「内閣支持率が高すぎる!」ないし「低すぎる!」と思ったことはありますか? 大事件が起きた後なのにあまり下がっていなかったり、いい政策をした直後なのにあがっていなかったり。
「世論調査が間違っているんじゃないか」と考える人もいます。でもそれ、陰謀論の入り口です。
筆者は陰謀論を否定しません。むしろ楽しむ分には好きです。しかし真面目に陰謀論を信じ込むのはおすすめしません。
どうして人々は支持率を「高すぎる!」ないし「低すぎる!」と感じるのか解説します。
内閣支持率が高い、ないし低いと思う人たち
今回の記事を書こうと思ったのは、Twitterの「#盛りすぎでしょ内閣支持率」がきっかけです。
菅政権の支持率が世論調査で50%と出ました。これに対してTwitterの一部の人たちは「高すぎる!」「こんなに高いはずがないじゃないか!」と感じて「#盛りすぎでしょ内閣支持率」というハッシュタグを掲げました。
過去にも似たような事例があります。安倍政権の支持率でんでん……失礼、云々や自民党の議席数などもそうです。自民党の議席数が支持率と乖離しているのは、選挙で不正が行われているからだそうです。
何でもムサシという集計マシーンが原因なんだとか。ここまで行くと完全に陰謀論ですよね。
閑話休題。
世論調査は間違えることがあるのか、まずは解説します。
世論調査で支持率は間違うのか
内閣支持率や政党支持率は世論調査でわかります。世論調査はメディアや新聞各社が独自、ないし共同で行います。
多くの世論調査はRDD(Random digit dialing)方式です。ランダムに電話番号を抽出し、電話で支持か不支持かを聞きます。
2010年代初頭まで世論調査は固定電話だけでした。しかし携帯電話やスマートフォンの普及により、多くの場合は半数のサンプルが携帯電話です。
一般的な世論調査では4000件に電話をかけて自動音声で支持・不支持を問い、半数の2000件から回答があるそうです。
2000件というサンプル数は少なく感じるかもしれません。しかし統計学的には十分なサンプル数です。
世論調査の誤差はせいぜい数%程度。
「ならなぜ各社で数字がこんなにも離れてるんだ!」
こんな反論がありそうですが、それは質問の仕方が異なるからです。ちょっとした質問の仕方の違いで結果は大きく異なります。
例えば重ねて聞くかどうかだけで、結果に違いが出ます。
よって世論調査や支持率は各社の傾向で判断します。
世論調査は絶対値ではなく、傾向で参照するのが正しい見方です。後者の図のようになることは多くありません。
支持率が間違っていると思い込む構造
どうして自分で感じる支持率と、メディアの支持率がズレるのでしょうか? なぜ人々はメディアの支持率が間違っていると思うのか? その構造はわりと単純です。
陰謀論を信じる人は多い
人間は性質として陰謀論を好みます。2015年にイギリスでたった5つの陰謀論についてアンケートを採ったところ、ほとんどの人が何らかの陰謀論を信じていました。
日本でもいろいろな陰謀論があります。
- 人類は月に行っていない
- 世界的な陰謀組織がある
- ロスチャイルド家が世界を動かしている
- 在日朝鮮人にメディアが乗っ取られている
- ネトウヨや左翼は誰かの指令で動いている
- アメリカはすでに宇宙人とコンタクトを取っている
- ムー大陸は存在した
筆者はムー大陸を信じています。ロマンがあるじゃないですか。1つも陰謀論を信じていない人の方が珍しいのかもしれません。
偶然より物語を人々は好む
なぜ人間は陰謀論が好きなのかと言えば、偶然の事象より物語を好むからです。何かが起きたときにそれが偶然であれ、人はその裏に誰かの意図を感じます。
裏で誰かが操作していると考えた方が納得感が出ます。
こうして展開された物語には正義の味方と悪役が出てきます。人は自分の気に入らないことを悪役のせいにします。
日本経済がダメなのはすべて竹中平蔵のせいだ! なども同類です。
ほとんどの場合、政治家やそれに近い人が悪役に選ばれます。例えば映画ジョーズの原案になった1916年の事件では、当時の大統領の支持率が事件のあった地域だけ下がったそうです。
サメは大統領のせいだ! というわけ。
そして政治は自分が誰に票を入れても――たとえ判断を間違えても責められません。失われた20年は日本国民の政治判断の間違いですが、有権者で責められた人はいません。
このように誰かのせいにして判断を間違えたところで、自分は困りません。責任も取らされません。むしろ悪役のせいにできて清々するくらいでしょう。
不都合はSNSなどで指摘されて赤っ恥をかく程度のことです。
物語としてストレスが少ないものを優先した結果、人々は陰謀論を信じるようになります。
確証バイアスがかかるようになる
陰謀論をひとたび信じると、確証バイアスがかかります。確証バイアスとは「自分が正しいと思ったことを追認する情報のみ集め、反証や批判の情報は無視ないし否認する」ことです。
自民党の議席数が支持率と比較して多すぎる! 選挙で不正が働かれているに違いない! と信じ込むと、次はその証拠集めに躍起になります。
どこそこのブログでムサシという集票集計マシーンが怪しいと書かれていた! などです。
卑近の例で言えば、トランプの勝利をなぜか信じた日本の保守層も同様です。彼らはトランプの勝利を信じるあまり、アメリカでは不正選挙が行われていたと主張します。
そしてトランプはそれと戦おうとしている! のだそうです。
最高に笑えるのは「不正選挙の証拠は何一つない」という記事を「これが不正選挙の証拠だ!」と大真面目に主張した人がいること。
日本でアメリカンジョークが聞けるとは! HAHAHA……!
トランプの件は当然、単なる陰謀論です。トランプの勝利や不正選挙を示す証拠は今のところありません。
まとめ
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」はカエサルの言葉。
2000年以上前から人間の本質は全く変わりません。
イギリスのブレグジットでEU残留派とブレグジット派の両方が同じ経済データを見て、景気判断が真っ二つに分かれたそうです。
まさに「見たいようにしかデータを見られなかった」という例でしょう。
「○○内閣の支持率は高すぎる! ないし低すぎる!」と思ったら、陰謀論を信じ込む陰謀脳に陥っていないかどうか自己チェックしてくださいね。
ネット左翼の人はそんなこと言ってるんですか・・・。
個人的には菅内閣の支持率は、こんなもんだろうなっていう印象です。
ただ、コロナ患者が今、乾燥して寒い冬にかけてどんどん増えてますから、さらに増加ペースでいけば、菅内閣の支持率ももう少し下がるでしょうね・・。
下げたくなければ、助成金を大盤振る舞いして中小企業に休業や営業時間短縮をしてもらうしかないですが・・・・、今の菅総理にはたしてそのようなことができる胆力がありますかね・・。(いやない)
そして政治の失敗はダイレクトに民衆に降りかかると・・、コロナ患者急増と景気悪化と言う形で・・・。
右も左も現実否認ばかりです(笑)
コロナ対策の保障、もっとしっかりやってほしいところですよね。