最初からかっ飛ばして結論です。日本の保守っぽいブログのほとんどは、単なるネトウヨブログです。日本の保守風味の言論人は保守ではありません。
ネトウヨブログをお求めなら、この記事を読む必要はありません。
今回の記事では「どうして保守ブログが保守ではないか」を解説し、その後にまっとうな保守言論人を紹介します。
保守ブログ一覧の惨状
記事を書くきっかけは「保守ブログ 一覧」で検索したからです。その結果は眩暈のするものでした。
これが保守ブログ一覧だって?!
「保守ブログ 一覧」と検索して1位に出てきたブログ記事では、「ネトウヨ系まとめサイト」「ネトウヨ系政治ブログランキング上位ブログ」「ネトウヨ系言論人や政治家のブログ」がずらっと一覧になっていました。
参照 https://hosyujapan.com/
政治家ブログでは「小坪しんや」「青山繁晴」「杉田水脈」「和田政宗」など香ばしい名前が勢揃いです。
軽い頭痛と眩暈を覚えました。
こ、これが保守だって?! と叫びたい気分。
ネトウヨ=保守と認識する病理
日本ではネトウヨ=保守という認識があるようです。もしくは自民党=保守や、安倍晋三=保守などでしょうか。
他にも軍事を語る=保守だとか、靖国に参拝する=保守。
これらの認識はすべて間違いです。
その保守ブログ、保守にあらず
どうしてネトウヨ系ブログや言論人は保守ではないのか。この理由を解説するには「保守とは何か」の説明が必要です。
そもそも保守とは?
保守は、保守思想の父と呼ばれるエドマンド・バークを祖とする思想です。保守思想は近代に入って初めて認識されました。
近代とは産業革命やフランス革命など、ありとあらゆる革新や革命が起きた時代です。この革命や革新に警戒するのが保守です。
革命や革新は理性によって正しい答えを導き出します。対して保守は理性を万能ではないと考えます。フランス革命が惨憺たるものだったのは理性の限界を示しています。
要するに――近代という理性が万能と見なされがちな時代に、それを警戒するための思想が保守思想です。
では、理性に代わるものは何か? 保守思想では理性に代わる基準を伝統や常識に求めます。常識を大切にするのが保守思想と言えます。
安倍元総理をまともな保守は支持するか?
安倍元総理が進めた政策はどれもドラスティックな改革です。TPP、移民拡大、農協改革、水道事業民営化などはその代表例。
保守思想とは改革や革新に警戒する態度です。安倍元総理の善し悪しは脇においても、まっとうな保守は安倍政権の政策とは決して相容れません。なぜなら、安倍政権はドラスティックな改革を進めたからです。
安倍元総理は保守政治家と認識されていますが、本来の意味の保守ではありません。安倍政権を支持した人たちも保守とは言いがたいでしょう。
もちろん維新の会のような”革新”政党を支持する保守はいません。
日本の保守は全滅の危機
日本では保守への認識がいろいろ間違っています。安倍政権や維新の会のような革新政治家や政党を保守だと担ぎ上げる認識は、ねじれ、ゆがんでいます。
安倍政権を支持していたネトウヨや言論人が、保守ではないのは明白です。では、日本に保守はいるのでしょうか? まっとうな意味での保守はとても少数です。
私の知る限り、まともな保守ブログは以下の3つくらい。他にありましたらコメント欄で推薦してくださいね。
保守ブログの条件
保守ブログと呼ぶのに最低でも備えておいてほしい条件は3つ。「まっとうなナショナリズム」「保守思想の本を読んだことがあること」「常識的な保守の態度」です。
まっとうなナショナリズム
ネトウヨやいわゆる保守系言論人は愛国心が大好きです。しかし愛国心より大事なのがナショナリズム。ナショナリズムとは国民意識、共同体意識のことです。
国家とは自生的な秩序の1つです。国家には伝統や常識が備わっています。よって、保守は国家を大事にします。国家が壊されることに警戒します。
安倍政権はグローバリズムを指向していました。TPPや移民拡大はその代表的な政策です。したがって、保守は安倍政権を警戒します。国家がグローバリズムで壊されるからです。
これがまっとうなナショナリズムです。
決して「安倍ちゃんは愛国保守だから支持!」などという軽薄なものではありません。
バークや福田恆存、三島由紀夫などを知っていること
保守ブログを名乗るならせめてエドマンド・バークや福田恆存、三島由紀夫などのどれかを知っておいてほしいと思います。
