新聞の経済面にGDPという単語をよく見かけます。難しい用語でも見慣れると「ああ、GDPね」と流しがち。
けれど、しっかりした意味を知らない人も多いはず。
GDPとは何か。3分で簡単にわかりやすく解説します。さらっと読めばOKですよ。
GDPとは何か
GDPとは一定期間内に国内で生産された付加価値の総合計です。GDPは経済力の目安として用いられる指標で、日本の場合は現在、約550兆円(約5兆ドル)のGDPがあります。
GDPで国力の大きさはわかりますが、国民の豊かさはわかりません。そこで「国民1人当たりのGDP」という指標が使われます。
国民1人当たりのGDPは、GDPを人口で割って算出します。
日本のGDPは世界第3位ですが、1人当たりのGDPではOECD諸国の中で18位~20位あたりを低迷しています。
付加価値とは
GDPを算出に必要な付加価値とは粗利のことです。
付加価値の計算式は「付加価値(500円)=売価(1500円)-原価(1000円)」。上記の式では500円の付加価値が生まれたことになります。
付加価値は需要があるほど上がります。コロナ禍で一時期、マスクの値段が急騰しました。供給に対して需要が大きかったからです。
この例は、マスクの付加価値が上がったことを示します。
需要が大きいと付加価値は上がるのです。
GDPの計算式
GDPの計算式について、少しだけ触れておきます。
名目GDP=個人消費+純輸出+民間投資+政府の支出
名目GDPは上記のように算出します。実質GDPは名目GDPから物価変動を差し引きます。物価変動はGDPデフレーターによって計算されます。
GDPの計算式は、輸出入をのぞけば個人・企業・政府が経済主体だと教えてくれます。こうして整理しておくと経済を考える上で役立ちます。
三面等価の原則
GDPには「三面等価の原則」があります。GDPを生産・分配・支出のどの面から見ても値が同じになるので「三面等価の原則」と呼ばれます。
三面等価の原則と聞くとややこしそうですが、内容は簡単です。
GDPは国内で生産した付加価値の総合計です。
誰かが作ったものを誰かが購入します。購入しないと付加価値は発生しないからです。この時点で「生産=支出」です。
誰かの消費は誰かの所得です。これは「支出=分配」を示します。
つまり、生産=支出=分配になります。
三面等価の原則よりも、「誰かの消費=誰かの所得」が重要です。消費してもお金が消えるわけではない、という点を覚えておきましょう。
名目GDPと実質GDP
GDPには名目GDPと実質GDPがあります。名目GDPは国内で生産された付加価値の総合計です。実質GDPは名目GDPから物価の変動を差し引いた指標です。
インフレが行き過ぎることもあるため、実質GDPの方が経済の実情を知るには重視されます。しかし、デフレの場合は実質GDPより名目GDPが重視されます。
日本の場合はデフレないしデフレぎりぎりです。現時点では名目GDPの方が重要と言えるでしょう。
GDPとGNPの違い
GDPとGNPの違いとは「国内」総生産か「国民」総生産の違いです。
GDPでは海外の日本企業は含みません。国内ではないからです。しかし、GNPの場合は含みます。
GDPは「”国内”総生産」です。一方、GNPは「”国民”総生産」という違いがあります。
現在、GNPの概念はありません。同様の概念としてGNI(国民総所得)が新たに導入されています。
GDPを増やすには
日本は失われた20年と呼ばれ、GDPが停滞し続けました。20年以上にわたって改革や規制緩和などをし続けましたが、デフレから脱却できていません。
GDPが停滞し、デフレから脱却できないのは経済政策が間違っていたからです。
GDPを増やすには付加価値を増やさなければなりません。付加価値は需要で決定されます。需要が小さいと付加価値も低くなります。需要が大きいから高い付加価値がつきます。
インフレとは需要>供給の状態で付加価値が高くなる状態です。逆に、デフレとは需要<供給の状態で付加価値が低くなる状態です。
インフレでは自動的にGDPが増えていき、デフレでは停滞します。
したがって、付加価値を増やすために需要を増やす必要があります。
デフレは民間の需要を縮小させます。所得が下落し、売り上げが下がります。個人は節約し、企業は投資を控えます。
経済主体は個人・企業・政府の3つしかありません。
そのうち、個人と企業は需要を増やせないので政府が増やすしかありません。
政府が支出と需要を増やすことしか、デフレから脱却する方法はありません。そして、失われた20年で政府は支出をむしろ削ってきました。GDPが停滞するのは当然の帰結です。
GDPは付加価値の総合計であり、付加価値は需要によって決定されます。デフレで需要を増やすのは政府にしか不可能です。したがって、GDPを増やすには政府支出を増やす必要があるというわけ。
まとめ
GDPはとても重要な経済指標の1つです。GDPをしっかりと知れば、経済記事への理解がより深くなるでしょう。
日本のGDPはなぜこんなに長期間、増えないのか。その原因を知る上でもGDPへの理解は欠かせません。今回の記事で触れなかったことについても、あなた自身で調べてみてくださいね。