消費税が輸出補助金は事実か?自民党政権の輸出企業優遇の構造

この記事は約7分で読めます。

 先日、旧ブログコメ欄にて「消費税って、輸出補助金なの? 解説してほしいです」といただきました。
 実際にアメリカは日米FTA交渉(GAT)にて、日本の消費税を問題視しているとのこと。
参照:米、日本の消費税還付を問題視 日米貿易交渉、「補助金」批判も | msn
追記:4月26日午前7時30分に、数字がわかりにくかったため、いくつか追記・修正しています。

 どのような仕組みで消費税は、輸出補助金となっているのか? なっていないのか? 問題点はどこにあるのか? を、できるだけわかりやすく解説してみます。
今回の稿では、企業間のパワーバランスは考慮していません。次回(多分一週間以内)に、下請けと輸出メーカーのパワーらランスを考慮するとどうなるか? 論じます。

時間のない人のための、ざっくり結論

  1. 消費税は輸出補助金とは解釈できないが
  2. 国内では価格に転嫁できずに、強制的にコストカット、利益カットなどで生産性をあげる
  3. 結果として消費税の有り無しが、関税としての役割を果たす©ピケティ(輸出企業優位)
  4. だからアメリカは、日本の消費税を日米FTAで問題視している
  5. グローバリストのみなさんは、じつは消費税廃止でグローバリズムだ! といわないとつじつまが合わない

付加価値税(消費税)は最初、輸出補助金として作られた

 世界的に消費税は、付加価値税と呼ばれます。
 驚きの事実ですが、付加価値税はフランスが輸出補助金の抜け道として、作り出した税制です。

 当時の国債貿易協定のGATTでは、輸出補助金はダメでした。しかし第二次世界大戦で疲弊したヨーロッパ、フランスは「どうにか輸出で、自国経済を盛り上げたい」と考えます。

 そこで思いついたのが、付加価値税といわれています。

消費税と輸出企業の関係記事の多くの解説が間違っている件

 付加価値税・消費税が輸出企業優遇(国内よりは)になるのは間違いありません。しかし……そう主張するブログのほとんどが、「どうしてそうなるのか?」について間違っていました

 また、逆に消費税は有利な還付ではない、とする記事も読みました。計算はあっているものが多いです。
 特段、輸出企業に「国内」では利益も不利益も生じません。
 ただし、輸出先に付加価値税(消費税)がなかった場合、どうなるか? と消費税がどのような性質か? について考察が不十分です。

 前者に関しては、「付加価値税は、輸出補助金として作られた」という歴史は理解していても、その仕組が理解できていないです。
 後者については、「輸出先、消費税の性質の想定がなく、ただ計算しているだけ」です。

 以下、消費税の仕組みと、なぜ(国内販売より)輸出企業優遇になるか? について検討してみましょう。

消費税の仕組み

 端的に書きます。メーカーと、メーカーの材料仕入先のシンプルな想定にします。消費税は10%とします。
 まず国内で完結する場合。

  1. 100万円の材料を仕入先に発注し110万円で、メーカーが購入
  2. メーカーは110万円の原料費で、200万円の製品を作り、220万円で販売
  3. 仕入先は10万円を納税し(粗利100万円)、メーカーも粗利益の110万円の内、10万円を納税する(粗利100万円)

 国内の場合、どこにも矛盾は当然生じません。
 では輸出の場合を、同じケースで見ていきます。

  1. 100万円の材料を仕入先に発注し110万円で、メーカーが購入
  2. メーカーは110万円の原料費で、200万円の製品を作り、付加価値税のない国に200万円で輸出する
  3. 仕入先は10万円を納税し(粗利100万円)、メーカーは輸出であるため付加価値税(消費税)が免除・還付され、10万円受け取る(粗利100万円)

 前者も後者も、仕入先、メーカーの粗利は一緒です。
※仕入先の原価はどうした! とか細かいことはなし。説明のために省いています。

 メーカーは仕入れにかかった110万円から、輸出する際は原価(100万円)に10%かかった消費税分10万円が免除される、というわけです。

消費税の本源的性質の見落とし

 ここからがややこしいので、しっかり読んでください。

 上記の計算式では、なにも不都合なことは起こりませんでした。しかし……3%→5%、5%→8%と消費税が増税された中で、消費者に価格を転嫁できた企業はどれほどあるでしょうか

