大阪ダブル選の結果2019-なぜ大阪維新が勝利し、反維新が敗北したのか?


 2019年4月7日投開票の、大阪ダブル選2019では大阪維新が勝利したといって良いでしょう。私としては非常に残念な結果でした。

 なぜ大阪維新の会が大阪府議会で過半数を取り、ダブル選でも知事、市長に当選したのか? 様々な報道や分析がされておりますが、巨視的視点からどうしてか? を分析したいと思います。

大阪ダブル選2019の結果を確認しよう

 報道によりますと、大阪維新は大阪府議会で過半数、大阪市議会では過半数に届かずだったようです。
 元大阪知事の松井氏は大阪市長に、元大阪市長の吉村氏が大阪府知事に当選しました。

 事前の報道によれば、大阪維新の会の大阪での支持率は38%とのことでしたが、直後の報道では40%ほどとのことです。
 これに加えて自民党支持層の3割ほどが、大阪維新に流れたとの報道もあります。

 なるほど、報道によれば確かに、柳本氏や小西氏が野党との共闘を前面に出したことで、自民党支持層が離れたとも解釈可能でしょう。しかし――本当にそうでしょうか?

改革政党がもてはやされる2000年から現在

 一般的には自民党支持は保守層といわれますが、2000年代初頭から改革を推し進め、加速してきたのも自民党です。

 革新の言葉の定義を調べてみますと「制度や組織などをかえて、新しいものとすること」です。構造改革、規制(制度)緩和などを改革といいますが、革新にほかなりません
 とすると、日本では保守層が革新政党を支持している、という非常に矛盾した状態であることに気が付きます。

 逆説的に共産党などの左派政党は、例えば消費税増税反対、規制緩和反対、構造改革にも反対と、まるで”本来の”保守のようではありませんが?!

 左派が保守的になり、右派が革新的になるという矛盾した現象を理解することで、大阪ダブル選2019の分析が可能となるでしょう。

保守層は勝ち続けている、ただし革新左派となって

 与党の自民党が国政では、革新政策のオンパレードだと上述しました。移民拡大もそうですし、漁業法の改正、農協改革、種子法の改悪、水道事業民営化等々。

 そして大阪維新の会もまた、革新政党であります。大阪都構想という名の、大阪市解体構想はまさに、革新の定義である「制度や組織などをかえて、新しいものとすること」そのものです。
 自治体を1つ解体するのですから、自民党以上の革新政党といえるでしょう。

 とすれば、国政において自民党という革新政党を支持する”保守層”が、大阪において、より過激な革新政党である大阪維新の会に流れるのは、自然なことではないでしょうか?

革新が閉塞感をうみ、さらに革新へと大衆を導く

 現在は「今の時代は閉塞感がある」とよく聞きます。おおよそ、2000年代初頭から現在まで、そのような言説は枚挙に暇がありません。
 「閉塞感を打破するために、革新だ! 改革だ!」というわけですが、じつはこの改革なるものが、さらに閉塞感を生み出すことは知られていません。

 革新・改革の方向性は規制緩和、構造改革です。これらはデフレ圧力になり、格差の拡大をもたらします。自由市場、市場原理とは、弱肉強食の市場を拡大するということですから、必然的に弱者は必敗となり、強者にさらに富を偏在させます。

 自由市場における勝者は、全体の1%程度になります。「負けていない人たち」を含めても、最終的には10%程度と、アメリカを見れば理解できます。
 残りの90%は所得が上がらない、敗者から抜けだせない状況に陥るはずです。

 革新・改革こそが格差を広げ、閉塞感を生むのですが、閉塞感が強まれば強まるほどに、大衆は改革を求めるという状況です。
 大阪はその性質が、大阪維新という過激な革新政党があるせいで、更に強くなっているのではないか? と判断します。

保守が革新を行う認知不協和は、いつからか?

 大雑把にいえば、敗戦後からすでに日本では、認知不協和が強く存在していたといえます。なにせ、敗戦を終戦と言い換えて記念日まで作るほどです。

 しかし世界情勢としては冷戦が勃発し、アメリカは日本を資本主義の砦とみなして、寛容な外交をしてきました。だからこそ日本は、戦後の高度成長期を迎えたのです。

 情勢が一変するのは1991年、ソ連崩壊と奇しくもバブル崩壊が重なったときです。アメリカにとってもはや日本に、寛容な外交をするメリットは、ソビエト崩壊と東西冷戦の終結でなくなったのです。

