わかりやすい!相対的貧困率の定義や国際比較、解決方法について

 相対的貧困率の定義を調べても、簡単に解説されている記事がありません。わかりやすく解説しようと思って、もともとが難しい概念ですから仕方がありません。

 最初に、ざっと相対的貧困を説明します。「所得の中央値の半分以下の人たち」が相対的貧困層です。これだけ頭に入れて記事を読むと、ずいぶんわかりやすくなると思います。

 今回の記事では相対的貧困率の定義や推移、国際比較、そして解決方法について解説します。

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相対的貧困と絶対的貧困

 相対的貧困の定義は、その国の所得水準と比較して大多数より貧しいことです。世帯の所得が、等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態を相対的貧困と呼びます。
 等価可処分所得とは可処分所得を元にして、世帯員の生活水準を表すよう調整された所得です。

 計算式は、家計の可処分所得を世帯員数の平方根で割ります。たとえば、2人世帯の可処分所得が600万円とすれば「600 / √2 = 424」となり、1人あたり424万円が等価可処分所得となります。
 4人世帯だと「600 / √4 = 300」となり、1人あたり300万円が等価可処分所得です。

 等価可処分所得の中央値の半分に満たない層が相対的貧困です。

 絶対的貧困とはその国の生活レベルに関係なく、生きる上で最低限の生活水準を満たせない貧しさを指します。一般的な貧困のイメージはこちらでしょう。
 衣食住などが足りておらず、最低限必要とされる生活物資を購入できる所得がない人たちが絶対的貧困です。

 世界銀行では1日1.9ドルが絶対的貧困のラインだとしています。

相対的貧困率の定義

内閣府より

 相対的貧困は、等価可処分所得の半分に所得が満たない層のことです。等価可処分所得の半分ラインが貧困線と定義されます。
 厚生労働省によれば2018年の貧困線は127万円となっており、所得127万円以下が相対的貧困と見なされます。
 2018年の相対的貧困率は15.4%、子供の貧困率は13.5%でした。

 なお、2009年の貧困線は135万円でした。2009年と2018年を比較すると、国民全体が貧困化していることがうかがえます。

 相対的貧困率は絶対定期貧困率と異なり、陥ればただちに生活が破綻するわけではありません。相対的貧困率とは格差を示す指標の1つです。
 相対的貧困率の上昇は格差の拡大を示しています

相対的貧困率の推移

 上記のグラフは2020年7月17日に発表された「2019年国民生活基礎調査」から作られました。

 日本の相対的貧困率は1980年代から右肩上がりです。
 相対的貧困率の内容に注目すると、若者と高齢者が特に相対的貧困率が高いことがわかります。相対的貧困率が上昇し続けているのは、日本の高齢化が原因の1つです。
 くわえて、女性の相対的貧困率が全体的に高めです。

 高齢女性の相対的貧困率が特に高いのは、厚生年金などへの加入機会がなかったことも一因でしょう。国民年金だけでは老後を支えきれません。

内閣府より
厚生労働省より

 全体の所得が下がると、相対的貧困率の基準線である貧困線の低下します。

 上記の図のように、日本の平均所得は1990年代後半をピークに下落しています。それに伴い、相対的貧困率を定義する貧困線も下落しました。
 見た目以上に日本は貧困化していると思われます。

相対的貧困率の国際比較

内閣府より

 上記は国際比較した所得再分配前の日本の相対的貧困率です。1984年から一貫して上昇しており、現在ではOECD主要国で上位です。

内閣府より

 再分配後の相対的貧困率も日本は高い傾向にあります。年々上昇しており、福祉国家として後退したスウェーデン並みの上昇率です。
 OECD主要国の中ではアメリカに次いで、2番目に高い相対的貧困率です。

 格差の拡大で所得再分配前の相対的貧困率が上昇し、それに所得再分配が間に合っておらず、再分配後の相対的貧困率も徐々に押し上げられています。

 相対的貧困率を下げるためにも、早急に所得の再分配強化が必要です。

相対的貧困率を減少させる対策

 相対的貧困率が高くなると格差が生じ、行き過ぎると国民同士のディスコミュニケーションが発生します。国民同士の断絶は民主主義国家において致命的です。
 たとえば、我が国において「同じ国民」という意識がなければ、震災などの復旧・復興に多額の予算を費やすことはできないでしょう。同じ国民だからこそ多額の予算を容認できます。

 格差の拡大は国民同士を断絶し、連帯意識を失わせます

 貧困問題とはリベラルな人権問題だけではなく、保守的なナショナリズムの問題でもあるのです。相対的貧困率の拡大はリベラル・保守にかかわらず取り組むべき課題です。

  1. 富の再分配機能の強化
  2. 労働者の保護など規制の強化
  3. デフレの脱却

 相対的貧困率を下げるためには、大きく分けて3つの対策が考えられます。富の再分配の強化、労働者の保護、デフレ脱却です。

 デフレを脱却するだけでは相対的貧困率は下がりません。相対的貧困率とは格差を示す数値です。全体的に豊かになっても、相対的貧困率が減少するとは限りません。
 相対的貧困率を減少させるためには格差の解消が必要です。

 格差の解消には労働者保護が必要です。労働規制を緩和すると企業はコスト削減に励み、労働者を安く使い捨てる傾向にあります。格差解消には法律で労働者を保護する必要があります。

 くわえて、富の再分配の強化が必要です。富の再分配の強化には、たとえば逆累進性の高い消費性の廃止なども含まれます。累進課税の強化やセーフティーネット・社会保障の強化が必要です。

 日本は今まで消極財政、規制緩和、社会保障の削減とまったく反対のことをしてきました。歯車を逆に回し、相対的貧困率を減少させなければなりません。

まとめ

 相対的貧困率とは格差を示す指標の1つです。日本は1980年代から継続して格差が拡大してきました。
 さらに、2000年代からは非正規雇用が増加し、格差拡大が加速しました。

 日本の相対的貧困率は、国際比較した場合でもかなり高い水準です。高齢化に所得の再分配が追いついていないのが原因の1つです。

 相対的貧困率が上昇して格差が拡大すれば、国民同士の連帯を損ねます。国民意識が毀損されて民主主義が機能しなくなるかもしれません。
 相対的貧困は人権問題のみならず、国家の問題としてリベラル・保守ともに解決を目指すべき課題です。

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スーパーウルトラ不苦労
3 年 前

格差がいつまでも解消しないのは株主資本主義があるからです。それと大半の団塊のクズ世代がたくさんいたからです。政界には与党はサイコパス、野党は山本太郎を含むADHD集団です。だからいつまでたっても解消できないのです。サイコパス、ADHDを消滅させてASD集団の政党が与党になる以外にないのです。

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