財政赤字に対策は必要?それとも必要ない?答えは記事で……

 財政赤字は怖いもの。そんな先入観や固定概念を持っている人は多いでしょう。しかし本当に財政赤字への対策は必要でしょうか?

 財政赤字の対策が必要かどうか知るためには、実態を明らかにする必要があります。やたらと「財政赤字は危険だ!」と叫ぶノイズをシャットアウトし、1996年からの25年間の歴史を追ってみましょう。

 1996年からの歴史を追えば誰にでも、常識的な判断として答えが出せます。財政赤字の対策は必要? それとも必要ない? 答えは記事の中ですぐ見つかります。

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財政赤字は極めて深刻な状況?

「わが国財政の現状は、先進国の中でも極めて深刻な状況にある」

 こう文章が始まるのは、日本総研で1996年に書かれたレポートです。240兆円もの国債発行残高があり、対GDP比89%とG7諸国の中で最悪の状況だと報告しています。
参照 【OPINION】財政赤字削減を巡る視点|日本総研

 2019年の国債発行残高は約900兆円で、1996年のおよそ4倍にもなります。財務省の資料によれば対GDP比で250%に達しています。

 極めて不思議なことに1996年から25年たった2020年現在、日本の財政は危険だ! 極めて深刻な状況だ! と言われ続けながら、全く破綻の兆しを見せていません

 長期金利は低迷しデフレは深刻化。極めて深刻なのは財政状況ではなく、国民生活や実体経済です。

 1996年当時から国債発行残高が4倍になったので「極めて深刻な財政状況」はもしかして「極めて×4深刻な財政状況」になったのでしょうか?
 とてもそうとは思えません。

 最新の経済学の知見を借りて、この不思議な状況を解き明かしていきましょう。

財政赤字に対策は必要?

 結論から言います。
 日本の財政赤字に対策は必要でしょうか? という問いへの回答は「必要ない」です。
 なぜ必要ないのか、いくつかの視点から解説します。

自国通貨建て国債でデフォルトは起きない

 日本の国債は100%円建てです。円とは我が国の通貨ですから、日本の国債は「自国通貨建て国債」や「内債」と言われるものです。

 政府は通貨発行権を持っています。通貨発行権は国家の主権です。

 さて、デフォルトとは日本語で債務不履行や財政破綻と呼ばれます。財政破綻するには債務不履行しなければならず、債務不履行するには通貨の不足が必要です。
 自分で発行できる通貨の足りない状況がデフォルトには必要です。

 論理的にあり得ませんよね。よって自国通貨建て国債でデフォルトは起きません。
 日本はいくら自国通貨建て国債の財政赤字が累積しても、財政破綻しない構造です。

 これは多くの経済学者が認めるところです。

クラウディングアウトは起こらない

 財政赤字をいくら出しても平気なのか? 1996年からの歴史を見る限り平気です。しかし多くの経済学者は危険だと言ってきました。
 理由はクラウディングアウトです。

 クラウディングアウトとは「100あるお金のうち90を政府が国債発行して借りると、民間は10しか借りられなくなる。民間の資金需要に供給が応えられず、金利が跳ね上がりインフレを招く」という現象のことです。

 この現象は自国通貨建て国債の諸国で確認されていません。コロナ禍で世界中が国債を拡大する中、長期金利はピクリともあがる気配がありません。
 日本でも1996年から4倍近い国債発行残高になる中、長期金利は低下したくらいです。

 クラウディングアウトは起こらないと、あの竹中平蔵氏も認めました。詳しくは以下の記事をどうぞ。

国債の暴落もインフレも起きない

 クラウディングアウトが起きないなら長期金利の上昇も起こらず、国債は暴落しません。ハイパーインフレも起きません。

 したがって「財政への信認」「通貨への信認」も毀損されません。

財政赤字に対策は必要ない

 貨幣を温故知新で解明した最新の経済学であるMMTによれば、財政赤字への対策は必要ありません。財政赤字の出し過ぎで需要が増え、供給が追いつかないインフレの過剰のみ対策すればいいだけです。

 このインフレは「財政赤字の累積によるクラウディングアウト」とはまた別の話です。なぜなら政府が支出を増やすと需要が増えます。供給が追いつかなくなるとインフレになります。
 インフレが行き過ぎると経済が混乱するので、しっかりとコントロールしましょうという話です。

 じつは自国通貨建て国債の財政赤字に、対策は何一つ必要ないのです。

財政赤字は増え続けて当たり前

 資本主義社会で財政赤字は増え続けるものです。なぜなら資本主義は、負債を増やして経済成長する経済形態だからです。

 ではその負債を増やす主体は通貨発行権を持つ政府か、それとも持たない民間のどちらがふさわしいでしょうか? 答えはあまりに自明です。

 通貨発行権を持つ政府です。仮に民間が負債を増やしすぎると金融危機を勃発し、経済に大きなダメージを負います。

 閑話休題。
 実際、1996年に240兆円だった国債発行残高は2019年、900兆円に膨れ上がりました。明治から数えればなんと3000「万」倍以上にもなっているそうです。
 アメリカでも財政赤字の累積は、1900年と比較して3000倍以上だとか。

 このように財政赤字の累積は増え続けて当たり前のものです。

 むしろ日本は財政赤字を抑制しようとして、さまざまな弊害を引き起こしました。失われた20年と言われるデフレや就職氷河期、GDPが成長しないなどです。

 コロナ禍でも抑制的に財政出動しているため、再びデフレへ突入しました。

 財政赤字の対策を考える暇があるなら、いたんだ国民経済や実体経済の立て直しを考えるべきです。

まとめ

 財政赤字は資本主義国家にとって当然であり、増えない方がおかしいものです。財政赤字の対策など必要なく、むしろ日本で対策が必要なのは国民経済や実体経済です。

 本日のまとめは以下です。

  1. 自国通貨建て国債でデフォルトは「起こせない」
  2. クラウディングアウトはフィクションだった
  3. よって国債の暴落や財政赤字の累積によるインフレは起こらない
  4. むしろ、いたんだ国民経済・実体経済への対策が必要
  5. コロナ禍で財政支出が足りず再びデフレ化した

 財政赤字の真実については以下をどうぞ。

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2 Comments
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Muse
3 年 前

いつも通り、記事内容についての異論は全くと言っていいほどないのですが、前々回の記事と大差がない感じが。。。今回の記事に限りませんが、リピーター読者向けというよりは、Twitter等からの新規訪問者を念頭に置いた記事が多い感じがします。まあ、文章の読みやすさとページレイアウトの見やすさはピカイチなので、1分程度でサーッと流し読みできる点は非常に良いです(笑)。