就職氷河期世代の生活保護入り阻止-就職氷河期世代支援する政府の本音

 就職氷河期世代を支援するのは、就職氷河期世代の生活保護入りを阻止するため。これが政府の、支援決定の本音です。

 少し表現を変えましょう。就職氷河期世代を放置していたら、ボロボロになって引きこもりも多くなってきた。しかし生活保護は与えたくない。よって生活保護より少額の支援で、就職氷河期世代を復帰させたほうが効率的だというわけです。

 順を追って解説しましょう。

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就職氷河期世代に引きこもりが多い理由とは

 就職氷河期世代は一般的に、1995年から2005年に社会に出た世代を指すといわれています。もう少し広義の分類も存在します。

 就職氷河期世代が社会に新卒や高卒として出た時代、急激に雇用がしぼんだ時代でもありました。

 数字的な一例をあげます。中高卒者の求人かつ規模500人以上の企業の求人数は、1992年が34万人に対して2004年はわずか3万人でした。製造業の求人数でも同様で、1992年が70万人に対して2004年は8万人に激減しました。

氷河期世代支援プログラムとパソナに僕ら氷河期世代が憤る本当の理由

 就職氷河期世代は非正規雇用で、生活をするしかない人が多くいたのです。

日本式常識が通用しなかった就職氷河期世代

 就職氷河期世代61万人の引きこもりの内、75%は男性です。男性が多い理由は、実に明白です。バブル世代や高度成長期世代のような「日本式テンプレートの人生」が不可能になったからです。

バブル世代や高度成長期世代の常識

  1. 仕事を続ければ給料が上がる
  2. 給料が上がるので家庭も持てる
  3. 真面目にやれば報われる

 上記3つの「日本式の常識」は、就職氷河期世代では崩壊しています。

就職氷河期世代の常識

  1. 仕事はいつなくなるかわからない
  2. 給料は基本的には上がらないので、結婚なんて夢のまた夢
  3. 真面目にやっても評価されない――不真面目にしたら評価される。職を失うというマイナスの意味で

 上記の就職氷河期世代の常識は、他の世代には理解されません。だてに就職氷河期世代は、ロストジェネレーション(失われた世代)と呼ばれているわけではありません。
 多くの理解とは、経験から発生します。就職氷河期世代の経験は、他の世代には理解しづらいのです。

他世代の無理解と突きつけられ続けた自己責任論

 就職氷河期世代の状況は、なかなか他世代には理解してもらえませんでした。したがって「就職氷河期世代が落ちこぼれているのは、自己責任」という論調が主流になります。
 人間は相手を理解するより、突き放してパージしてしまったほうが「楽」なのです。

 政治の世界でも就職氷河期世代は、話題にすら登りませんでした。20年以上に及ぶ放置が、それを物語っています。

 社会に常に「今の境遇はお前が頑張ってこなかったからだ! 自己責任だ!」といわれ続けたら、どんな人間も諦観に染まります。人間としてのアイデンティティを、否定され続けたのですから。

産経新聞が報じた「就職氷河期世代生活保護入り阻止」の本音

 2019年4月の引きこもり多い氷河期世代…「生活保護入り」阻止へ早期対応(1/2ページ) – 産経ニュースによれば、政府は「生活保護を払いたくないから、就職氷河期世代を支援する」のだそうです。

 10日の政府の経済財政諮問会議で、民間議員が提言した「就職氷河期世代」の集中支援。バブル崩壊後の景気悪化で新卒時に希望の職に就けないままフリーターや無職となった若者たちは既に30代半ばから40代半ばに達し、自宅にひきこもるケースも少なくない。政府は3年間の集中プログラムを通じて就職氷河期世代を正規就労に結びつけ、高齢期の生活保護入りを阻止したい考えだ。

 就職氷河期世代の皆さん、政府は「将来的に金を使いたくないから、少額で済みそうな今のうちになんとかしよう」が本音です。政府の意向に従えば、一生働けということです。

 就職氷河期世代の非正規雇用は、ほとんどは基礎部分の国民年金のみではないでしょうか。しかもおそらく、未納がかなり多いでしょう。老後に2000万円が不足するどころではありません。低年金、無年金となれば生活保護しか選択肢はありません。

 ところが政府は「就職氷河期世代の、高齢期生活保護入りを阻止したい」のです。今から積み立てても、低年金はさけられません。つまり……就職氷河期世代は一生働けというわけ。

