購買力平価説とは?経済初心者にもわかりやすく解説

 購買力平価は生産性の議論でよく使用される指標です。各国の生産性を比較するのにも利用されます。

 購買力平価と聞いてピンとこない人も多いですよね。経済が得意でない人だと「なんとなく難しそう」と思ってしまう用語です。
 わかりやすく解説している購買力平価の記事は少数で、難しい言葉の並ぶ記事が大半です。

 購買力平価説をできるだけわかりやすく解説します。

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購買力平価説とは

 購買力平価説とは1921年にスウェーデンの経済学者、グスタフ・カッセルが提唱しました。
 たまに新聞などで見るビッグマック指数も購買力平価の一種です。

 購買力平価は英語で「purchasing power parity」と書きます。略してPPPとも呼びます

 購買力平価説とは「アメリカのスマホと日本のスマホは同じ価値のはずだ。スマホの値段が500ドルと5万円なら為替レートは1ドル=100円が妥当だ」という考え方です。
 購買力(100円と1ドルで購入できるものが等しい)が為替レートに反映するはず、との説が購買力平価説です。

 上記が購買力平価説のおおよその考え方です。

 購買力平価には絶対的購買力平価と相対的購買力平価があります。一般的には相対的購買力平価が使用されます。
 一方、有名なビッグマック指数は絶対的購買力平価の一種です。

 経済学では短期的に購買力平価通りの為替レートにならなくても、長期的に購買力平価へ収束していくと考えられています。

絶対的購買力平価

 絶対的購買力平価とは先ほど説明した購買力平価説の考え方と一緒です。500ドルのスマホが5万円の場合、1ドル=100円が妥当だとします。

 絶対的購買力平価で有名なのはビッグマック指数です。ビッグマック指数はハンバーガーのビッグマックで購買力平価を算出します。
 日本でビッグマックが100円、中国では10元だったとすると100円=10元の為替レートが妥当だと考えられます。
 ビッグマックをいくつ買えるかで、それぞれの国の所得を比較することもできます。

 しかし、絶対的購買力平価には問題があります。
 1つめの問題は「スマホのAという機種は5万円でしか売っていない」という前提がないと成り立たないことです。この前提を一物一価と呼びます。
 同じスマホでも購入する店によって価格が異なると、絶対的購買力平価は使用できません。

 2つめの問題は、完全な自由貿易でしか成り立たないことです。仮に日本が鎖国していたら、日本とアメリカのスマホを比べる意味がなくなってしまいますよね。
 鎖国してスマホを日本産の鉄や原材料で作っているとすると、とんでもなく高価になるはずです。比較対象として成り立ちません。

 この2つの問題から絶対的購買力平価はあてになりません。ビッグマック指数も同様です。ビッグマックは世界各地で異なった分量、大きさで売られています。
 つまり、一物一価の条件を満たせません。

 消費税の問題もあります。ビッグマック指数では消費税を計算に入れていません。また、牛肉や小麦の輸入や補助金によっても価格が左右されます。

 このような理由で絶対的購買力平価はあまり使用されなくなりました

 なお、絶対的購買力平価の計算式は「A国でのあるものの価格÷B国での価格(現地通貨)」です。

相対的購買力平価

 相対的購買力平価は絶対的購買力平価とやや異なります。相対的購買力平価は「為替は物価水準の変化率に連動する」という考え方です。

 ある時点での為替レート基準として、そこからインフレやデフレなどの物価水準の変化率で購買力平価を算出します。これを相対的購買力平価と呼びます。
 日本の場合はドル円で1973年が基準点です。

 現在は相対的購買力平価を使用するのが主流です。計算式は「相対的購買力平価=基準となる為替相場×(日本の物価指数/外国の物価指数)」です。

日本と世界の購買力平価GDP

 一般的に為替レートからドル換算したGDPが、国際比較で使用されています。一方、より厳密に国力を比較するため購買力平価が用いられることもあります。
 購買力平価で算出したGDPを購買力平価GDPと呼びます。

 日本は名目GDP(ドル換算)で現在、世界3位です。しかし、購買力平価GDPではインドに抜かれて4位です。

上位20カ国の購買力平価GDPの推移(10億ドル)

 購買力平価GDPでは驚くことに、中国がアメリカを抜いて世界1位です。

1人当たり購買力平価GDP上位30位の推移(ドル)

 1人当たりの購買力平価GDPでは1995年に15位でしたが、現在では30位にまで転落しています。デフレの物価下落は購買力平価の増加要因です。しかし、それ以上の速度で日本人の所得が下落したため、1人当たりの購買力平価GDPは低迷しています。

 要するに、日本はデフレで経済成長しなかったので1人当たりの購買力平価GDPも低迷しました。

購買力平価とドル円やユーロ円の動き

公益財団法人 国際通貨研究所より

 どちらも紺色が実勢相場です。赤色が消費者物価PPP(購買力平価)、緑色が企業物価PPP、水色が輸出物価PPPです。
 ドル円はほぼ実勢相場とPPPがリンクしていますが、ユーロ円ではかなり乖離しています。

 相対的購買力平価はあくまで理論値であり、必ずしも実勢相場とリンクするとは限りません。経済学では「長期的にある程度リンクするはずだ」とされていますが、その長期がどれくらいの期間かは明言されていません。

 購買力平価は絶対値で考えるのではなく、「ある程度トレンドがわかる」程度の認識がいいでしょう。

まとめ

 購買力平価GDPの国際比較からも日本のデフレの影響がわかります。デフレは物価下落以上に所得が下落します。日本経済はデフレによって凋落しました。
 日本の生産性が上がらないのもデフレによるところが多大です。

 生産性向上や豊かな国を維持し続けるなら、購買力平価GDPなどの観点からもデフレ脱却が必要です。購買力平価の各種データからこのようなことも読み取れます。

 購買力平価をできるだけかみ砕いて解説しました。報道やニュースを読み解くのに役立ててくださいね。

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