現代貨幣理論(MMT)の書籍紹介-これからの経済を考える必須本

 現代貨幣理論(MMT)が、もはや報道に出ない日はありません。なぜ現代貨幣理論(MMT)が、これほど報道を騒がせているのか?

 識者の中には「天動説から地動説への、パラダイムシフトだ」と評する者すらいます。現代貨幣理論(MMT)とは、それほどまでに「インパクトのある理論」です。
 だからこそ、批判も肯定も含めて議論が活発化しているのです。

 私の見るところによれば、現代貨幣理論(MMT)は「これからの経済を語る上で、必要不可欠な現実」でしかありません。

 経済の新常識である現代貨幣理論(MMT)を、学べる書籍を紹介します。
※まだ読了していないものについては、読了していないと表記しています。

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奇跡の経済教室【基礎知識編】 著:中野剛志

 現代貨幣理論(MMT)を理解するのに、一番最初に読んでほしいのが「奇跡の経済教室【基礎知識編】」です。

 あの鬼才、中野剛志さんが「これ以上わかりやすく、貨幣論を書くのは無理だ」とまで断言した、初心者に優しい書籍です。
 私もすでに読了しており、奇跡の経済教室 基礎知識編レビュー 世界一やさしい信用貨幣論でレビューしています。

 現代貨幣理論(MMT)の全体像を掴むのなら、一番におすすめしたい書籍です。

奇跡の経済教室【戦略編】 著:中野剛志

 奇跡の経済教室【基礎知識編】を読了し終えたら、ぜひとも読んでみたい一冊。続き物になっています。
 私も読了し、奇跡の経済教室【戦略編】中野剛志レビュー・書評-MMTと社会科学でレビューしてます。

 本書のテーマはどちらかといえば、なぜ主流派経済学が幅を利かせたのか? という疑問を解決するための、ものになります。
 現代貨幣理論(MMT)だけを扱うわけではなく、広く経済を見渡したときに「なにが起こっているのか?」を書いています。

 もちろん、現代貨幣理論(MMT)のエッセンスも詰まっています。
 また現代貨幣理論(MMT)が「なぜ今、必要なのか?」の疑問も、解けることでしょう。

MMT現代貨幣理論入門 著:L・ランダル・レイ 解説:中野剛志 松尾匡

 2019年8月30日に発売予定の、L・ランダル・レイの著作です。当然、私は購入もできておりません(笑) 発売前ですから、当たり前ですね(汗)

 L・ランダル・レイは、現代貨幣理論(MMT)の権威といっても良いでしょう。日本で知られる、ステファニー・ケルトンと同じくらいの権威であり、MMTerの中では馴染みのある人物です。
※MMTer=現代貨幣理論支持者

 そのランダル・レイが書く入門書。購入しないわけには行きません。

 道草経済学101は、海外の経済学者の論文を翻訳してくれる、有志のサイトです。ランダル・レイの名前も、よく見かけます。

 1つ疑問なのですが、現代貨幣理論(MMT)批判の人たちで「MMTerの学者の論文や、著作を読んだ」という人を、私は知りません。

 MMT現代貨幣理論入門は、権威であるランダル・レイの著作であり、大いに期待が持てます。日本の現代貨幣理論(MMT)議論にも、一石を投じることになりそうです。

21世紀の貨幣論 著:フェリックス・マーティン

 フェリックス・マーティンが手掛けた、21世紀の貨幣論はまさに「衝撃!」です。貨幣史をくまなく探求し、貨幣とは何なのか? を解き明かしていきます。
 私も読了してますが、読み応えのある一冊です。
 レビューは21世紀の貨幣論-フェリックス・マーティン-レビューと貨幣史概要で、ご覧ください。

 歴史とは、我々に様々なことを教えてくれます。「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」の言葉通り、貨幣を知るならば「歴史から学ばねばならない」のです。

 そして21世紀の貨幣論は、その歴史を我々に教えてくれます。

 現代貨幣理論(MMT)の根本が「貨幣=負債」だというのも、本書を読めば「それは単なる事実だった」と理解できることでしょう。

富国と強兵 著:中野剛志

 中野剛志さんの著作の中で、名著で大古典になる可能性があるといえば「富国と強兵」。

 本書では、数十ページしか現代貨幣理論(MMT)については、触れません。しかし、日本で初めて現代貨幣理論(MMT)を紹介した書籍であり、読む価値は「すごく高い」です。

 私も読了済みですが、レビューは書いておりません。レビューを「書ける気がしなかった」くらい、濃い内容なのです。
 富国と強兵の中では、現代貨幣理論(MMT)は「国定信用貨幣論」として紹介されます。

