景気循環とは?日本の景気循環や景気循環株についても解説

 経済ニュースで景気循環という言葉を聞きます。なんとなく字面通り「景気の循環のことだろうな」と思っている人も多いでしょう。
 間違っていませんが、もう少し詳細に知っておくと経済ニュースへの理解が深まります。

 景気循環とはどのようなものなのか? 日本の景気循環の平均期間は? 景気循環ってあてにできるの? こんな疑問にお答えしていきます。

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景気循環とは

 景気循環とは好景気と不景気の循環のことです。景気の波とも呼ばれ、不景気と好景気を交互に繰り返す様を景気循環と呼びます。

 一般的には好景気のときはものが売れるので、企業の業績や労働者の賃金も上昇します。企業はものが売れるので生産量を上げた結果、ものが増えすぎて値段が下がり在庫を抱えます。
 過剰在庫を抱えた企業は生産量を減らし、従業員の賃金も下げます。
 こうして好景気は終わりを迎え、不景気になります。

 過剰在庫がなくなり需要より供給が下がったところで不景気は終わりを迎え、また好景気へと向かっていくと言われています。

 これが一般的な景気循環に対する理解です。

 実際には政府の財政・金融政策や海外の景気に大きく左右されます。
 また、好景気は循環的に終わりますが不景気は循環的に終わらない可能性もあります。日本の場合、失われた20年と言われるデフレです。デフレは民間が自力で脱出することが困難です。
 つまり、景気循環が上手く働いていない可能性もあります。

景気循環の4つの波

 景気循環が一定の周期で繰り返すとする説を景気循環論と言います。古典的な景気循環の波として「キチン循環」「ジュグラー循環」「クズネッツ循環」「コンドラチェフ循環」の4つがあります。

キチン循環

 キチン循環は約40ヶ月の短い周期の循環で、短期波動とも呼ばれます。アメリカの経済学者、ジョセフ・A・キチンが1923年の論文でキチン循環を主張しました。
 キチン循環と名付けたのは、創造的破壊を定義したことでも知られる経済学者のヨーゼフ・シュンペーターです。

 キチン循環は主に企業の在庫変動が要因とみられます。

 キチン循環は長らく景気循環の基礎でしたが、21世紀に入ってから不透明です。グローバル化やIT化による在庫調整の短期化が理由に挙げられます。

ジュグラー循環

 ジュグラー循環は10年周期の循環で、中期波動とも呼ばれます。フランスの経済学者、クレマン・ジュグラーが1860年に主張しました。
 ジュグラー循環は企業の設備投資に起因すると考えられています。

クズネッツ循環

 クズネッツ循環は約20年周期の循環で、アメリカの経済学者であるサイモン・クズネッツが1930年に主張しました。「クズネッツの波」とも呼ばれます。

 クズネッツ循環は住宅や商工業施設の建て替え期間とリンクするので、建設需要が要因だと考えられています。

コンドラチェフ循環

 コンドラチェフ循環は約50年周期の循環で、長期波動とも呼ばれます。ロシアの経済学者、ニコライ・ドミートリエヴィチ・コンドラチェフによって主張されました。

 コンドラチェフ循環の要因は技術革新だとされています。他にも、コンドラチェフ循環の要因として戦争を挙げる学者もいます。

 第1の波が紡績機、蒸気機関。第2の波が鉄鋼、鉄道建設。第3の波が電気、科学、自動車の発達。第4の波が原子力や航空宇宙。第5の波がデジタル技術、バイオテクノロジー。
 このように考えられています。

日本の景気循環の平均期間

 2004年の内閣府の資料から参照します。

 日本の景気循環の平均的な長さは約50ヶ月で拡張期が33ヶ月、後退期が17ヶ月です。先進国21カ国の平均は拡張期が60ヶ月、後退期が12ヶ月です。
 先進国の景気循環と比較すると日本は1つの循環が短く、なおかつ後退期が長いという特徴があります。

 他の先進国の後退期が景気循環に占める割合は17%ほどですが、日本の場合は34%を占めることが特徴です。

 1つの循環が短く後退期が長いのは、災害に起因するのかもしれません。台風や地震、土砂災害など日本は災害大国です。そのため、他の先進国より建設需要の周期が短いことが考えられます。
参照 1節 景気循環の特徴とその変化 – 内閣府

 なお、近年は景気の山と谷がはっきりしません。製造業に比べてサービス業は在庫が少なく、景気循環が緩やかになりがちだからです。
 日本は産業構造が製造業からサービス業に転換したことで、景気循環もわかりづらくなったのでしょう。

景気循環株とは

 景気循環は企業の過剰在庫の他、建築や設備投資などが大きな要因だとされています。建築や設備投資にかかわる企業は、景気循環によって大きく業績が変動します。
 こういった企業の株式銘柄を景気循環株や景気敏感株と呼びます。

 鉄鋼や化学、紙パルプなどの素材産業や、工作機械などの設備投資関連の銘柄が景気循環株に該当します。

 製造業は在庫調整があるので、特に景気循環に左右されます。

景気循環論は目安程度

 経済は複雑系です。景気循環にしても原因を特定することはできず、一定の周期があるようだと観測されただけに過ぎません。
 景気循環論は目安として考えておく方がいいでしょう

 例えば、株式投資で「キチン循環でもうすぐ好景気なはず」と投資するのはおすすめできません。特に2008年のリーマンショック以降、世界は不確実性が高まっています。

 景気循環にはさまざまな理論やモデルがあります。リアルビジネスサイクル理論や金融不安定性仮説、過剰投資説etc……。
 このようにさまざまな説があるのは、原因が特定できていないからです。
 統計的に景気が循環していることはわかっていますが、どのような要因で循環しているのか完全には解明されていません。

 また、経済は経済だけで動いているわけではありません。例えば、米中の衝突は経済に大きな影響を与えています。各国がどのような財政・金融政策を採るかにも左右されます。
 現在はただでさえリーマンショック後の長期停滞、不確実性の増大など不透明な時代です。景気循環通りに行かない可能性も存在します。

 景気循環はあくまで目安にしておきましょう

まとめ

 景気循環は経済の先行きを占う1つの材料として、目安程度に考えるのがもっともおすすめです。株式投資で言えば景気循環はテクニカル分析に近く「過去にこういった傾向があったから、こうなるだろう」ということに過ぎません。

 今回の記事で書いたことも踏まえて景気循環を押さえておくと、経済ニュースへの理解もより深まると思います。

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この記事を書いた人

「難しいこともわかりやすく」政治・経済コラムをメインに発信。
2019年まで16年間自営業→Webライターに転身。
日本で数少ない現代貨幣理論の論者(MMTer)。
左右や保守・革新にこだわらず「庶民(自分含む)のためになる政治経済情報」をブログで掲載。

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