コロナ禍で雇い止め、派遣切りなどが横行しています。自粛により多くの国民の生活に、影響が出ています。
この苦しい状況を救えるのは積極財政だけ。しかし世の中、国民の苦しみより国債増加を心配する財政破綻論者なる人種がいます。消費減税の議論どころか、今こそ消費増税だ! とすら、彼らは主張します。
財政破綻論者たちが陥る、嘘と責任逃れの思考を解説します。
財政破綻論者の定義
財政破綻論者の定義を、まず明確にしましょう。財政破綻論者の定義はもちろん、日本が財政破綻する! と主張する人たちのことです。
財政破綻には債務不履行(デフォルト)と、ハイパーインフレの2種類があります。ハイパーインフレは厳密には、経済の破綻であり財政破綻ではありませんが――脇に置きましょう。
債務不履行で財政破綻する! という主張を「デフォルト財政破綻論」、ハイパーインフレが! との主張を「ハイパーインフレ財政破綻論」とでも本稿では呼びます。
デフォルト財政破綻論は嘘がばれたので、最近は主張されません。新しく出てきたのが、ハイパーインフレ財政破綻論です。
いずれかを主張する人たちが、財政破綻論者の定義です。
財政破綻論者一覧を作りたいが……
財政破綻論者の一覧を作りたいですが、筆者にわかるのは以下の一部です。コメント欄にて財政破綻論者の名前と記事URLを貼って、ご協力いただけたら一覧に追加します。
TwitterからDMでも、OKですよ。プロフィールページからどうぞ。
- 藤巻健史
- 加谷珪一
- 小幡績
- 各種新聞やテレビなどの報道
- 政治家や多くの有識者
財政破綻論者の主張と理屈
財政破綻論者の主張や理屈について、ざっと参照しましょう。
主張1 ハイパーインフレになる
現在の財政破綻論のメインは、ハイパーインフレ財政破綻論です。
概要
国債がこのまま増加し続け政府支出を拡大すると、国民は政府支出の拡大に甘える。したがって長期金利が上昇し、インフレ局面になっても増税でインフレを抑えるなど不可能。
現実的な政治では、増税など間に合わない。
いずれインフレが過剰になり、ハイパーインフレが起こって財政破綻だ!
上記がハイパーインフレ財政破綻論の概要です。
ジェームズ・M・ブキャナンが唱えた「赤字の民主主義」理論が、前提になります。赤字の民主主義理論とは、政府が積極財政をしたら国民が甘えて、積極財政をする政治家しか選挙で勝てなくなる。
よって民主主義では、際限なく政府の赤字が累積していく! という理論です。
嘘はどこか
まずブキャナンの赤字の民主主義理論が、そもそも間違っています。なぜなら近代資本主義では、政府赤字こそ正常だからです。
むしろ政府黒字は、しばしば金融危機を引き起こしてきました。
詳細は、以下の記事でどうぞ。
加えてデフレのときに、ハイパーインフレの心配は必要ありません。餓死寸前の病人の肥満を心配するようなものです。
インフレの抑制対策も、ハイパーインフレ財政破綻論者たちが言う増税だけではありません。ビルトインスタビライザーや予算額前年度据え置き、金融引き締めなど多くの対策があります。
特にハイパーインフレ財政破綻論者が言う「増税が間に合わない!」は、わら人形論法です。なぜなら予算額を前年度と同様で据え置くだけで、インフレ抑制は可能だからです。
主張2 国債が多くて債務不履行になる
デフォルト財政破綻論は嘘がばれましたが、未だに根強く主張されます。
概要
国債が1000兆円もあり、利払いだけでも大変! この上、長期金利が上昇したら利払いも増える。そして税金で国債費がまかなえなくなり、そのうち財政破綻する!
債務不履行になるに違いない!
