困窮して首が回らなくなり、もうどうにもならない! そんなときに頼りになるのが生活保護です。
しかし、世間では生活保護受給に必要な条件が厳しめに伝わっています。「家族から援助を受けられるなら受給できない」「持ち家では受けられない」「所得があると申請できない」など。
厚生労働省のページをソースに「こんな人でも受けられる」と、勘違いを解きほぐしていきましょう。どういった条件で生活保護を受けられるか解説します。
生活保護は国民の権利です
最初に宣言します。生活保護は国民の権利です。憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。
憲法でも書かれている通り日本では、文化的で最低限度の生活が保障されています。困窮したときに生活保護を受けるのは国民の立派な権利です。誰にはばかることもありません。
生活保護を恥ずかしいことと思わないでください。
生活保護申請から受給までの流れ
生活保護申請から受給までの流れとポイントを、大雑把にお伝えします。
生活保護の申請は誰でもできる
2020年12月下旬、厚生労働省は上記のような広告を出して生活保護を手厚くフォローしようとしています。広告にある通り、生活保護申請は国民の権利です。選挙権と同じく誰でも、どんな状況でも申請できる権利です。
生活保護の申請は、お近くの福祉事務所の生活保護担当から行えます。福祉事務所は全国に1250件あります。Googleマップなどで調べてくださいね。
一覧は福祉事務所 |厚生労働省から参照できます。
申請後の調査で受給できるかどうか決まる
申請は国民の権利ですから誰でも、どんな状況でも可能です。しかし、生活保護を受給できるかどうかは調査されます。
生活状況や資産調査を行った上で、申請した日から14日以内に回答が出ます。
回答までの生活費がない場合は「臨時特例つなぎ資金貸付」が利用できます。福祉事務所の職員の案内にしたがってください。
生活保護と水際作戦のあらまし
生活保護は長年、水際作戦が採られてきました。水際作戦とは福祉事務所で相談したときにいろいろと理由をつけて、生活保護の申請をさせない作戦です。
社会保障費の膨張を防ぐためや、国民が怠けないようにとの理由で水際作戦は行われてきました。「水際」作戦のくせに水面下で!
現在は厚生労働省が生活保護のフォローに乗り出していますので、あまり心配いりません。
対応は自治体によっても異なります。心配なら、生活保護を支援しているNPO「特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい」などにまずは相談しましょう。
NPOの職員が福祉事務所に付き添ってくれることもあります。
厚生労働省も民間支援団体を掲載しています。民間支援団体リストは「相談支援や生活保護などの生活支援のご案内」最下部のリンクからどうぞ。
生活保護受給に必要と言われる4つの条件
生活保護の受給には4つの条件をクリアする必要があります。
資産の活用
預金や生活に使用していない土地、不動産などを生活費に充てなければならないという条件です。原則的に資産のある人は生活保護を受けられません。
しかし、持ち家でも生活保護を受けられるケースや、車の所有が認められるケースも。手持ちの現金は10万円以下が生活保護を受ける条件です。
能力の活用
働ける人は働いて、できるだけ生活保護を受けないという条件です。しかし、所得が国の定める最低生活費を下回っていれば、働いている人でも生活保護を受けられます。
最低生活費の金額は自治体によって異なりますが、およそ10~13万円です。
この条件は「稼げる人は生活保護を受けられない」と考える方がフィットします。
あらゆるものの活用
生活保護以外に例えば年金を受給できる場合、年金を優先して受けて足りない分を生活保護で補うという条件です。
扶養義務者の扶養
親族などから援助を受けられる場合は、生活保護を受けられないという条件です。しかし、厚生労働省によれば同居していない親族への相談は必要ありません。
同じ世帯に住んでいる場合に適用される条件と考えましょう。
生活保護受給の障害と勘違いされている条件
厚生労働省では2020年12月下旬に「生活保護を申請したい方へ」というページをリリースしました。ページは「生活保護申請によくある誤解」と題されており、勘違いをとくことを目的としています。
この厚生労働省のページや他のソースを当たると、以下の条件でも生活保護を受けられる場合があります。
持ち家がある
持ち家があるとまず「資産の活用」に引っかかります。しかし生活の場であれば、処分しないで生活保護を受けられる可能性があります。
