現代貨幣理論(MMT)が民主的で、経済学やエリートが反民主的

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 中野剛志さんが極めて論理的かつ、平易に解説された「現代貨幣理論(MMT)の、租税貨幣論とグローバリズムの対立関係」が非常に面白く、興味深い内容でした。

 MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準を読み解くことで、現代貨幣理論の租税貨幣論、および上下対立と民主主義を解説していきます。

 本質的に主流派経済学やグローバリズムは反民主的です。彼らに現代貨幣理論(MMT)が批判されるのは、民主的だから! だったのです。

中野剛志が語る、MMTを主流派経済学が嫌う本当の理由

 記事中でまず、商品貨幣論への極めてシンプルな説明があります。概要はこうです。

  1. 商品貨幣論では、物々交換が貨幣の起源とされる
  2. やがて金属貨幣が登場する。金属貨幣は貴金属を用いた
  3. 政府紙幣が登場するが、当初紙幣は貴金属との兌換が保証されていた
  4. やがて兌換が停止された
  5. しかしみんなが「紙幣との交換」を続ける限り、紙幣の価値は保証される

(前略)
 最終的には、金との交換による価値の保証も不要になり、紙幣は、不換紙幣となる。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値があり、貨幣としての役割を果たす(N・グレゴリー・マンキュー『マンキューマクロ経済学I入門篇【第3版】』110~112ページ)

MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 この商品貨幣論の説明の要点は、以下の文章に集約されます。

 すでに述べたように、主流派経済学は、「他人が受け取ることがわかっているから、誰もが不換通貨を受け取るのだ」と説明している。つまり、「みんながお金がお金だと思っているから、みんながお金をお金だと思って使っている」という苦し紛れの循環論法である。

 一方で租税貨幣論では、「政府の徴税権が、通貨を通貨として行き渡らせる」とします。論拠が極めて明快です。

 別の例で、商品貨幣論と租税貨幣論の論理を比較してみましょう。
【民主主義】
商品貨幣論:みんなが民主主義だと思っているから、民主主義なんだ
租税貨幣論:みんなが投票で政治に関与できるから、民主主義なんだ

 商品貨幣論の論拠が非常に怪しい、というのはご理解いただけるでしょう。

経済学の「通貨の信認」の本当の意味

 「みんながそう思っているから」という論理は、逆説的に「通貨の価値が疑われたら、途端に暴落するのでは?」との危険性を内在するものです。
 主流派経済学では、そう思われないように緊縮財政を進めると解釈できます。
 「みんながそう思っているから」が主流派経済学者がよく言う「通貨の信認」のほんとうの意味なのです。

財政民主主義と主流派経済学の反民主主義

 政府の徴税権こそが、通貨の通貨足らしめているとする租税貨幣論は、民主主義と親和性があります。徴税は政治によって決定されるからです。
 逆に「人々の通貨の信認が必要だから、緊縮財政するべきだ」という理論は、財政民主主義に縛りをかけるものだ、と中野剛志さんはいいます。

 主流派経済学がおおよそ、小さな政府を是とします。政治を学説(権威)で規制することで、市場を政府に規制させない方便です。

 学説で規制するとはなにか? 「エリートが政治を規制、コントロールしてやる」という態度にほかなりません。

 記事の最後はこう締められます。

 他方、主流派経済学の理論は、もっと不完全である。それどころか、貨幣論からして間違えている。

 MMTの批判者たちは、エリートぶって民主政治を見下す前に、せめて貨幣について正しく理解してはどうか。そうすれば、どんなに不完全であっても、民主政治によって経済運営を運営するしかないのだと分かるだろう。

MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

MMTの理解の第一歩は言葉の表現を変えてイコールすること

 現代貨幣理論(MMT)というより、他の政治経済議論全ての理解に通じることは「表現を変えたり(イコールで結ぶ)、他の例で例えてみたりすること」です。

 MMTが「デフレは、貨幣量が足りないからだ」と論じる場合、リフレ派の政策と勘違いされることが多いです。
 リフレ派の理論は「貨幣を供給すれば、勝手に借りてくれるはずだ」ですが、MMTでは「借りて使え(信用貨幣論)」が前提条件です。
 したがって「貨幣量が足りないのは、政府支出(政府が需要する)が足りないからだ」という意味になります。

 他の例もあげましょう。

  1. 国債発行をする=貨幣量を増やす=需要創出=積極財政
  2. 貨幣は負債=誰かの資産は誰かの負債=負債を返済すると貨幣は消滅する

 1.の例がリフレ派にかかると「貨幣量を増やす=日銀当座預金が増える=国債と交換する=これで誰か借りるはずだ」になります。
 こうしてイコールで結ぶことで、理論の相違は明確になります。

 自分の論理が他の例でたとえられるか? も重要でしょう。さらっと例にだけ触れますが、「グローバリズムはコンビニ化だ。ゆえに文化や伝統は破壊される」などはいかがでしょう。

上下対立の時代の意味と意義は、民主主義を取り戻すこと

 中野剛志さんの記事を解説しつつ、主流派経済学が何を恐れているか? も解説しました。
 主流派経済学の貨幣観とは、「通貨の信認」という極めて曖昧な論拠に成り立っています。「みんながお金をお金と思うから、お金なんだ」というトートロジー(同義語反復)です。

 先述したイコールで結んでみると「みんながお金と思う=だからみんながお金と思う」になってしまいます。

 「みんながリンゴをリンゴと思うから、リンゴなんだ」だとすると、「”それ”をリンゴと思わなくなれば、リンゴでなくなる」と同義です。
 また「ミカンもみんながリンゴと思えば、リンゴになる」とも解釈できます。

