ズバリわかる!食料自給率とは?日本の食料自給率を上げるには

 食料自給率はしばしば問題視されますが、一向に「食料自給率が向上した!」というニュースは聞かれません。問題視されては脇におかれ、忘れた頃にまた問題視されます。

 そんな食料自給率ですが、どうしたら上がるのでしょう。食料自給率の定義や日本の現状を解説し、最後にどうすれば上がるのかを議論します。
 議論には国土交通省や農林水産省の見解も交えます。

 日本の食料自給率は低いのですが、一体どれくらい低いのか? 他の国と比較するとびっくりしますよ。

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食料自給率とは

 食料自給率とは、どれくらいの食料が国内でまかなえているか示す指標です。

 食料自給率を大きく分けると「品目別自給率」と「総合食料自給率」の2種類があります。品目別自給率は単純に重量で計算できます。総合食料自給率はカロリーベースと生産額ベースで計算されます。

 食料自給率は英語で「Food self-sufficiency rate」と書きます。海外では先進国で食料自給率が100%以上の国が多くあります。食料自給率は食料安全保障の一環として、海外では見なされています
 要するに「腹が減っては戦はできぬ」です。

 食料自給率は国民の生活や暮らしに直結する大切な指標です。

食料自給率の種類

 食料自給率には品目別自給率と総合食料自給率があります。それ以外に「食料国産率」「飼料自給率」という指標も。
 それぞれ簡単にどのようなものか解説します。

品目別自給率

 品目別自給率は以下の式で計算されます。

品目別自給率=国内生産量/国内消費仕向量

 各品目の自給率を重量ベースで算出するときに使用します。例えば主要穀物である米や大豆、小麦などが品目別自給率で計算されます。

総合食料自給率

 総合食料自給率は食料全体の自給率を示す指標です。上述したようにカロリーベースと生産額ベースがあります。
 なお、輸入飼料を使って生産した畜産物は国産に参入されません。

 食料自給率と言ったとき、一般的には総合食料自給率を指します

カロリーベース

 カロリーベースの自給率は、国民に供給されるカロリーに対する国産の割合を示す指標です。2019年度のカロリーベースの自給率は38%となっています。
 国民平均で必要な2426kcalに対して、918kcalが国産でした。

生産額ベース

 生産額ベースは、国民に供給される食糧生産額に対しての国内生産割合を示す指標です。2019年の生産額ベースの自給率は66%で、案外高めだと感じる人も多いかもしれません。

食料国産率

 食料国産率は畜産物の飼料が国産か輸入かにかかわらず、国内生産状況を評価する指標です。要するに、総合食料自給率は輸入飼料で生産された畜産物は国産に含めませんでした。これを国産に含めたのが食料国産率です。

 実際に国内で生産されているので自給率に含めるという考え方です。
 2019年の食料国産率はカロリーベースで47%、生産額ベースで69%でした。

飼料自給率

 飼料自給率は畜産物に与えられる飼料のうち、どれくらいが国内でまかなわれているか示す指標です。
 2019年の飼料自給率は25%でした。

日本の食料自給率

 日本の食料自給率の最新情報も見ておきましょう。2020年の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで66%でした。2019年とほぼ横ばいであり、下げ止まりしていると言えます。

日本の食料自給率 – 世界との比較や問題点・対策を解説|ジブン農業より

 グラフからわかるとおり、日本の食料自給率は低下の一途をたどっています。2025年にカロリーベースで45%の達成目標を政府は掲げていますが、どう考えても達成は不可能です。

世界の食料自給率ランキング

 上記グラフは世界の食料自給率:農林水産省より作成しました。カロリーベースで日本の食料自給率が低い水準であるとわかります。

 グラフからは国土の大きな国は食料自給率が高く、国土の小さな国は自給率が低めの傾向だと読み取れます。
 ドイツと日本は国土面積がほぼ同じですが、日本は平野部が少ないためにドイツより食料自給率が低いと推察されます。

食料自給率を上げるには

 食料自給率は食料安全保障に直結します。何かしらの世界的なトラブル――例えば今回のコロナ禍のような――があった場合、自国で食料を生産できることは国民を飢えさせないためにも重要です。

