先日、のぼうの城を再視聴しました。
のぼうの城が公開されたのは、2012年の11月のこと。もう8年も前の映画なのか!? と、ときの流れの速さにびっくりします。
のぼうの城は痛快、爽快に視聴できる名作映画の一つです。ストレスフリーな娯楽作品として、頭を空っぽにして見ることができる点が素晴らしい。
のぼうの城がなぜおすすめな映画なのか、お伝えしたいと思います。
キャストや基礎情報
のぼうの城はもともと、小説が原作です。映画は2010年より制作が開始され、2012年11月に公開されました。
累計興行収入は30億円弱と大ヒットし、第36回日本アカデミー賞で多くの受賞を記録しています。
主人公の成田長親役は、野村萬斎が演じました。野村萬斎は狂言方和泉流の能楽師であり、俳優です。のぼうの城では成田長親役を怪演し、奇妙な魅力で視聴者を引きつけました。
ヒロインとも言える甲斐姫を演じたのは榮倉奈々、敵役の石田三成を演じるのは上地雄輔など、俳優陣もなかなか豪華。
映画のキャッチコピーは「豊臣軍にケンカを売った、でくのぼうがいた」「この男の奇策、とんでもないッ!」でした。
あらすじ
ときは安土桃山時代、豊臣秀吉が小田原城攻めをするときの物語。武勇で名を挙げていなかった石田三成に武功を立てさせるため、豊臣秀吉は忍城を攻めるように申しつけます。
忍城は代々、成田家の居城。西村まさ彦演じる成田家当主の成田氏長は、早々に北条から豊臣への寝返りを決意します。とは言え体裁もあるので、成田氏長は小田原城にて籠城しつつ情報を流すといった暗躍の予定でした。
忍城も当然、開城して降伏する予定でしたが……。石田三成の使者が居丈高に城主代理の成田長親を挑発。それに乗せられて成田長親は、開戦を決意してしまいます。
最初は家臣たちも戸惑うが、最後には農民たちと一致団結して戦い抜く。そんなありふれた物語なのですが……なぜのぼうの城なのか。「のぼう」とは「でくの坊」の略です。
成田長親は何もできないでくの坊=のぼう様と呼ばれていました。しかし農民たちから人気が高く、奇妙な魅力を持つ人物です。
そんなのぼう様こと成田長親が、水攻めにあって採った策略とは?
成田長親の奇妙な魅力と、益荒男で武辺者な家臣たちの活躍をご覧あれ。
痛快な時代劇と評するのが、もっとも適切な映画です。
のぼうの城のモデルは実話?
のぼうの城は、モデルになった実話があります。忍城や成田家もフィクションではなく、実在していました。
しかし映画と異なる部分も、もちろんあります。
映画では石田三成が水攻めを考えたように描かれますが、実際には豊臣秀吉の指示です。加えて忍城は関東七名城との評判も高い、堅牢な要塞でもありました。
忍城が小田原城が陥落した後まで落ちなかった原因には、こういった背景も関係します。
映画で活躍しなかった甲斐姫は、実際の忍城の戦いでは薙刀を持って戦ったとの言い伝えもあります。その武勇を聞き及んだ秀吉が、忍城の戦いの後に側室として迎え入れました。
のぼうの城の感想
のぼうの城を面白くしているのは、痛快なストーリーと野村萬斎の怪演という2つの要素です。奇妙なキャラクターと勢いで進むストーリーは、不思議な爽快感と感動を与えてくれます。
主人公のキャラクター
成田長親のキャラクターは、漫画「へうげもの」の古田織部に非常に近しいです。ひょうげており、自分の欲望や感情に素直な部分は好感が持てます。
加えて成田長親のファッションは、いちいち数寄者っぽいセンスです。おしゃれで、どこか軽くはずしている。そんなファッションがチラホラ見られます。
主人公のキャラクターは、映画と小説で大きく異なるようです。小説では「大柄で表情に乏しいでくの坊」が、主人公のキャラクターでした。
映画ではひょうげており数寄者で、他のことにはでくの坊と変更されているようです。
野村萬斎演じる成田長親は、非常に奇妙な魅力があります。怪演と言って差し支えなく、ユーモアと怪しさ、コミカルさ、人間味にあふれる主人公です。
勢いのあるストーリー
ストーリーは細かい部分に突っ込めば、色々と「ん?」という部分があります。
成田長親は農民に好かれており、長親自身も農民を好いています。なのに石田三成の使者からの挑発で、安易に開戦に踏み切って大勢の農民を死なせてしまいます。
成田家の家臣である柴崎和泉守敦英は、ちょっと強すぎるんじゃない? というくらい強い。逆に石田三成は無能に描かれすぎていて、ややかわいそうな気も。
と、このような細かい突っ込みどころはあります。
しかしそれはそれ。物語の勢いと痛快さ、爽快さの前ではほとんど気になりません。ひょろろん! ひょろろん!
「ひょろろん」は軽くネタバレです。なぜ成田長親役に野村萬斎だったのか? 「ひょろろん! ひょろろん!」「がってん、がってん、がってんじゃ~!」などがその理由。
気になる人は本編を見ると、「お、ここか!」と最高に盛り上がれますよ。
盛り上がるシーンはいくつもあり、それぞれに奇妙な熱さを帯びています。この映画、珍味なり。
まとめ
145分の上映時間は、あっという間に過ぎてしまいます。それだけのぼうの城には、視聴者を巻き込む勢いがあります。
ちょっと疲れているとき、なんだか落ち込んでしまったとき。
「頭を空っぽにして、スカッとする映画を見たい!」
そんなときに、のぼうの城はおすすめの映画です。奇妙な熱さとコミカルさ、ユーモアが熱を帯びてあなたを爽快にしてくれることでしょう。