 では誰が「ミカンはリンゴだ!」と最初に刷り込むのか? エリートたちです。自分たちの権威性、声の大きさを利用するわけです。
 ジョージ・オーウェルの1984年という小説の構図同様の、全体主義的ではありませんか。

 全体主義とは、大衆を思考停止にしなければなりません。「え? これはミカンだけど?」などという大衆は、エリート・全体主義には必要ないのです。
 したがって大衆は、貧しくてもかまわないし、むしろ貧しいほうが望ましいのです。バカな方が望ましい、とも表現できます。

 大学での文系の軽視や職業訓練校化。所得の下落。文化や伝統への破壊。これらはクライテリオン(基準)を破壊し、大衆をバカにする過程とも解釈できます。
 グローバリズムや主流派経済学は、本質的には反民主主義なのです。

 逆説的に、反グローバリズムや現代貨幣理論(MMT)は民主主義と親和性が高いといえます。
 上下対立の時代とは、民主主義を国民に取り戻す時代といえます。

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大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。

本当は長文コメントを残したいのですが、端的に。

【WordPressで新規ブログ開設しました】
高橋様のSEOやWordPress関連の記事を参考にしつつ、WordPressに移行しました。
ブログ名称は「反逆する武士」のままです。
https://rebelbushi.jp
至らぬ点が多いかと存じますが、苦しみつつも前向きに頑張りたいと思います。
高橋様の背中を追い、いつの日かPV数で追い抜ければと思っています。
※何十年後かわかりませんけれども(笑)

【MMTの国際シンポジウムが開催】
三橋貴明氏のブログでも紹介されておりましたが、
MMTの国際シンポジウムが開催されるとのことです。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190610/
日時:7月16日の午後
場所:東京都内(調整中)
主催:京都大学レジリエンス実践ユニット
共催:表現者クライテリオン、令和の政策ピボット

私は有給休暇を取得しやすいIT企業で働いておりまして、
これに参加することが可能なのですが、進撃の庶民様で参加レポートを寄稿することは可能なのでしょうか。
できれば、詳細な参加レポートを写真と共に寄稿させていただき、ついでに拙ブログも宣伝していただけると嬉しいのですが・・・
高橋様であれば事情にお詳しいのではないかと思いまして質問させていただいた次第です。
※私は進撃の庶民様の事情やご都合などあまりわからない人間でして、高橋様のブログのコメント欄で質問していいものかもちょっとよくわからないです。ご迷惑だったらすみません( ;∀;)

大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。

ご返信いただき、大変嬉しく思います。

またもや長文になりそうなので、端的に。

>>寄稿はぜひお願いしたいです。進撃で自ブログの宣伝は全くOKです。
誠にありがとうございます。
進撃の庶民様の読者の皆様を満足させることができるレベルの記事を出したいと思います。

具体的には、2019年7月15日までにはアカウントを作成していただき、
rebelbushi@gmail.comまでお知らせいただければと存じます。
そして、7月16日中にはMMT国際シンポジウムの参加レポートを寄稿させていただければと存じます。
世界で一番早いMMT国際シンポジウムの参加レポートになると思います。
何卒よろしくお願い致します。

>>週1でも寄稿してみませんか? は、お声がけが早すぎですね(笑)
本音を言えば、寄稿したいのですが、未だWordPressに慣れておりません。
したがって、WordPressに慣れ、時間的余裕があれば、週一での寄稿を打診したいと思っています。

>>では、私が貴サイトのコンサルを務めるのはいかがでしょう? あ、もちろん無料です。
誠にありがとうございます。
感動して、泣きそうです( ;∀;)

私はIT企業に勤めている関係で、時間的余裕が無く、WordPressに慣れていないし、
知識不足という三重苦状態でございます。
何卒よろしくお願い致します。
拙ブログを実績としていただければと存じます。

私は筋金入りの経済ナショナリストであり、
反グローバリズム的姿勢は生涯を通じて変わることはありません。

>>ぶっちゃけ反グローバリズム陣営って、日本で貧弱すぎるんですよ。
この点に関しては激しく同意します。
PV数を稼げる反グローバリズム陣営を少しでも増やす必要がございます。
微力ながら、私もお手伝いできればと思います。

分かり易い良い解説をありがとうございます。
MMTは実証された「自国通貨建ての借金で政府はデフォルトしない」
という事実を述べただけですね。

無限に借金できるかのような反対派の極論ではなく、
とにかくデフレはマズいから
マイルドインフレにしましょうという前からの主張ですし、
アベノミクスの目的そのものじゃなかった?

工科系の人間で経済はほとんど勉強していませんでしたが、
どうも主流派経済学はインチキな学問ではないかという疑念が頭から離れません。

国民全体の所得を増やすという経済の目的を誤魔化し、
権力を持つエリートも国民だから
俺たちが先に儲けて何が悪いということのようです。
まさに鄧小平の改革開放と同じシナ共産党の手法です。

長くなりましたのでブログにしました。
つづきは、よろしければこちらへもどうぞ( ^)o(^ )
https://blog.goo.ne.jp/katumoku10/d/20190612
現在、古代史をライフワークにしています。
日本建国の謎も解明し、卑弥呼の墓も見つけました。
よろしければ刮目天の古代史にもどうぞ(^◇^)


当ブログは2018年12月に移転しました。旧ブログはこちら
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