政治で商売する人は政商と呼ばれます。英語ではレントシーカーといいます。レントシーキング(rent seeking)は超過利潤(rent)を探す(seeking)人たちのことです。竹中平蔵氏はその生きた見本といえるでしょう。
本稿では竹中平蔵氏がいかに日本の政治に、自分に都合の良い提言をしてきたか。そして愚かにも日本の政治は、その提言の大半を飲んでしまったかについてお伝えします。
おぞましきレントシーキングと政商の蠢く歴史の一端を、解説します。
竹中平蔵とはどんな人物か?
竹中平蔵氏は1951年生まれです。現在は東洋大学教授をしつつ、パソナグループの取締役会長をしています。パソナとは人材派遣会社です。
その他にもオリックス、SBIホールディングスなどの金融企業の社会取締役を務めています。
また内閣日本経済再生本部産業競争力会議の民間議員でもあります。
竹中平蔵氏は民間議員として、残業代ゼロ=高度プロフェッショナル制度を提唱してきました。残業代ゼロのほうが、経営者としては儲かるからに違いありません。「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人達への補助金が残業代だ」との発言までしています。
竹中平蔵氏自身は「私は新自由主義者ではないし、対米従属でもない」と否定しています。しかし提言や行動は新自由主義であり、対米従属です。格差の是認、郵政民営化、その後に郵政はアメリカに融資するべきだという発言等々。
明らかに新自由主義、対米従属が竹中平蔵氏のスタンスです。
竹中平蔵のこれまでの発言と政策
竹中平蔵氏の発言の数々には、驚くべきものがたくさんあります。
- 賃金も下がらなければならない
著作の『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』の中で「物価が下がることはよいことであるが、本来ならそれに応じて賃金も下がらなければならない。ところが、現実は賃金は下げられない。売り上げが下がっても賃金は下げられないため、企業収益に対する労働分配率が上がってしまった」と述べています。 - 民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ
BS朝日にて発言。この発言はサブプライムローン、リーマン・ショック後の発言です - 日本経済は余命3年
「日本経済は余命3年」という著作の中で池田信夫、土居丈朗、鈴木亘とともに「2014年から日本経済の崩壊が始まる」と述べるも実現せず。 - 若者には貧しくなる自由がある。そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな
- 将来の大きな痛みを回避するため、いま(増税という)若干の痛みを我慢する
小泉純一郎元総理の「国民は痛みに耐えて」と同じロジックです。上記は2014年の竹中平蔵氏の講演での発言です。 - 残業代は補助金
2018年の東京新聞のインタビューで「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのはおかしい」と述べます。仕事量が多いという発想はないそうです。
竹中平蔵氏の関わってきた政策は主に、小泉純一郎元総理時代のものです。金融再生プログラムでの不良債権処理、郵政民営化、各種改革(労働法改悪含む)の3つが代表的なものでしょう。累進課税へは否定的見解を示しており、将来的には人頭税すら主張しているようです。
参照:竹中平蔵 – Wikipedia
派遣会社パソナの会長、竹中平蔵は派遣需要が多くてウハウハ?
小泉純一郎内閣時代に、非正規雇用が爆発的に増えたのは事実です。この「改革」で竹中平蔵氏は、中心人物の1人でした。
竹中平蔵パソナ現会長の“改革”で、4割が非正規雇用で働く日本に…人に値する生活を営めずによれば、自営業や企業役員を除く労働者の中の4割が、非正規雇用だそうです。区役所や市役所でも、窓口業務などはほぼ派遣社員だそうです。
非正規公務員とも呼ばれ、すでに公務員の3人に1人が非正規です。
一体誰が得しているのでしょうか? 市役所職員が非正規になったことで、住民の税金は軽くなりましたか? それともサービスが良くなりましたか?
得しているのは「人材派遣をする会社だけ」ではないでしょうか。その派遣会社のトップが竹中平蔵氏であり、竹中平蔵氏は政府の民間議員でもあります。
なんというマッチポンプでしょう。レントシーキングであり、おぞましき政商と呼ぶべきでしょう。
竹中平蔵氏が中心となり非正規雇用を増加させ、増加した非正規雇用を派遣し竹中平蔵氏の会社が儲ける。政治が企業の利益のために、利用されているのです。
そのような政治で良いのか? 今だけ、金だけ、自分だけで正しいのか? 日本国民一人ひとりが、考えなければなりません。
日本がアメリカ化したら最も困るのは竹中平蔵?
https://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/29469447a0d19222c5dc03ae3d04da49
代替案のための弁証法的空間 Dialectical Space for Alternatives
竹中平蔵さんはなんていうか、欧米の文化の悪いところと日本の文化の悪いところを合体させたような知識人だと思います。日本人の美徳とアメリカ人の美徳に両方反しているような人物が、日本では一般的に最も知名度がある経済学者なんていやな話です。
頂いた記事、大変面白いです。読ませていただきました。
>イニシャルT.Sさん
気持ちは理解できても、罵倒系のコメントは承認しておりません。ご了承ください。
どうもはじめまして
進撃の庶民と同じ様に、いつも記事を楽しく読んで参考にしています。
さて本題。
レントシーカーの礎になった「こーぞーかいかく」ですが
アメリカの大手航空会社の元幹部からは「レーガノミクスのフルコピーで、こんなのやったら貧富の格差が激しくなる」「マスコミはそれに対して不勉強」とツッコまれています。
http://www.newstokyo.jp/index.php?id=641
給料をどんどん減らして収益を上げるかのように装うとしても、その代償として従業員の士気が激減して仕事への情熱や誇りよりもその場を凌ぐだけでいいから、生産性の上がり様はありません。
派遣業をやるにはいいんですが、それならそれで優秀な人材を発掘して高額報酬を出すのもあるようですけど、どう見ても日雇い派遣に毛が生えた様に人足集めをしているしか感じません。
つまり「政商」でなかったら、価値すらないと思います。
マスコミの公務員バッシングのおかげで「こーぞーかいかく」をやったのはいいですが、これでは単に「新しい利権獲得」に貢献したとしかありません。ほんと「人を呪わば穴二つ」です。