 食料自給率を上げるにはどのようにしたらいいのでしょうか? まず国土交通省や農林水産省の見解を参照し、その後で国土条件も含めて議論します。

国土交通省の対策

 以下は国土交通省北海道開発局のサイトから引用しました。「食料自給率を上げるためにはどうしたらいいか?」という質問への回答です。

①「いまが旬」の食べものを食べる

②地元でとれた新鮮な食べものを食べて、国産の食べものを応援する

③ごはんを中心に、野菜たっぷりのバランスのよい食事をする

④残さず食べて、食べ残しを減らす

⑤国産の食べものにもっと興味を持つ

Q6:食料自給率を上げるためにはどうしたらいいのですか?|国土交通省北海道開発局より

 農林水産省の見解も参照してみましょう。
参照 食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ)を上げるにはどうすればよいのでしょうか。:農林水産省

 参照先は「消費者の部屋>こどもそうだん」からです。
 内容を要約します。

 我が国は2025年までに食料自給率45%目標を掲げた。よって国民みんなが頑張って目標を達成しましょう。そのために消費者はできるだけ国産品をたべよう。
 また食べ残しなども減らそう。

 子供相談からなので仕方のない面もあります。しかし、言っていることは国土交通省とほぼ共通しています。「消費者が国産品を選んで食べるようにしてください」です。

 有り体に言います。笑止で議論にすらなりません。

 なぜ農林水産省も国土交通省も消費者に頼るばかりなのでしょうか? 結論を言えば、農業の保護をしたくても世論が許さないからです。
 農業への補助金や保護に対して世論は大きく反発します。「補助金漬け!」「そんなことだから強くならない!」と。

 補助金も出せず保護もできないなら、消費者に「国産を買ってください」とお願いするしか方法がありません。

日本の国土条件と農業

 山が多く平地が少ないのが日本の国土条件です。もともと日本は農業に不利です。同じ国土面積のドイツに比べて食料自給率が低いのも、国土条件に起因します。

 加えて、日本は農業関税が他の先進国と比べても低めです。少なくとも高いことはありません。農業に不利な土地で関税という規制を取っ払えば、国内農業は海外の安い輸入農産物に押されます。
 安い輸入農産物と競争させられる国内農業は儲かりません。
 儲からないので担い手も減少する一方です。

 こういった構造が日本の農業には存在します。関税は外務省の分野ですし、農業の保護をしたくても世論が許しません。こうして農林水産省や国土交通省は、消費者にお願いすることしかできなくなりました。

国内の農林水産業の保護

 まず必要なのは国内の農林水産業の保護です。保護にはいろいろな方法がありますが、関税をかけて輸入農産物を規制するのが一般的です。
 関税がかかった分だけ輸入農産物は高くなるので、国内農業は太刀打ちできるようになります。

 しかし、日本はその真逆をしています。関税撤廃を前提とするTPPをはじめとした自由貿易協定を次々と結んでいます。
 これで食料自給率が上がったら奇跡です。

農業は畜産への補助金の増加

 すでに結んでしまった自由貿易協定から脱退できないなら、農業への補助金などを通じて農林水産業を保護するしかありません。
 これはアメリカなどの先進国でも採られている一般的な方法です。

 「農業は補助金漬け」という批判がありますが、他の先進国と比べると日本の農業は「保護されていない」のが実情です。

 ただでさえ国土条件が農業に不利なのです。他の先進国より手厚く農業を保護しなければ、日本の食料自給率は永遠に上がることはありません。

まとめ

 食料自給率は誰もが大切に思っているはずです。しかし、農業の話になるとヒステリックに「補助金漬け!」「競争で強い農業を目指せ!」などと世論が沸騰します。
 これらの世論は要約すると「農業をいじめたら強くなるはずやん!」と言っています。バカバカしくて涙が出てきますよね。

 本当に食料自給率を上げて食料安全保障を向上させるなら、農林水産業への保護は必須です。少なくとも儲かる産業にならないと、農業の担い手はずっと少ないままです。
 食料自給率を通じて日本の農業の未来を、あなたも考えてくださいね。

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12434
3 月 前

>食料自給率は誰もが大切に思っているはずです。しかし、農業の話になるとヒステリックに「補助金漬け!」「競争で強い農業を目指せ!」などと世論が沸騰します。
 これらの世論は要約すると「農業をいじめたら強くなるはずやん!」と言っています。バカバカしくて涙が出てきますよね。

