丸山穂高議員の 北方領土戦争発言と平和主義日本の反応は、どちらもずれてる

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 私はあまり議員の失言関連に興味はありません。丸山穂高議員のニュースも、今日初めて開いたくらいです。

 どうやら報道によりますと、丸山議員は「(北方領土は)戦争しないとどうしようもない」というような発言をして、維新、自公、野党、マスメディアなどから轟々と非難を浴びているようです。

 丸山議員の発言の分析と問題点、そしてそれに対する日本の反応の”問題点”を、解説してみたいと思います。

 最初に結論ですが、私は「どっちもずれてる」としか、思えないのです。

北方領土問題は現状、日本が非常に不利

 外交の鉄則は、クラウゼヴィッツが残した言葉の通りです。
軍事なき外交は、音符なき五線譜

 戦争もしてないのに国土を勝手に減らす政府 – 進撃の庶民では、「安倍内閣は『北方四島は日本固有の領土である』との表現による国会答弁をかたくなに拒否している」という報道を紹介しています。

 クラウゼヴィッツを参照すれば「軍事力行使をする覚悟もない日本が、外交で領土問題の解決は”不可能”」です。
 一方的譲歩による解決ならば可能ですが、それ以外の解決は無理です。
 したがって、現状の安倍政権の外交で北方領土が返ってくることは、あり得ないと断言可能です。

 軍事力を背景とした外交、パワーポリティクスが国際政治の”現実”です。

丸山議員の発言詳細と、不可能性と現実感覚のなさ

 丸山議員の発言の詳細が、丸山穂高の北方領土、戦争しないと発言。全文公開されましたねぇ。 – Togetterでまとめられているようです。(音声データ付き)

 まず第1に、現実的に北方領土問題を解決しようとすると、2つしか選択肢はありません。軍事力を背景に外交をするか軍事力を行使するかです。
 現状ではロシアは核保有国ですし、日本は戦争をできないので、基本的にはどちらも不可能です。

 ゆえに、安倍政権以前の「棚上げ、平行線外交」が正解でした。
 日本にとって有利に決着がつけられるまで、時を待つというスタンスです。それが100年であれ、200年であれ。

 そして第2に、現在の自衛隊は継戦能力が乏しいという事実。つまり憲法問題、平和主義の戦後レジームなどを無視したとしても、現状の国際情勢で「北方領土を戦争で」というのは、100%不可能です。

 北方領土に仮に自衛隊が侵攻したとしましょう。中国、韓国、北朝鮮あたりは確実に「日本が侵略を開始した」という大義名分で、ロシアと協力して日本を袋叩きにするでしょう。

丸山議員発言の根本的問題点は、安倍政権と一緒の解決主義

 安倍政権や現在の自民党、維新などには「解決主義」という問題点があります。〇〇をやれば解決する! 改革だ! 規制緩和だ! 処方箋だ! と、とにかく「すべての物事は、解決できることが前提条件」になっているのです。

 現実的には、世の中解決できない問題のほうが多い。
 なぜなら――合理的に解決が可能なのであれば、すでにそれは解決されていることのほうが多いからです。

 これはことのほか重要な部分です。
 安倍政権や自民、維新、いや日本政治全体が「解決できない問題に阻まれているがゆえに」「自身の合理性と利口さを捨てたくなくて」「問題が解決できる、という前提条件を妄想している」としか思えないのです。
 すなわち、解決主義的態度をとることで、自信は合理的だと信じ込もうとしている、と表現できます。

 簡単にいえば、現実逃避です。
 平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路(著:佐藤健志さん)の帯を思い出してください。
 「利口者ほどバカをする!」のです。
※自分は利口で頭がよい=解決できるはず=バカをする、のです。

 丸山議員の「(北方領土は)戦争しないとどうしようもない」という発言も、解決主義の短絡的発想と解釈可能です。

 現実には、戦争をしても返ってこないどころか、中国などにも口実を与えて、より状況が悪くなる可能性のほうが高いのです。

日本の与党や野党、メディアの反応もずれている

 丸山議員の発言は、現実的には不可能であり、解決主義的発言であると書きました。
 一方で軍事なき外交は、音符なき五線譜と書きました通り、戦争に言及をするのは悪いことではありません。

