不思議!緊縮財政のメリットを検索しても玉手義朗しか書いてない件

 緊縮財政のメリットって、誰か答えられますか? 20年以上も緊縮財政もとい消極財政が続いています。何かしらのメリットがあって、続けられているはず……ではないだと?!

 結論から言えば、緊縮財政のメリットはほとんどの人が答えられません。強迫観念によって「緊縮財政をしなければならない」という主張はあっても、「緊縮財政をしたらこんな良いことがあるよ!」と言える人はいません。

 緊縮財政のメリットについて、噴飯物の記事を書いていたのは玉手義朗氏だけでした。それも含めて、誰も緊縮財政のメリットを語れない不思議を解説します。

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検索結果から見る緊縮財政のメリット

 まずGoogleで「緊縮財政 メリット」と検索してみてください。不思議なことに、緊縮財政のメリットを書いた記事は1つもありません。

 筆者は「はて?」と思い、1~3ページ目まで探してみましたが、見つかりませんでした。そんな中で唯一、緊縮財政は良いものだ! と述べた記事がありました。

緊縮財政/積極財政 | 目からウロコの経済用語「一語千金」 | 連載コラム | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス
「長男の受験勉強にお金がかかって…」と、知人がため息をつく。現在は浪人中で予備校に通っているが成績が伸びず、新たに家庭教師をつけることを検討しているという。さらなる出費に頭を抱える知人だが、肝心の長男は「成績はお金をかければ上がるわけじゃない、自分で考えるよ」と、父親の「介入」に反発しているというのだ。 子供の成績を上...

 玉手義朗氏が書いた記事です。以下がその記事のポイントです。

  1. 緊縮財政や積極財政派、子供の成績向上にいくら出すか? と一緒
  2. 積極財政は何人も家庭教師を雇うようなもの
  3. しかし積極財政で子供の成績は向上しなかった
  4. お金をかけるだけでは子供の成績は向上しない、と考えるのが緊縮財政
  5. 根本的な問題解決が必要なのであり、それを見守るのが緊縮財政の考え方

 景気を回復させるためには、経済が抱えている根本的な問題を解決することが必要であり、財政支出で支えても長続きしない。子供の受験勉強に、親が安易にお金をかけるのではなく、その力を信じて努力を見守るべきだというのが、緊縮財政の考え方なのである。 

緊縮財政/積極財政 | 目からウロコの経済用語「一語千金」 | 連載コラム | 情報・知識&オピニオン imidas – イミダスより

 どうも緊縮財政をすると、努力するようになるそうです。積極財政では努力しない、という前提条件がまず不思議ですよね。こういった記事にはおおよその場合、詭弁が隠されています。

 玉手義郎氏の記事からは、子供を信じて見守ると言うより、無為無策に現状追認をするのが緊縮財政と言えそうです。

 玉手義郎氏のようなこじつけをしないと、緊縮財政のメリットというのは書きがたいということが理解できます。

学術的に緊縮財政にメリットはあるか?

 検索しても誰も緊縮財政のメリットを書いていません。

 しかし学術的には、緊縮財政にもメリットはあります。インフレ抑制やインフレ退治です。

 アバ・ラーナーという経済学者は、ケインズ学派の経済学者です。ラーナーは機能的財政論を提唱し、ケインズの研究を一歩進めました。

 機能的財政論とは、景気の悪いときには積極財政。景気が良くなったら消極財政という理論です。機能的財政論は、通貨発行権のある政府は自国通貨建て国債をいくらでも発行でき、その権能を行使できるという前提条件に立っています。

 そしてラーナーは、消極財政を否定していません。むしろインフレが過剰なときには、消極財政、すなわち緊縮財政をするべきとしています。

 ではなぜ日本で、緊縮財政のメリットが書かれないのでしょうか? 緊縮財政でインフレ退治ができる! と声高に主張されないのでしょう。

 ……当たり前ですよね。日本は20年以上もデフレ気味です。飢餓状態に陥っている人に、ダイエットのメリットを説くバカはいませんよね。

緊縮財政のデメリットはハッキリしている

 一方、緊縮財政のデメリットはハッキリしています。

 社会保障費が抑制され、年金が下がって医療費が上がります。研究開発分野では予算がケチられ、技術力で国際競争力を失います。
 経済成長は鈍り、企業はアニマルスピリットを発揮できなくなります。
 軍事力では隣国に差をつけられ、安全保障上の問題が発生します。インフラ整備は疎かになり、震災・災害対策は遅々として進みません。
 国民の所得が下がり続け、日本は貧困化しています。

 これらは全て、緊縮財政がもたらしたデメリットと言えます。

 本来的に求められるのは、上記の課題へ積極的に解決を試みつつ、インフレが過剰にならないよう注意することです。

 緊縮財政、もとい消極財政では決して、上記の問題は解決できません。むしろ消極的な姿勢で問題の傷口は、さらに広がりを見せます。

 先日、緊縮財政→消極財政が正しい呼称と書きました。

 まさに緊縮財政・消極財政は「問題を見過ごし、現状追認をし続ける消極的な姿勢そのもの」です。

消極財政の認知不協和

 現状の日本で、緊縮財政のメリットは全くありません。「緊縮財政 メリット」で検索しても、誰も書けないことからも明らかです。みんな、緊縮財政にメリットがないことを知っています。

 しかし20年以上も、緊縮財政をやめられません。一体なぜでしょうか。

 筆者には「緊縮財政というお祈りをやめると、地獄に落ちるぞ!」と脅されているように見えます。狂信的に「緊縮財政消極財政財政黒字プライマリーバランス財政均衡……」と祈り続けているように見えます。

 変な宗教よりたちが悪い。いや、緊縮財政カルトとでも呼称するべきでしょうか。

なぜ人はカルトに取り憑かれてしまうのか?
1997年のヘール・ボップ彗星が出現した際にUFOを信仰する宗教団体「ヘヴンズ・ゲート」の信者が集団自殺した事件などが、カルトの起こした事件としてよく知られています。しかし、2017年現在には一見するとカルトに見えないカルトも数多く存在するとして、「人はなぜカルトにはまってしまうのか?」「カルトとはどのようにして見分け...

まとめ

 「緊縮財政 メリット」で検索しても、緊縮財政のメリットについて書かれた記事がない。これは驚くべきことです。
 通常多くの物事は、視点を変えると短所が長所になるものです。しかし緊縮財政には、それすらないようです。

 とすると緊縮財政を信じ続ける人たちの裏側には、ある種の強迫観念が存在すると類推するしかありません。メリットがないものを延々と続けるのは、やめることで被るより大きなデメリットがあると信じていないと無理だからです。

 カルトでは「地獄に落ちるぞ!」ですが、緊縮財政では「財政破綻して地獄に落ちるぞ!」です。
 ちなみに緊縮財政で景気が悪くなっても、「財政破綻して地獄に落ちていないだけマシ」と緊縮財政を信じる人々は考えます。

 緊縮財政もとい消極財政を否定し、積極財政を広めるのは「友人をカルト宗教から抜け出させる」くらい、難しいことなのかもしれないですね。

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