 富国と強兵は「地政経済学序説」という副題もあります。国際政治学、現代貨幣理論(MMT)、軍事、安全保障などを網羅して、大きなスケールで論じる様は圧巻です。

 この一冊を読むだけで、政治や経済、国際政治などの「見方」が変わるでしょう。内容は難しい部分もありますが、ぜひともおすすめしたい1冊です。

日本人が本当は知らないお金の話 著:三橋貴明

 三橋貴明さんの著作ですが、私はまだ読了していません。レビューなどによれば、三橋貴明さんらしく「貨幣の本質」を語った1冊といえます。

 三橋貴明さんの書籍は、くどい言い回しが全くありません。明快に論じられるので、非常に読みやすい1冊だと思われます。過去の書籍も、すべてそうでした。

 主流派経済学では、お金とはなにか? という本がありません。現代貨幣理論(MMT)の議論が盛んになり、現代貨幣理論(MMT)側からしか出ていないと思われます。

 これは一体、どういうことでしょう? 経済の本質の1つは、お金であるはずです。
 じつは主流派経済学が、お金を無視してきたことは有名です。「物々交換幻想」とまで、揶揄されるほどです。

 本書もそのうち、私も読了するつもりです。ぜひとも、手にとってみては、いかがでしょう?

負債論 貨幣と暴力の5000年 著:デヴィッド・グレーバー

 本書は、負債論についての歴史ということでしょう。まだ、私は読了していません。が……MMTerのいくらかが、本書を薦めています。

 どうも本書の命題は「借金をした人も悪く、高利貸しも悪い」という、モラルの混乱から端を発しているようです。
 大変興味深い命題です。共同体なども、この命題の議論に出てくるようです。

 ただし……レビューではやはり「長い」とのこと(笑) 富国と強兵や、21世紀の貨幣論なみに長いそうです。
 私もジュンク堂で見かけましたが、同じくらいのボリュームでした。

 ややお値段が高いのですが……ぜひともそのうち、読了したいと思っております。

現代貨幣理論(MMT)関係の書籍の紹介を終えて

 いかがでしたでしょうか? どれか、読みたいものは見つかりましたか?

 7つの書籍を紹介したうち、私も後半の3つはまだ読んでいません。仕事も忙しいので……(汗)
 丸一日、日がな書籍を読める環境がほしい!

 富国と強兵、21世紀の貨幣論、負債論は特にボリュームが有り、読了に時間がかかると思います。
 しかし現代貨幣理論(MMT)の理論だけではなく、その奥底にある歴史や社会を見るときに必要ではないか? と思っています。

 私はほぼ毎日、ブログを更新しています。自虐ではないですが、ブロガーのブログはやはり「所詮はブログ」です。専門書には、かないません。
 もちろん、ブロガーとしては「難しいことをわかりやすく」書き、興味を持ってもらう入り口としての価値があると信じています。
※そもそも、1記事に10万文字も書けませんから(笑) 10万文字書くなら、書籍を自分で作ります(将来予定)。

 せっかく最近は、現代貨幣理論(MMT)関係の書籍が出てきました。皆様と一緒に、学んでいけたらと思います。

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5 Comments
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黄昏のタロ
5 年 前

> じつは主流派経済学が、お金を無視してきたことは有名です。「物々交換幻想」とまで、揶揄されるほどです。

レイヤーかなって思うんです。

実際に借金をして商売をするってなると物々交換の世界です。MMTで語られない担保が介在し始めます。
まるで物々交換の様に担保の権限の一部(返せなくなったら競売で現金に出来る権利)と交換で銀行から現金が手元に来ます。完済すれば権限が手元に帰ってきて新たな借金をする事が出来ます。

バブルもリーマンショックもこのレイヤーを含めた経済活動で起こったんですね。

『お金』で切り取ってしまうと、担保が介在するレイヤーは関係なくなるのかも知れない。

おいらにはMMTが良く出来たパラドックスに見えてしまいます。

ねこなかま
5 年 前

負債通貨の問題点とその具体的解決方法をすべての「通貨改革」の具体的事例の歴史分析をしている大著の『負債の網』エレンブラウン著、早川健治訳もはずすことはできないと思います。https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490951502X/hanmotocom-22

山小屋研究所
5 年 前

本田圭佑がオススメの本として「負債論」を上げていましたね。
「清々しい」を「きよきよしい」と読む人だから、どれだけ理解したのか分かりませんが。
あと素人研究家で電子書籍を出す方もおられますが、結構しっかり仕上げていますね。
ブログ主さんもこれだけ質の高いブログを継続していますから、
これまでと違った切り口の読み応えのある著作を出せるのではないでしょうか。