「れいわ新選組 危険」というキーワードがかなり検索されています。Google広告のキーワードプランナーでは月に100~1000回ほど検索されているとのこと。
2019年4月に突如として現れたれいわ新選組。障害者議員を誕生させるなど話題にも事欠きません。だからこそ、警戒して「れいわ新選組 危険」というキーワードでググる人も多いのでしょう。
今回の記事ではれいわ新選組が危険と言われるポイントを紹介し、それに対して反証を試みます。多くの議論が綯い交ぜになりますが、できるだけわかりやすく解説します。
れいわ新選組と山本太郎代表が危険視されるポイント
れいわ新選組は2019年4月1日、参院選のわずか3ヶ月前に結党されました。3ヶ月の間にさまざまな話題になり、最終的には2人の国会議員が生まれました。
れいわ新選組はデビューが鮮烈だっただけに危険視する声もあります。
まず、危険視されるポイントについて紹介します。
ポピュリズム
「ポピュリズムで危険だ」という指摘がもっとも多数です。れいわ新選組は2019年の参議院選挙で、ALSの障害者2名を候補として立てました。比例は山本太郎代表よりこの2名が優先されました。結果、障害者の2名が当選して国会議員となります。
れいわ新選組の戦略は当初、さまざまな話題と議論を生みました。「国会を障害者用に改修する予算」「障害者が国会議員をできるのか」などが議論されました。
障害者を候補とすること、それ自体がポピュリズムという指摘もありました。話題作りと見なされたのです。
他方、れいわ新選組の政策は低所得層や貧困層に焦点を当てたものです。財政出動がれいわ新選組の政策の前提条件となっています。
財政出動で国民をたぶらかす、扇動するのがポピュリズムだという指摘もあります。
くわえて、山本太郎が役者出身であることも、ポピュリズムだと危険視する理由の1つかもしれません。
財政出動・アメ型戦略
れいわ新選組の政策は財政出動が前提条件です。
日本は長年、消極財政(緊縮財政)でした。1998年からデフレに突入し、その後も消極財政を続けてきました。日本が積極財政だったのは小渕・麻生内閣のときだけです。
こういった消極財政の新自由主義的政策を「ムチ型戦略」と呼びます。自由競争を拡大して国民に競争を強いる戦略です。
一方、1980年代までの「世界一成功した社会主義」と言われた日本は「アメ型戦略」でした。福祉と雇用を拡大し、需要が増えて経済成長していきました。
れいわ新選組は後者のアメ型戦略です。
ムチ型戦略を支持してきた人たちにとって、アメ型戦略は危険とされています。財政規律を失い、財政赤字がさらに積み重なるからです。
アメ型戦略や財政出動も、れいわ新選組が危険視されるポイントの1つです。
左翼・左派、社会主義者
1990年代以降、左翼や左派はその力を弱めてきました。1991年のソビエト崩壊以降、急速に存在意義が失われたのです。
山本太郎は左派、左翼と目されています。掲げている政策が財政出動をともなうもので、社会主義的だからというのがその理由の1つです。他にも原発反対、国会議員時代の行動なども理由に挙げられます。
いわゆる保守や新自由主義者にとって、れいわ新選組は危険視して警戒すべき党です。
れいわ新選組はポピュリズムで危険なのか
ここからは危険視されるポイントについて、それぞれ反証していきます。
れいわ新選組がポピュリズムだと危険視するのは正しくありません。なぜなら、ポピュリズムとは危険視されるものではないからです。
ポピュリズムとは
ポピュリズムとはラテン語のpopulus(民衆)に由来しています。populus(民衆)とは市民権を持った人民を指していました。
国民も言わばpopulusです。
ポピュリズムとは国民や民衆の利権や権利を守り、民衆の支持のもとにエリートや体制側を批判する政治思想です。
ポピュリズムはもともと、アメリカの人民党(ポピュリズム党)が起源として知られています。人民党は19世紀、アメリカの農業や農民を擁護した運動です。
トランプがポピュリストと言われたのは、99%対1%のオキュパイ・ウォールストリート運動において99%を擁護したからです。
ここではトランプの評価は脇におきましょう。
ポピュリズムとは日本語訳で人民主義です。決して危険なものではありません。
民主主義とポピュリズムは切り離せない
民主主義は国民主権を旨とする政治体制です。一方、ポピュリズムとは人民主義であり、人民の権利や利権を守ることを旨とします。
どちらも民衆を擁護します。
つまり、民主主義とはそもそもポピュリズムなのです。ポピュリズムでない民主主義などあり得ません。ポピュリズムが警戒されるのは、ポピュリズムが行き過ぎると大衆迎合、衆愚政治に陥るからです。
バランスの問題であり「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
何事も行き過ぎれば毒になります。ポピュリズムそれ自体は毒でも危険でもありません。
危険なのはポピュリズム(人民主義)にかまけ、人気をとるためだけに嘘を蔓延らせる「人気主義」です。
れいわ新選組がポピュリズムであることは否定しません。しかし、ポピュリズムは危険と同義ではありません。
ALS障害の国会議員誕生に見る民主主義
ALS障害の国会議員の誕生も話題になりました。「障害者が国会議員として仕事できるのか」「障害者用に改修する予算は国民の税金」などの批判がありました。
しかし、これらの批判はバカバカしいと一蹴するべきです。
ALSは筋萎縮性側索硬化症と呼ばれる身体障害です。思考や精神は至って健全です。思考ができれば国会議員の仕事は可能です。
くわえて、予算の話など枝葉の話です。
民主主義では国民に主権があり、選挙権と被選挙権を持ちます。障害者が国会議員になれないと言うなら、それは障害者を国民扱いしていないも同然です。
れいわ新選組がALSの国会議員を生んだことは大きな話題となりました。むしろ、今まで障害者議員がいなかったことが問題だったのではないか、という問いを我々に突きつけたのです。
危険なのはムチ型・アメ型どちらの戦略?
