ブレグジットと英国経済と英国債-合意なき離脱はイギリス経済にマイナスになるのか?


 最近はずっと大阪都構想などを書いていましたので、今日はブレグジットについて議論してみたいと思います。
 経緯は非常にややこしいのですが、本題ではありません。合意なき離脱でも、経済にマイナスはないのでは? というのが本日の本題です。

混迷するイギリス、合意案まとまらず

 イギリス議会は政府の提出した離脱案に合意せず、そして離脱は多少延期されるということが、繰り返されています。
 この経緯をスラスラ説明できる人はいるのか? と思うほどの混迷ぶりです。
 私もイギリスの欧州連合離脱 – Wikipediaを見ながらしかかけません(笑)

 ブレグジットの経緯はともかくとして、本日は合意なき離脱でも、報じられているようなイギリス経済へのマイナスはないのでは? と検討してみたいと思います。

ブレグジット、合意なき離脱でのイギリス経済

 報道では合意なき離脱をした場合、イギリス経済はかなりの打撃を受けるだろう、といわれています。
 イギリスの「合意なき離脱」で何が起きるか | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準でも、以下のように予測されるとされます。

英シンクタンクの国立経済社会研究所は、英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまると予測している。

 合意なき離脱、ブレグジットで経済が悪くなる、とする予想は、おおよそ以下のようなものです。

  1. ユーロ圏との貿易障壁(関税)によって打撃を受ける
  2. イギリスの通貨であるポンドが安くなる

 ――本当に?

EUとイギリスの貿易収支は、イギリスの赤字

 そもそも論ですが、イギリスとEU圏の貿易では、イギリスが貿易赤字です。
 合意なき離脱をイギリスがした場合に、打撃を受けるのはむしろEUであり、主要国であるドイツやフランスなのです。

 仮にイギリスも輸出で打撃を受ける! という主張を――百歩譲って認めましょう。
 しかしポンド安が予想されているわけですから、むしろイギリスの輸出は、わずか5%や10%の関税を吹き飛ばして伸びるはずでは?

 上記が事実であるとすると、ブレグジットによってイギリスの貿易は、少なくとも輸出については打撃を受けないとなります。

 輸出で外貨が稼げる以上、輸入品の値段が高くなることはあっても、輸入ができないなどということはありえません。

英国債はどうやら、全て自国通貨建てのようだ

 いろいろと調べたのですが、ブルドッグ債(英国ポンド建ての、外国向け国債)はポンド建てなのだそうです。
 英国ポンドはハードカレンシー(国際通貨)の1つですので、わざわざ国債発行を、自国通貨建て以外で行う理由もありません。
※英国債の内訳などを調べていたのですが、どうにも「英国債は自国通貨建てが100%」というような記事や資料がありませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教授いただけたらと思います。
参照:英国債 – Wikipedia

 英国債がポンド建て100%だとすると、イギリスに財政出動をする制限はない、ということになります。(もちろん、インフレという制約はあります)

 合意なき離脱がブレグジットの結末であったとしても、イギリス政府が財政出動を決断しさえすれば、イギリス経済にマイナスはないのではないか? と思うのです。

冒頭の経済予測は「離脱後に何もしなかった場合」

英シンクタンクの国立経済社会研究所は、英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまると予測している。

イギリスの「合意なき離脱」で何が起きるか | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 上記の予測はおそらく、現在のイギリス政府の支出ペースで考えた場合、なのだと思います。
 また、貿易障壁を過大に見積もりすぎているのでは? という点と、ポンド下落での輸出のプラス面を過小に見積もっているのでは? という疑義があります。

 さらにいえば、イギリスのブレグジットの国民投票では、相次いでエリート層が反対をしました。メディアや企業のトップ等々。
 上述の経済成長率の予測についても、エリート層の思惑がないとはいい切れません。

ブレグジットの結末が、今世紀を象徴する出来事になるかもしれない

 現在のグローバル化は、1971年のオイルショックに起因しています。それまで主流だったケインズ経済学が不当に批判され、新古典派経済学に葬り去られた瞬間でもありました。

 新古典派経済学の理論は「こうあるべき」という、ある意味でイデオロギーであり、現実を直視した学問ではありませんでした。
 その証左に、2003年にルーカスという主流派経済学の大物が、「経済学は恐慌を克服した!」と語らかに宣言した5年後、リーマン・ショックが訪れたのが良い例でしょう。

 イギリスではエリザベス女王が、経済学者たちに「なぜ予測できなかったのか?」と尋ねたところ、沈黙しかなかったのだそうです。

 2000年代に入り、グローバル化が加速する中において、確かに2000年代初頭~2008年は、グローバリズムの黄金期とまで呼ばれました。
 実際にはアメリカの巨大な消費に支えられていた、というのが事実です。

 グローバル化は様々な弊害をもたらしました。格差の拡大、労働者所得の停滞、富の独占、政治へのグローバル資本や金融の強い関与、移民の拡大、民主主義の縮小等々。

 こうして各国で、主に移民に反対や財政出動を求めた、反グローバリズム運動が盛んになりました。
 ブレグジットは国家レベルで、グローバル化から抜け出そうとする運動、と定義できるでしょう。

 この結末がどのようになるか? わかりませんが、グローバリズムの時代の終わりを告げる、象徴的な結末になってほしいと祈念します。

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