伝統を大事にする保守が古典を読んでいないなど、笑い話でしかありません。
常識的な保守の態度
保守は改革や革新、そして理性万能を警戒します。理屈倒れ、計画倒れを警戒すると表現してもいいでしょう。
保守なら常識的に安倍政権を警戒しましたし、TPPに警鐘を鳴らしました。そういった常識的な保守の態度も、保守ブログの条件の1つでしょう。
まっとうな保守言論人一覧
私の知っているまっとうな保守言論人を紹介します。なお、本人たちは別に保守を名乗っていません。保守言論人は保守を名乗らないのかもしれません。
なぜなら保守=常識で判断すること。常識人は「私は常識人です」と名乗りません。それと一緒なのかもしれませんね。
中野剛志
1971年生まれ。経産省の官僚にして評論家。筆者がもっとも尊敬する言論人です。名前が知られたのは2012年の反TPP運動からです。経済ナショナリズムが専門分野とのこと。
以下の著作がおすすめですよ。
(故)西部邁
1939年生まれ。元東大の教授にして保守派評論家。西部塾での教え子で活躍する言論人多数。テレビ番組「西部邁ゼミナール」で保守を学んだ視聴者も多いはず。現在でもYouTubeにアップされているのでチェックするべし。
藤井聡
1968年生まれ。京都大学教授を務めており社会工学が専門。さまざまな著著を出版しており、過去には内閣官房参与も務めました。YouTubeでは土木チャンネル 築土構木の思想も配信。表現者クライテリオンの編集長もしています。
FacebookやTwitterでも情報発信しています。
Twitter 藤井聡さん (@SF_SatoshiFujii) / Twitter
三橋貴明
1969年生まれ。元々は中小企業診断士でしたが、現在は経済評論家として活躍中。毎日、精力的にブログを更新し続けていることでも有名です。著書も多数出版しています。
ブログ 三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ
佐藤健志
1966年生まれ。映画評論家で作家です。ユニークな評論をすることで有名。著書の「平和主義は貧困への道」は傑作です。過去にブログもやっていましたが、現在は更新していません。
ブログ 佐藤健志 official site ”Dancing Writer” | 作家 佐藤健志オフィシャルサイト
適菜収
1975年生まれ。日本の作家で哲学者。大学ではニーチェを主に研究しており、現在は日刊ゲンダイで「それでもバカとは戦え」を連載中。ブログやTwitterデモ精力的に活動中。
ブログ 適菜収オフィシャルブログ
Twitter (2) 適菜収bot(新刊『日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』。メルマガもよろしく)さん (@tekina_osamu) / Twitter
柴山桂太
1974年生まれ。古典文献学者で京大准教授。中野剛志との共著が多い印象ですが、著書もいくつか出版しています。特にブログやTwitterでは活動していない模様。
まとめ
日本ではネトウヨ系まとめサイトやブログばかりが「保守」として紹介されます。まことに腹立たしい限りです。加えて、ネトウヨ系言論人が幅をきかせており、まっとうな保守言論人が見つけにくいことこの上ありません。
しかし、日本でも探せば良質な保守言論人は存在します。上述した例は筆者の知る限りではありますが、他にもいたらコメントで教えてくださいね。
その際にブログなどもあるなら、URLを掲載してもらえると助かります。
施光恒も好きやで
施光恒さんもいいですね~。「英語化は愚民化」、読みました。
サーティンキューが1番いいブログです。
URLどうぞ~。
>「保守ブログ 一覧」と検索して1位に出てきたブログ記事では、「ネトウヨ系まとめサイト」「ネトウヨ系政治ブログランキング上位ブログ」「ネトウヨ系言論人や政治家のブログ」がずらっと一覧になっていました。
上記ブログの一覧にある政治家や言論人等の顔ぶれを見たところ、ほぼ予想通りという感じ。
今回のエントリーにある通り、彼らは一人残らず”本来の保守”とは無縁であり、彼らに共通のレッテル張りをするとしたら、「自称保守、似非保守、ビジネス保守」ということになるでしょう。
では、もう少し具体的に彼らの主張ないしスタンスの特徴を挙げるとすれば、こんな感じでしょうか?