 多くの企業が消費税を消費者価格に転嫁できず、泣く泣く利益から支払ったのではないでしょうか?
 消費税とは、特にデフレ下において「消費者に転嫁しにくい税金」なのです。完全に転嫁することは、流通のどの段階においても不可能と、トマ・ピケティすら言うほどです。
参照:全商連[全国商工新聞] ピケティ教授が指南 消費税は「関税」岩本沙弓さんが解説

 上記の前提条件を、2カ国の同じ製品、同じ値段、異なるのは付加価値税(消費税)のありなし、だけで思考実験してみましょう。

 消費税の消費者への、完全な転嫁は不可能である以上、こうなります。(消費税10%、先程の例で原材料100万円(消費税込み110万円)として)
消費税国:200万円(粗利100万円)のものが、消費税が転嫁できずに、国内で214.5万円で売られている(メーカー粗利95万円 販売価格205万円、消費税納税額9.5万円)(※1)
消費税ない国:200万円のものが200万円で売られている(メーカー粗利100万円)

消費税国:輸出では原価にかかった消費税、10万円の還付を受けられる。利益率をそのままにすれば、消費税ない国で195万円で販売可能(メーカー粗利95万円)
消費税ない国:消費税国に輸出すると、消費税がかかり220万円になってしまう

 輸出企業有利というより、輸出企業推奨が消費税といえます。

※1 原価(110万)+粗利(95万)=205万円 メーカーの納税は粗利(95万)x10%=9.5万円 205万円+9.5万円=214.5万円
納税額:仕入先(原価)は100万円で販売して10万円 メーカーは9.5万円

輸出補助金は言いがかりだが、強制的コストカットを促す消費税

 付加価値税(消費税)の本質は「輸出補助金」ではなく、価格に転嫁不可能な企業の強制的生産性アップにあります

 生産性とは、「同じコストで、生産量をあげる」か「同じ生産量で、コストを下げる」しかありません。簡単にいえば、ワーキングプアか低所得かです。
 イノベーションで生産性アップ? 寝言は寝て言えでございます。投資を潤沢にしてから、言いやがれでございます。

 消費税(付加価値税)とは、輸出企業の補助金ではなく、国内企業のいじめ(強制的生産性アップ)が本質です。

消費税増税と法人税減税がセットな理由

 ここまできますと、「消費税増税と法人税減税がセットで行われる理由」が判明します。
 簡潔に申し上げます。「利益を出せない企業は死ね」が本質です。

 法人税減税は、基本的に黒字でしか恩恵が受けられません。かたや消費税は、赤字だろうがなんだろうが払わなければなりません
 日本政府の思惑が見えるようではないですか。

 新自由主義・グローバリズムに則って、赤字企業は死ねと日本政府は言っているのです。
 こんな政策では、企業が内部留保を貯めるのも、自己防衛のために仕方がないとすら思えます。

 最後になりますが、消費税増税2014の財源は、2割しか社会保障に使われていません。2018年の消費税増税10%も、また社会保障には使われないことでしょう。

最後に参照記事及び感想

 コメントから「消費税は輸出補助金なのか?」と調べていましたら、とんでもない結論になりました。
参照記事一部
米、日本の消費税還付を問題視 日米貿易交渉、「補助金」批判も
消費税とは輸出企業のための補助金であるという事実 – Dive Into The World
全商連[全国商工新聞] ピケティ教授が指南 消費税は「関税」岩本沙弓さんが解説
消費税の「輸出戻し税」が大企業の恩典になっているって本当? | 東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

 端的にいえば消費税とは、価格転嫁できない「(国内の競争やブランド力に)弱い企業」を潰すためでは? とすら思えます。
 下請け企業に競争を強いる――コストカットを強いる――上で、消費税は大企業、輸出企業にとって非常に都合が良いといえます。
今回の稿では、企業間のパワーバランスは考慮していません。次回(多分一週間以内)に、下請けと輸出メーカーのパワーらランスを考慮するとどうなるか? 論じます。

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アメリカの為の日本と捉えると、この考え方は合っているように思う
日本が汗水垂らして20年の成長2%
日本から輸入し続けてアメリカの同期の成長200%

減らない財布は、結局の所、日本人には疲弊を強い、
アメリカを成長させてきた

https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1773551259412476
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1775516375882631

多少の怒りを込めて、上記の藤井聡氏のFBに4件のレスを残しておきました(笑)。ヤンさんに言わせれば、他人のFBにコメントを投稿するより、WPと独自ドメインで作った自分のブログに書け、ということなのかもしれません……。

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