就職氷河期世代はどうやら「教訓」にされたらしい

 「明確な定義がない」「同世代でも全てが敵」 就職氷河期世代が「分断」されている理由(ふじいりょう) は、なかなか秀逸な記事です。

 記事中でもっとも目を引いたのは、すでに就職氷河期世代が「教訓扱いされているのでは?」という部分でしょう。

前述の『就職氷河期世代の実情と求められる対応の方向性』では、「“次なる不遇の世代”を生み出さないために」として「雇用制度や高等教育の見直し」を提言している。

 また、連合総研が2016年に出した提言のタイトルは『新たな就職氷河期世代を生まないために』(PDF)。「この世代は賃金・格差意識・幸福感に断絶がある」「20代に能力開発経験が少なかった」「社会的引きこもりが中高年に広がっている」などの現状認識には頷けるものの、提言としては「青少年雇用情報の提供対象の拡充」「若年齢雇用者型訓練助成金制度の創設」「能力開発・キャリア形成有給休暇の推奨」といった、ロスジェネ世代には直接関係ないものが挙げられている。つまり、政府サイドも労働組合サイドも就職氷河期世代を「教訓」として見ており、根本的解決策を講じることを諦めているのでは、と見られても仕方のない提言を平気で出しているのだ

政府は就職氷河期世代のことなんか、これっぽっちも考えていない

 生活保護費が増大するのは困るからと、就職氷河期世代支援は打ち出されました。さらに政府はすでに「就職氷河期世代という教訓を、後代に活かそう」と「先を見据えている」のです。
 もはや「現在の僕たち、就職氷河期世代」は目に入っていません。

 就職氷河期世代支援というニュースを見たとき、ほんの少しだけ期待しました。しかしその一方で「そんなうまい話、あるはずがない。今まで放置してたのに、急に支援してくれるなんておかしいやろ」とも思っていました。

 図らずも、やはり政府の本音は「社会保障費の増加を抑える」だけだったのです。

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Muse
10 月 前

>就職氷河期世代を支援するのは、就職氷河期世代の生活保護入りを阻止するため。これが政府の、支援決定の本音です。
>図らずも、やはり政府の本音は「社会保障費の増加を抑える」だけだったのです。

失礼ながら、こうした政府の本音は、支援決定の前から個人的にはわかっていました。つまり、いわゆる中年の非正規雇用者や引きこもりがこのまま年をとれば、「年金なし(あっても雀の涙の国民年金)、預貯金なし、親に遺産なし」状態であれば、どのみち生活は破綻し、生活保護に頼らざるを得ないことは明らかです。だから、諮問会議の民間議員と称する無責任なクズどもが憂慮するまでもなく、当事者たちはもちろん、普通の大人や子供?でもわかる話です。

しかし、今頃こんな付け焼刃のような支援策をぶち上げたところで、就職氷河期世代がスキルやキャリア(つまり稼ぐ力)を身につけないまま「失われた年月」を取り戻すことは不可能。文字通りロスジェネ世代なのです。

なので、親の遺産等が期待できない非正規雇用者や引きこもり者は、無理してこんな支援策に飛びつくよりも、働けなくなった時点で堂々と生活保護に頼ればよいといえます。それに加えて、(ロスジェネ世代ではない)今後の高齢者も年金がどんどん減らされて生活保護受給者が増えていくことでしょう。

それもこれも、過去20年以上にわたる、歴代政権(特に小泉と安倍)の致命的失策が元凶。いい加減、国民もその真実に気づき、(緊縮や構造改革等に賛同してきた)自分たちの愚かさを恥じるべき。ましてや生活保護受給者に対して「自業自得だ」などとバッシングを行うなど言語道断。たとえ数百万人の生活保護受給者が出ても、それはむしろ自分たち大衆愚民全体の自業自得の結果に過ぎないと肝に銘じるべき。

黄昏のタロ
10 月 前

お邪魔しますです。

> 多くの理解とは、経験から発生します。就職氷河期世代の経験は、他の世代には理解しづらいのです。

 おいらも他人は理解しがたい人生を送ってるです。

 ゆとり世代だとかのレッテルは排除をするための手段なのかもです。自己責任論が通りやすくなるレッテルなのではないでしょうか。今は人手不足で話題に登らなくなりましたが。

> 人間は相手を理解するより、突き放してパージしてしまったほうが「楽」なのです。

 自己責任論が通ってしまえば相手のことなんか考えなくても良いのです。『相手の立場に立って考える』は当然であるべきなのに、高尚なものへ変貌してしまったと考えてるです。

>3、真面目にやっても評価されない――不真面目にしたら評価される。職を失うというマイナスの意味で

 これに近いものを見てきたです。
 辞められても募集すれば人が来ますから、仕事が出来ない奴は辞めて貰ってかまわない。忙しい時期を何とかすればいい。乗り切ってしまえば余剰人員です。
 忙しいときは度が過ぎなければ注意もせずに野放しです。辞めさせる理由を自ら発していれば都合がいいですよね。