・反左翼ないし反リベラル
・嫌中嫌韓
・自民党&維新の擁護
・親米ないし対米従属
・ネオリベないしグローバリズムの容認
それから、一見、反グローバリズムを主張しながら、「今回の米大統領選挙はディープステートと中共が仕掛けた前代未聞の不正選挙=クーデターである」との陰謀論?を主張する人物(例えば、馬〇〇夫)もいます。また、一覧にはありませんが、令和の政策ピボットの呼びかけ人の中にも同様の主張をする人物(林〇勝とか河〇恵〇とか)がいます。
>共通のレッテル張りをするとしたら、「自称保守、似非保守、ビジネス保守」ということになるでしょう。
保守風味、保守っぽいも追加でどうぞ~。
政市です。
私の勝手な考えになりますが、小林よしのりさんの「ゴー宣道場」と関西在住の小林よしのりさんファンが立ち上げたサイト「世界のゴー宣ファンサイト」は保守系サイトだと言えますね。
また、左派ではですが。反グローバリズム系の「ゆるねてにゅーす」は、考え方は違えど、反グローバリズム・反ネトウヨという点では、参考になる意見が多いです。
今回は以上です。
どちらも見たことがありませんが、機会があればのぞいてみます。
保守ブログとネット右翼ブログの区別と言うほどではありませんが・・、
保守とネット右翼との明確な違いは、《同じ国の仲間である日本国民を助けたい(そのついでに自分もちょっと助かれば万々歳)》と、《韓国(+反日勢力)を叩きたい》の違いではないかと思います。
誰かのために力を振るう者と、自分のために力を振るう者は、明確に違うのではないかと思います。
そういう意味では、こう言っては大変申し訳ないですが・・、以前、ご紹介いただいた反ネット右翼のtwitterの方は、あのかたはネット右翼の鏡写しに見えます・・。
ネット右翼と喧嘩しているようでは、ネット右翼とさほど差がないです。
それだけなら、彼の活躍も気晴らしにしか見えないのです。
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ネット右翼も、ネット左翼も、民衆のフラストレーションが高まったその結果、生まれてしまった産物なのではないかと思います。
これ以上の貧困、不平等、政治不信、それらがつのれば、より一層、ネット右翼もネット左翼も増えていくかと思います。
その行き着く先は、惨劇が起こったフランス革命か、もしくは全体主義のファシズムかと思います。
ネット右翼やネット左翼が救われるような社会でなければ、その結果は過去の惨劇の再来かと思います。
そしてそのための方策が、経世済民的政策かと思います。
この悪くなる社会の状況を少しでも最悪に達する前にストップをかけられるかが、今後のカギを握るのではないかとも思います。
我々は今、間違った方向(今だけ金だけ自分だけ社会)に進んでいますが、その流れをできうる限り早く修正をかけるかストップさせるかが、肝心なのではないかと思います。
時間がかかればかかるほど、修正が難しくなるかと思います。
言ってしまえば、よく、1941年の段階でどうすれば日米開戦を回避できたかとかよくテレビとかで特集組んだりで話題になりますが、私から言わせれば、仮に東条英機が紺碧の艦隊の山本五十六のように、生前の憑依をして1941年の組閣時まで遡って転生しても、開戦阻止はかなり難しかったのではないかと思います。
もっと早い段階で、最悪、日中戦争開始前の状態で当時の日本が道を変えなければ、日米の開戦阻止はかなり難しかった、もしくはかなり難易度が高かったのではないかと思います。
にっちもさっちもいかなくなった段階(1941年)で開戦阻止を動いても、かなり遅いのではないかと思います。
