. 技術やノウハウ
  3. 人命

 詳しくは以下で解説していますので、ご参照ください。

国の借金は資本主義では増加していって当たり前

 「国の借金が1000兆円! 大変だ!」という嘘は、3つの嘘を含んでいます。

  1. 自国通貨建て国債がで、財政破綻(デフォルト)することはない
  2. 近代資本主義では、国の借金は増加していって正常
  3. 国家の運営は、財政赤字が正常

 上記3つが、本当は事実だからです。

 例えばアメリカは1900年に比較して、現在の国債発行残高は3000倍以上です。ほかの先進国も、似たようなものです。日本も同様で、むしろ国の借金とは増えていくものなのです。

 そして「国の借金は増えて当たり前」なのであれば、すなわち「国家の運営は財政赤字が正常」という論理的な答えに行き着きます。現代貨幣理論の権威の1人であるL・ランダル・レイも「国家は財政赤字が正常」と言い切っています。

 そして21世紀に、日本以外の先進国は順調に「国の借金」を増加させています。だから経済成長しました。

国の借金1000兆円で大変だ!の嘘を広めたのは誰か?

 では「国の借金が1000兆円! 大変だ!」という嘘を広めたのは誰なのでしょうか? 諸説あります。

 1つは財務省主犯説、もう1つはマスメディア主犯説です。

財務省主犯説の概要
 財務省は日本で最も権力の強い省庁。その財務省は、増税と緊縮財政が大好き。財務相がマスメディアを使って、国の借金問題のプロパガンダを広めた!

マスメディア主犯説
 マスメディアは反日で、だから日本を害するために国の借金問題を広めた。

 正直筆者は、どちらもピンときません。なぜなら「経済学者」というファクターが、抜け落ちているからです。

 仮に何らかの感染症が拡大した場合、行政やマスメディアも感染症が専門の医者などに頼ります。基本的に学者の言うことは、根拠があるはずだからです。
 従って経済の場合、行政もメディアも当然ですが経済学者の意見を聞きます。よって「日本が国の借金で破綻する」という最悪の嘘の出所は、経済学者に違いないのです。

国の借金1000兆円の嘘は誰にとって都合がよいか?

 人は信じたいものを信じるとは、誰の言葉だったでしょう。国の借金1000兆円で大変だ! という嘘も、誰かに都合がよかったないし信じたい嘘だったからこそ、信じられたに違いありません。一体誰にとって、都合がよかったんだ?

 結論から書くと、アメリカと大資本です。

 「国の借金問題」は、小さな政府という発想が根本にあります。小さな政府という発想は、グローバリズムや新自由主義の発想です。
 つまり国の借金問題は、グローバル資本や大資本にとって都合がよかったと考えるべきでしょう。

 ちなみに現在「安い日本」という言葉が、密かに使用されています。安い日本 – Google 検索でご覧ください。20年間も経済成長しなかったので、日本は相対的に「安い国」になっているのです。資本家にとって、これほどうれしいことはないでしょう。

 アメリカは冷戦期に「二重の封じ込め」を実行していました。日本を最前線とした、共産勢力の封じ込めが1つ。そして在日米軍を置くことで、日本を封じ込めることがもう1つです。アメリカにとって日本とは、封じ込めて属国化しておくべき存在です。

 東西冷戦が終わったタイミングで、日本が均衡財政主義やグローバリズムを輸入したのは、決して偶然ではありません。失われた20年とは、アメリカの国家戦略にとって目的にかなっていたのです。

 そして日本が国の借金問題の嘘を受け入れているのは、対米従属と大資本迎合の拝金主義のたまものではないか? と筆者は分析しています。

国の借金1000兆円問題の嘘は、どうしたら打破できるのか?

 これも結論から書きましょう。国の借金問題の嘘を打破するためには、現代貨幣理論を学ぶべきです。理由は2つあります。

  1. これまでの「国の借金問題の嘘への指摘や回答」は、国の借金問題の嘘を打破するに至らなかった
  2. 独自理論より、権威のある理論の方が納得させられる率が高いから

 理論に権威を求めるとすぐ「真実性より権威なのか!? 本当のことを追求しないのか!」みたいな反論があります。一般的には例えばAというブロガーの独自理論より、経済学者の権威ある理論の方が信用されます。

 せっかく現代貨幣理論という”権威”が広まったのですから、それを使用しないのはもったいない話です。

 また健全なナショナリズムも、必要でしょう。なぜならば国の借金問題の嘘が蔓延したのは、上述したように対米従属的な姿勢と、大資本へ迎合する拝金主義的な姿勢のたまものだからです。
 おおやけという観念を復活させ、拝金主義と「今だけ、金だけ、自分だけ」から脱却しないといけません。

 国の借金問題の嘘は「信じさせる方」にも問題がありますが、「信じる方の問題」も取り上げねばならないのです。

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