持ち家でローンが残っている場合「生活保護費がローンの返済に充てられる=生活保護費で資産を築く」ことになりますからNGです。
しかしローンの残額や残り年数によって生活保護が受給できることも。例外が受けられるローン残額は300万円以下とのことです。
必要な書類がない
必要書類がなくても生活保護の申請は可能です。法的に申請に必要なのは、申請者の意思だけです。福祉事務所や民間支援団体にまずは相談しましょう。
住所不定
住所不定の場合でも、最寄りの福祉事務所で生活保護の申請ができます。
無料低額宿泊所 – Wikipediaという支援制度もあります。宿泊する場所がないときに利用を検討しましょう。福祉事務所にも相談してみましょう。
親族に相談したくない
親族と世帯が別の場合、つまり一人暮らしの場合は親族への相談は必要ありません。福祉事務所で相談すると実家へ帰ることも提案されますが、実家に帰るかどうかはあなた次第です。
帰らずに生活保護を受給することもできます。
車を持っている
生活保護では車やバイクの所有が認められない場合も多いです。ところが、仕事や生活で必要な場合は例外として所有が認められるケースもあります。
借金やローンがある
借金やローンを抱えながら生活保護は受けられません。生活保護費での資産形成は認められておらず、生活保護費での借金返済もNGです。
借金やローンを抱えている場合、自己破産と生活保護を同時に進める必要があります。自己破産のための弁護士費用などは負担しなくてもいい制度があります。
詳しくは弁護士が監修した記事である「自己破産と生活保護は両立できる!費用の自己負担なしで破産できる場合も」を参照してください。
オンラインで生活保護申請書類を作成しよう
2020年12月、「フミダン」というシステムがリリースされました。フミダンは生活保護の申請書類をオンラインで作成できます。
作成した書類は福祉事務所に持参する必要がありますが、福祉事務所側に受け取らないという選択肢はありません。申請は国民の権利だからです。
もし一人で持参するのが不安なら、メールフォームから支援団体に相談できるようです。対応は都内が原則ですが、地方でもNPOを紹介してくれるそうです。
スマホからでも生活保護申請書類が作れます。印刷はコンビニのプリンターでOKですよ。
まとめ
生活保護の申請は、厚生労働省が認める通り国民の権利です。失業したり貯えが底をついたり、困窮したりした場合はすぐ生活保護を検討しましょう。
トップである厚生労働省が生活保護のフォローを手厚くしているので心配ないと思いますが、不安な場合はNPOや生活保護の支援団体を頼りましょう。
水際作戦は申請者に心理的な負担になります。付添がいれば心強いですし、心理的負担も軽減されます。
健康で文化的な最低限度の生活は「国民の権利」です。生活保護を受けることは何ら恥ずかしいことではありません。
困窮した場合はすぐに検討・相談しましょう。
>持ち家があるとまず「資産の活用」に引っかかります。しかし生活の場であれば、処分しないで生活保護を受けられる可能性があります。
確かに、持ち家でも受けられる”可能性がある”ということで、あくまでもケースバイケースだそうです。例えば、資産価値が2000万円以上の売却価値がある持ち家だったら、売却しないと受給できないと思います。
それから、生活保護受給者は、国民健康保険や後期高齢者医療保険は適用除外となります。その代わり、医療扶助として、原則、医療費がすべて支給されます。但し、差額ベッド代は自己負担となり、また、先進医療等の保険外療養費に関する医療は、原則として医療扶助は適用されません。
なお、一般的に貯蓄性の高い民間の保険、つまり、契約満期や解約時に満期保険金や解約返戻金が戻ってくるタイプの保険(医療保険、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険)は「資産」とみなされるため、受給は認められません。ただ、あくまでもケースバイケースですが、民間保険でも満期保険金や解約返戻金がなく、月々の保険料が低額のもの(例えば都道府県民共済など)は認められる可能性があります。
個人的には生活保護とは全く無縁ですが、今回のエントリーの関連で気になったことを調べてみました(ググればすぐにわかる内容ですが)。まあ、詳細は地元の市区町村に問い合わせれば確実です。
詳しく補足ありがとうございます。
専門的には「補足性の原理」(だったか?)と言うらしく、ケースによっていろいろなんですよね。
まずは民間支援団体や福祉事務所に相談してみることです。