上記が、デフォルト財政破綻論の概要です。
嘘はどこか
日本政府は通貨発行権を持っています。日本政府が発行している国債は、すべて円建てです。したがって日本政府に償還の意思がある限り、債務不履行が発生することはあり得ません。
なお政府支出の原資は、税金ではないという衝撃的な理論があります。これをスペンディングファーストと言います。
詳しくは以下の記事でどうぞ。
財政破綻論者の思考回路と嘘
財政破綻論者は、平気で嘘をつきます。デフレなのにハイパーインフレが来ると煽り、自国通貨建て国債なのに債務不履行になると騒ぎ立てます。
財政破綻論者たちの思考について、3つのポイントから迫ります。
嘘にならない嘘、ないし屁理屈
「未来はこうなる(可能性がある)」と言うのは、そうならなくても嘘になりません。例え0.0001%の可能性であれ、可能性は否定されません。
「財政破綻がいつか来る!」というのは、時期を明言しなければ嘘ではありません。1万年後までにはほぼ確実に、日本は財政破綻しているでしょう(笑)
上記は理屈としてはその通りです。しかし一般的には、嘘ないし屁理屈に分類されます。
「10年後には財政破綻の『可能性』がある!」と言って外れても、理屈的には嘘ではありません。
財政破綻論者たちの頭の中は、これらの屁理屈で正当化されていると思われます。
センメルヴェイス反射
センメルヴェイス反射をご存じでしょうか?
センメルヴェイスという医師が、産褥熱の予防を発見しました。カルキで手洗いするという、現在では一般的な方法です。
当時は菌の概念もなく、医師たちは手洗いなしで赤子を取り上げていました。
センメルヴェイスの発見後も医師たちは、カルキによる手洗いを非難し、否認しました。センメルヴェイスの発見を認めることは、今まで産褥熱で死亡した人たちが、自分たちの無知から死亡したと認めることだからです。
「新しい事実が通説と異なる場合、拒絶する傾向」がセンメルヴェイス反射の意味です。
センメルヴェイス反射には上記のような、認知不協和的反応も含意されています。
財政破綻論者たちは散々、消極財政(緊縮財政)を支持してきました。デフレによって1998年から、自殺者は1万人増えました。10万人以上が財政破綻論者たちに、殺されたと言って過言ではありません。
この事実を認めたくないからこそ、財政破綻論者は財政破綻論を擁護するために平気で嘘をつくのでしょう。
危険だ!と主張する方が責任がない
財政破綻論者は一度たりとも、責任を取らされていません。なぜなら「危険だ!」と主張することは、「大丈夫だ!」と主張することより容易だからです。
大丈夫だと主張して、何かトラブルがあれば責任を追及されます。しかし危険だと主張して、何もなければ「何も起きなくて良かったね」で終わります。
危険だと主張することは、責任回避が容易です。
財政が破綻しないと主張するより、破綻するかもしれないと主張しておく方が保身に有利です。
したがってマスメディアや新聞、有識者などは財政破綻論者になりやすいのです。
まとめ
財政破綻論者が跋扈する理由は、日本人の国民性にも理由があります。
何かトラブルや問題が起きたとき、問題の解決より責任を追及することを日本人は優先します。「どのような対策を採るか?」ではなく「誰がそんなことをしたんだ! 誰の責任だ?!」を優先します。
論理的に明らかに正しくても、責任を追及される可能性のある主張はしたくありません。少なくとも、発言するのに勇気がいりますよね。
日本人は論理的思考が苦手、壊滅的と評されることがあります。財政破綻論者たちが蔓延るのも、論理思考が苦手だからこそでしょう。
財政破綻論の嘘を知るなら、藤井聡氏の以下の著書がおすすめですよ。
著者は経済の専門家ではないが、土木工学という「実学」の一流研究者として、いかにも科学者らしく各種のデータとその分析に基づく緻密な議論を丁寧に積み重ねつつ論を進めており、経済学に疎い一般人にとってもわかりやすく説得力のある一冊となっている。
Amazonの口コミより引用