 この頃から日本は、グローバル化を輸入し始めます。グローバリズムとは革新・改革であり、世界へ打って出るとは、内需に目を向けないという意味です。
 戦後は冷戦などの要因で、富国弱兵でも経済は盛り上がりましたが、所詮はアメリカの寛容さのおかげでした。

 富国弱兵は通常、成り立ちません。したがって、世界情勢の変化とともに貧国弱兵となるのは、日本の必然でした。
 本来の解決策は、富国強兵を成し遂げることですが、いわゆる保守と呼ばれている人たちも、所詮は対米追従、対米隷属が前提条件です。

 したがって強兵路線は取れない。ゆえに革新・改革を推し進めることで、パフォーマンスに終止するしかないというのが、実態なのかもしれません。
 人間、実行してしまうと、なかなか間違いを認めることができません。最初はパフォーマンスであったとしても、そのうちに保守層は「革新・改革が正しいんだ!」と自己肯定するようになり、認知不協和がより強固に形成されるのです。

なぜ大阪ダブル選2019で、大阪維新が勝利したのかのまとめ

  1. 保守層は今や、革新しないと死んでしまう病
  2. 自民党より過激な革新政党である、大阪維新の会に票が、自民党から流れるのも必然
  3. 保守層の認知不協和は、敗戦後日本の必然だった
  4. 保守層は弱兵路線、ないし対米従属が前提条件
  5. 弱兵路線で富国になるはずがなく、革新・改革でごまかすしかない
  6. 革新・改革は格差を広げ、さらに閉塞感が強まり、大衆は革新を求める
  7. この経路では、大阪や日本の凋落もまた必然となる

 確かに! と思われる方は、是非とも佐藤健志さんのご著書、平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路をおすすめします。
 私の本稿の考え方は、まさに平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路で学んだものですから。

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革新・改革こそが格差を広げ、閉塞感を生むのですが、そのことに気づいていない有権者が多過ぎます。おっしゃる通り、閉塞感が強まれば強まるほどに、大衆は改革を求めるという状況です。

阿吽

少なくとも・・、アメリカが冷戦期に比べて頼りにならないんですから・・・、そのへんから、認識を改める必要があるんでしょうね・・・・。

あとは、先の大戦で悪いことをした・・、という意識が、日本人を無意識化に貧国弱兵路線に縛り付けているのでしょう・・、『西洋の自死』同様・・。

もっと現実を見て、現実的に判断すべきなんでしょうけどね・・。

中国、ロシアという、核兵器保有でその上さらに、拡大政策を取っているような独裁政権の強大国が2つ、すぐ真横にあるという危機感。

アメリカの凋落、さらには今現在、日本は比較的、アメリカの摂取の対象とされているというその現状・・。

貧国弱兵路線の人は、冷戦期、アメリカにしたように、中国とロシアに対しても、その靴の裏を舐めれば、そこそこ平和的に接してくれると考えているのかもしれませんけど・・、そりゃあ、甘すぎますよねえ。 あの当時はアメリカは自国の利益になるから多少寛大な貿易なども日本に対してしてくれましたけど、独裁政権の中・露は日本に対して寛大にしなくとも、普通に支配すればいいだけですからねえ・・・(それこそチベットやウイグルのように)。

貧国弱兵路線の人も、考えがお花畑でくそ甘でしょう。

かといって、いちおう同じ民主主義国家のアメリカも、もう日本に対しては、冷戦期のようなサービスは、もうしてくれないですからねえ・・。

米・中・露の靴の裏を舐めて、貧国でもなんでも形ばかりの貧しく摂取される無力な平和を手にするか・・、

現実を見て富国・・、豊かで笑顔に満ちた国を目指すか・・、

その分かれ目ですね・・。

貧国のかたちばかりの平和を目指すか・・、現実と向き合う度胸を持つか、の・・・。

,
結局、当時の維新志士達も・・、徳川のもとの開国だと、ずるずるとグローバリズム路線に入って、ズルズルと今と同様、国が溶けるような危機感があったんじゃないでしょうかね・・・?(事実、外国との金と銀の相場の問題で、日本はだいぶ不利益をこうむっていたようですし・・)

結局当時も、そういったずるずるとしたグローバリズム路線に対するカウンターが、維新だったんでしょうかね。

それでいて、現実も見て、明治期は臥薪嘗胆につとめたのですから・・・・。

阿吽

新選組が維新をぶったおすんですか?

皮肉な話しですが・・・、外様に押しやられた関ケ原の敗北者(薩摩と長州)が250年後に、そのまま当の幕府に結果としてやり返して倒した・・・という前例がありますからねえ・・・。

明治維新の敗者が、今度は勝者になる・・か?


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