れいわ新選組は積極財政・財政出動を前提条件としたアメ型戦略を提示しています。一方、日本は1990年代からムチ型戦略を採用し続けてきました。
ムチ型戦略は要するに「国民を甘やかすとつけあがるので、厳しくする戦略」です。規制緩和や構造改革で自由競争を促進し、消極財政(緊縮財政)で政府の介入を最小限に留めます。
消費増税や社会保障費の削減などで、日本はプライマリーバランス黒字化を目指しました。
アメ型戦略とは「福祉や生活を豊かにして、経済成長を促す戦略」です。1980年代までの日本で採用され、高度成長期を実現しました。
ムチ型戦略が採用されてから日本は、失われた20年に突入します。デフレになり、その中でさまざまな改革が叫ばれました。「国民は痛みに耐えて!」「米百俵の精神で!」と国民は我慢し続けました。
その素晴らしき成果は果たして。中国にGDPを追い抜かれ、1人あたりのGDPで韓国に追いつかれ、安いから日本への観光が増えました。
GDPは1990年代のピークとあまり変わらず、ゼロ成長を成し遂げました。
一方は20年以上ゼロ成長。もう一方は日本の高度成長期を実現。どちらが危険で、どちらが魅力的かなど明白です。ムチ型戦略が危険で、アメ型戦略こそ必要でしょう。
ムチ型戦略が失敗した時点で、アメ型戦略に戻すのは当然の帰結です。
れいわ新選組のアメ型戦略の提案は非常に正しいと言えます。危険なのはむしろ、ムチ型戦略を維持しようとする人たちの方でしょう。
新自由主義・保守からするとれいわ新選組は社会主義者で危険?
れいわ新選組の政策は低所得層、貧困層向けのものが多いです。たとえば、以下のような政策を掲げています。
- 消費税は廃止
- 安い家賃の住まい
- 奨学金徳政令
- 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
れいわ新選組の政策の前提には現代貨幣理論(MMT)があります。MMTでは財政赤字の累積を問題にしません。問題はインフレかデフレかです。
インフレが行き過ぎたら消極財政や増税によってコントロールするという理論です。
れいわ新選組の考え方は、修正資本主義や社会主義に近いです。
新自由主義者や、新自由主義に迎合したいわゆる保守と対立します。故に保守や新自由主義者はれいわ新選組を危険視します。
しかし、議論したように新自由主義的なムチ型戦略こそが危険です。
現在はアメリカも財政出動し、積極財政に舵を切っています。大きな政府が世界の流れとなりつつあります。なぜなら、小さな政府や新自由主義の弊害が無視できないほど大きくなってきたからです。
日本でも同様に大きな政府が必要でしょう。
れいわ新選組の積極財政こそ、これからの日本に必要です。
れいわ新選組と山本太郎を知るための書籍
ここまでれいわ新選組が危険ではないと反証してきました。しかし、それでもまだ信じられない! という人は、山本太郎の著作「#あなたを幸せにしたいんだ 山本太郎とれいわ新選組」を読んでみてはいかがでしょうか。
山本太郎関連の本をこの1ヶ月ほどの間に3冊購入しました。
この「#あなたを幸せにしたいんだ」はれいわ新選組立ち上げのころから TVや街頭演説、街頭インタビューで繰り返し発言していることをまとめてあります。
早速読み始めましたが「はじめに」「山本太郎の所信表明」の数ページを読んでるだけで目頭が熱くなってきます。彼の嘘の無い本気度が伝わってくるからです。現政権の嘘にまみれた一部の権力者や上流階級のための政治と対極にあるものを感じます。
彼の言葉にはラグビーW杯で感じた「嘘のない頑張り」と同種のものがあります。役者時代の山本太郎はほとんど知りませんが、そんな先入観が無いから彼の”今”をフィルター無しで見ることができているのだと思います。
山本太郎を嫌いと思ってる人に一読して欲しい本です。
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れいわ新選組と山本太郎は危険ではない
ポピュリズムから積極財政、アメ型戦略などさまざまな議論を展開しました。じつは、れいわ新選組と山本太郎が掲げている政策は、一部の積極財政派や反緊縮派の間で昔から議論されていたものです。
それらを整理し、優先順位をつけたのがれいわ新選組です。
積極財政派や反緊縮派から見れば、現状のままムチ型戦略、消極財政を持続する方がよほど危険です。日本のGDPが1990年代のピークとあまり変わらず、ゼロ成長であることがその証左です。
少なくとも、れいわ新選組や山本太郎の政策に危険性はありません。
れいわ新選組の最近の支持率については以下の記事でまとめています。ぜひ、どうぞ。