「北方領土は、戦争しないとどうしようもない」

 この発言自体には、良いも悪いもないのです。ただし、実際には「北方領土は、戦争しようがしまいがどうしようもない」が現実ではありますが。

 報道によりますと、けん責決議やら辞職勧告やら離党やら。またメディアも「けしからん!」と報道を加速させているようです。

 いくつか中身を読んでみましたけども、私のように「戦争しようがしまいが、現在の状態では北方領土返還は不可能」という論調が見当たりません……。

 「戦争をしてはいけない!」という論調がほとんどを占めます。
 なにせ、自公のけん責決議の中身がこうです。

 けん責決議案は、丸山氏の発言を「我が国の国益を大きく損ない、到底看過できない」と批判し、「猛省を促す」とする一方、議員辞職は求めていない。

丸山穂高議員けん責決議案、自公が提出…戦争発言 : 政治 : 読売新聞オンライン

 我が国では、国会議員が戦争という選択肢を示すと、国益を損なうことになっているのだそうです。
 私には、軍事なき外交のほうが、よほど国益を損なっていると思うのですが。
 もしくはせっかく棚上げしていた北方領土を、解決主義で外交する安倍政権のほうが、よほど国益を損なっています。

丸山穂高議員と日本の政治、どっちもずれてる

 まとめますと、丸山議員は解決主義+自衛隊万能感+現実感覚のなさで”ずれてる”といえます。
 なぜなら「北方領土は戦争をしないと、どうしようもない」ではなく、「戦争をしようとしまいと、どうしようもない」のが現実です。
※戦争をすると、さらに状況がひどくなる可能性が高いですが。

 どうしようもないものを、どうにかできると考える、解決主義と現実逃避が問題点といえます。

 一方で、戦争という選択肢に言及するのは、良いも悪いもありません。

 丸山穂高議員を批判するなら「現実を見ろ! 戦争したら、一層状況が悪化するじゃないか!」だと思います。

 日本のメディア、政治もずれてます。
 なにせ「戦争という選択肢を示すと、国益が損なわれる!」と自公が、けん責決議しているのですから。

 戦争論という大古典を書いた、クラウゼヴィッツは言います。
「戦争とは、外交(政治)の延長線上である」

 手段と選択肢を封じて、国益もくそもあったものではありません。

おまけ 丸山和也議員の憂鬱

 丸山穂高議員「戦争発言」に丸山和也議員が悲鳴。「議員やめろ!」「どういうつもりだ」と誤解の抗議殺到 : J-CASTテレビウォッチで報じられておりますが、とんだとばっちりを受けた議員がいるようです。
 ご同情申し上げます。

   北方領土をめぐる「戦争発言」で日本維新の会を除名された後、消息を絶っている丸山穂高衆院議員(35)だが、とんだとばっちりを受けて、悲鳴を上げている人がいる。同姓の弁護士、自民党の丸山和也参院議員(73)だ。クレーム電話などが殺到したのだという。かつて日本テレビ系「行列のできる法律相談所」に出演、橋下徹氏らと激しくやり合って人気だった。

   丸山穂高氏の一件で、「なんでこんな発言するんだ」「議員やめろ」という電話とファクスが殺到したという。衆参両院で丸山は2人しかいないのだが、ニュースで「丸山議員」「丸山議員」というからたまらない。「私は、丸山和也です。今炎上している丸山さんとは別人です。その点ははっきりさせ、報道する際は、フルネームでやってもらいたい」と怒り心頭だ。

 丸山穂高議員の発言を記事にする際は、タイトルか文中にフルネームを入れるようにしてあげましょう

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Muse

>「北方領土は、戦争しないとどうしようもない」
この発言自体には、良いも悪いもないのです。ただし、実際には「北方領土は、戦争しようがしまいがどうしようもない」が現実ではありますが。

というか、仮に万が一日本がロシアに戦争を仕掛けたとしても、日本が勝てる見込みなど、それこそ”万が一のそのまた万が一”にもあり得ない。そもそも米国の事実上の属国である日本が米国に無断で戦争を始めることなどあり得ないし、米国も許すはずがない(有りうるとすれば、米ロ戦争勃発のときのみ)。

仮に日本が米国に無断でロシアに攻撃を仕掛けたとなれば、米国は日米安保を破棄し、日本全土はロシア軍の猛攻撃(もしかしたら核ミサイル攻撃も?)によって焦土と化すかも。そうなれば、北方領土奪還どころか日本国家は滅亡の憂き目に逢う。良くて、その後の講和条約の締結で北海道はロシア領に。そんな事は小中学生レベルでもわかるはず。

以上のような意味で、丸山発言はトンデモ発言なわけですが、どうも日本のマスコミや言論人には、上記のような趣旨での批判がほとんど見られません。

もし仮に、丸山議員が「戦争によらず外交交渉によって北方領土を奪還できるように、日本は経済力と自主防衛力を高めるべく富国強兵路線を取るべきだ。」という趣旨の発言をしたならば、個人的に大いに賛成です。それでも実現可能性は乏しいですが。

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