今まで黙っていましたけど、私は稲作農業を経営しています。当事者の言い分としては、バカバカしくて涙が出るどころか腸が煮えくり返る思いをさんざんしてきました。ただ怒ってばかりではいけないので、少しでも建設的な意見を述べるように努力したいと思います。

まず私の住んでいる農村の実情としては、人口が減って衰退しているところです。まあこれは全国各地の農村で起きている現象でしょう。もっと細かいことをいうと、「通い農家」が昔より増える傾向があります。通い農家とは、農村に住まないで非農村地帯の隣町などに住みながら、農場に通って農業をする人たちです。私の農村は小学校が廃校して久しいです。子供を持つ親ならばやり難いですよ。私が結婚できたら、やっぱり通い農家になる可能性が高いです。
しかしそれは、農家の農村離れともいえる現象です。私は通い農家を批判するつもりは全くありません。コンビニもスーパーも遠いところに住むのは大変ですから、その気持ちは身をもって知ってます。とはいえ、これは大問題です。なにせ通い農家ばかりになると、最終的にはその農村が完全にただの農場になってしまい、人が極めて住みづらい場所になります。ただでさえ農業は儲からない上に、農村としての魅力も消えてしまう。これで食料自給率を上げるために、必要な担い手を十分に確保するなんて無理でしょう。

ついでいうと、農協を一方的に悪者扱いする世間の風潮もまずいですね。それと、最近だと農業関係者だけじゃなく漁業関係者に対する嫌がらせもあるようです。漁業法も改悪してしまいましたね。漁師にも知り合いがいますが、本当にうんざりさせられる政策です。

日本列島に暮らす人民と漁業法
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12423530193.html
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」

【クローズアップ・基本計画見直し議論】基本計画に「国民議論」明記を 意欲支える自給率目標 元JA全青協会長 黒田 栄継氏
https://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2019/191119-39689.php
JAcom 農業協同組合新聞

リンク先の黒田栄継氏とは直接会って話したこともありますが、こういう地道な活動を続けて行くしかないですね。

12434
Reply to  高橋 聡
3 月 前

>景気対策だと世論調査で「景気対策してほしい!」と言いつつ財政健全化を支持みたいな。

なんだかなぁ……と感じます。

気休め程度の話ですが、そういう財政健全化を求める人たちも、若干弱音を吐くようになってきていますね。

菅首相の「自助・共助・公助」は正論 奮闘する経営者たち
https://ameblo.jp/watanabemiki/entry-12638910776.html
渡邉美樹オフィシャルブログ 夢に日付を!(ワタミ 代表取締役会長 兼 グループCEO)

有機「きく芋」で免疫力向上を期待 ワタミ飛躍へ準備の年
https://ameblo.jp/watanabemiki/entry-12648716464.html
渡邉美樹オフィシャルブログ 夢に日付を!(ワタミ 代表取締役会長 兼 グループCEO)

緊急事態宣言で「外食産業崩壊」 ワタミ「ワンコイン・テレワーク弁当」開始
https://ameblo.jp/watanabemiki/entry-12650239884.html
渡邉美樹オフィシャルブログ 夢に日付を!(ワタミ 代表取締役会長 兼 グループCEO)

渡邉さんの最新ブログ記事ですが、「財政の問題があるのだから、国が完全な補償をするのは無理だ」とは言わなかった上で、「粗利益などをベースにした算出とかで補償すべきだ」みたいなことを言ってたので驚きました。その前の記事では、「中小の飲食店は対しては粗利補償をした方がいいが、そのための莫大な財源はない」とかいってたのに。
そしてさらにいうなら一番上の記事があるように、去年の11月は自助をあんなに重んじて、「日本は社会主義国家じゃない!」と主張していましたよ。この啖呵を切る言葉はどこにいったのでしょうか?

ものすごく嫌味な物言いですが、渡邉さんは「私は当分の間は、財政健全化については棚上げします。やむを得ません」というべきだと思います。最新の記事で国の財政問題について触れることができなくなったのだから、それくらい柔軟な姿勢をとってもいいでしょうよこの人は。