そして今の日本の現状(2021年)は、当時(1941年)と違ってまだギリギリにっちもさっちもいく状況なのではないかと思います。
今の時代が、今後の日本史の分かれ目、正念場なような、そんな気もします。
破滅に到達する前に、1つ1つ破滅フラグをへし折って、破滅キャンセルできるかどうかが鍵なような気がします。
(大日本帝国は、天皇のご聖断によってからくも破滅キャンセルをしましたが、今後もそう都合よく、なんども破滅キャンセルができるかどうか、そんな保証はどこにもないのです)
結局、ヤンさんや、そのヤンさんがご紹介されたようなブログのその日々の、さりげない、それでいてそのコツコツとしたその1つ1つの積み重ねが、少しずつでもその破滅フラグのキャンセルのための、そのフラグの積み重ねに、これはなっていっていくんじゃないかと、また私はそういうふうにも思います。
「愛国心の足りないなまけ者」は脇におくとして……。
>保守とネット右翼との明確な違いは、《同じ国の仲間である日本国民を助けたい(そのついでに自分もちょっと助かれば万々歳)》と、《韓国(+反日勢力)を叩きたい》の違いではないかと思います。
これ、難しいところなんですよ。
ネトウヨ本人は本気で、反日勢力を叩けば日本が助かると思っている節もあります。
私は保守とネトウヨの明確な違いは「常識があるかどうか」かなぁと。
そういえば新潮45で問題起こした小川榮太郎さんは、伝統保守主義者を自称してましたね。あの方は未だに自分の変な主張が真っ当な保守思想だと信じているのでしょうか?
>自分の変な主張が真っ当な保守思想だと信じているのでしょうか?
おそらく信じていると思いますよ。
小川榮太郎さん自身は自分を「まっとうな保守」「俺の言論が日本を救う」とか思っていたと思います。
――彼に足りなかったのは常識だと思うんですよね。
ネトウヨというのは常識がないだけじゃなくて、良識もないと思います。保守派といわれる言論人には、常識はそれなりに足りていても良識があまりない人もいます。具体的にだれかというと、保守系ジャーナリストとして名高い櫻井よしこさんです。
櫻井さんは杉田議員には肩入れしても、山口敬之さんを擁護したり伊藤詩織さんに嫌がらせしたりはしません。もちろん杉田議員の問題発言などを肯定したりもしません。その一方で、憲法観がひどかったり、TPPの問題点を無視したり、従軍慰安婦に対する見解がいつの間か180度変わっていたりします。
これは常識があっても良識がない人の成せる行いでしょう。本当にえげつない。
小林節 嘘だらけ・櫻井よしこの憲法論
http://gekkan-nippon.com/?p=8726
月刊日本
三橋貴明 櫻井よしこよ、「保守派」を名乗る勿れ
http://gekkan-nippon.com/?p=8508
月刊日本
櫻井よしこ氏は「慰安婦」を「日本軍強制説」で報じていた
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2019/04/19/news-38/
週刊金曜日オンライン
ネトウヨには見”識”がなく、したがって常”識”も良”識”も期待できないってことですね~。
真っ先に浮かんだのがパチンコ屋の倒産を応援するとかなんとかのブログですか。
橋下とか維新は批判するのにそいつらとズブズブの安倍に関しては何故そこまでっていうくらい徹底擁護でしたね。
どんな売国政策をしても、安倍さんは本当はそうしたくないが財務省がー、周りが足を引っ張るからーという典型的な安倍は悪くないを地でいくブログ。
今もせっせと桜について庇い続けてる。
こんなのが上位って世も末ですな。
ありますね、そのブログ。あれがブログランキング上位で、応援している人がたくさんいるって事実にびっくりです。