グローバル化とグローバリズムの違い、ないしグローバル化の弊害

 グローバル化とグローバリズムの違いは「現象かイデオロギーか」です。言葉にすると簡単ですよね。しかし飲み込んで消化できるかどうかは別の話。

 そこでグローバル化とグローバリズムの違いを、わかりやすく解説しました。また後半ではグローバル化とグローバリズムが引き起こした弊害の原理を解説し、果たしてこのままでいいのか考えます。

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グローバル化とは

 グローバル化はグローバリゼーションとも呼ばれます。グローバル化とは「ヒト・モノ・カネが国境を越えて行き交う様」を言います。
 現象の一種であり、2つの要因によってグローバル化は発生します。

 1つめは技術的な発達
 輸送技術の進歩やITの発達によってヒト・モノ・カネが国境を越えて行き交い、グローバル化が発生します。

 2つめは貿易協定などの条約です。自由貿易協定などを国家同士が締結することで、ヒト・モノ・カネが国境を越えて行き交います。
 例えば、EUはマーストリヒト条約を締結して域内がグローバル化しました。

 技術的な発達は止められないにしても、条約は結ばないこともできます。「グローバル化は止められない流れ」ではありません

 その証拠に第1次世界大戦前の世界はグローバル化していましたが、第2次世界大戦後には緩やかな貿易体制が構築されました。産業革命から人類は、グローバル化とその揺り戻し繰り返しています。

グローバリズムとは

 グローバル化は現象でしたが、グローバリズムはイデオロギーです。

 グローバリズム(globalism)のイズム(ism)はイデオロギーを表します。グローバルは日本語で地球ですので、グローバリズムは直訳すれば地球主義です。

 グローバリズムは「グローバル化していくべきだ」という考え方です。

 グローバリズムが「グローバル化していくべきだ」と考えるのは、人類は進歩していくという進歩主義・進歩史観に立っているからです。
 進歩主義は革新主義とも換言できます。

 同じく進歩主義を取る新古典派経済学、新自由主義とグローバリズムは相性抜群です。

 進歩主義や革新主義は現実より、理性で導かれる理を優先します。その考え方の根底には機械論が横たわっています。機械論とは唯物論と同じ哲学で、世界を演繹的に把握しようとする考え方です。
 要するに、古典力学的に社会を把握しようとする考え方が機械論や唯物論です

 じつはグローバリズムと共産主義は全く反対に見えて、どちらも機械論(唯物論)を根底としており哲学的が共通しています。
 共産主も進歩主義・革新主義の1つなので不思議ではありません。

 グローバリズムと共産主義は通底しているのです。

グローバル化とグローバリズム

 グローバル化の背景には技術的な進歩の他に、グローバリズムというイデオロギーが存在します。特に現在のグローバル化はグローバリズム抜きでは語れません。

 ではグローバル化とグローバリズムは人類を幸せにするのでしょうか? それともその弊害が人類を不幸にするのでしょうか。

資本主義とグローバル化

 現代は資本主義です。そして資本主義は本質的にグローバル化を好みます。規模の拡大という企業の本能がグローバル化を志向するためです。

 しかし資本主義+グローバル化は経済を不安定化させます。なぜなら大量の資金が国境を越えて移動し、何らかのショックで一斉に引き上げたりクラッシュしたりする事態を招くからです。
 例えるなら金融の焼き畑農業というイメージです。

 2008年のリーマンショックは不安定化の代表例です。サブプライムローンという貧困層への住宅ローンをいじって、金融工学でさも安全そうに見せかけました。
 そうして世界中の資金がサブプライムローンやCDSに集中して、膨れ上がりました。

 しかし貧困層への住宅ローンがクラッシュしないわけがありません。こうしてリーマンショックは引き起こされました。
 他にも、グローバル化が進むほど金融危機が頻発するという研究もあります。

 グローバル化は資本主義を不安定化するのです。

自由競争とグローバル化

 グローバル化はヒト・モノ・カネの移動と自由競争を発生させます。そうして賃金の下落圧力と格差拡大が生じます

 国境を越えた自由競争は賃金の安さを競う、貧困への競争を生み出します。人件費の安い地域に大企業は投資し、工場を建てます。したがって大企業を呼び込もうと各国は人件費を抑制します。

 実際にアメリカや日本では中間層が脱落し、低所得層と成り果てています。EUの勝ち組であるドイツでは意図的に賃金上昇を抑制しています。

 また自由競争は換言すれば弱肉強食です。常に強者である大資本が勝ちます。したがって自由競争下では格差が拡大します。

 グローバル化は貧困への競争と格差拡大を招くのです。

グローバル化は人類を幸福にするか?

 グローバリズムはグローバル化が人類を幸福にすると言いました。グローバル化は避けられない流れであり、グローバル化を推し進めることで豊かになれると主張したのです。

 自由競争の下で効率化・最適化して、安い製品やサービスが消費者利益と福利を最大化するはずでした。

 しかし現実は消費者=労働者です。1980年以降のグローバル化を推し進めた世界では経済成長率が鈍化し、2010年代には世界中がデフレ化しました。いわゆる長期停滞です。
 これは労働者の所得が伸びずに、消費者としての需要が減ったためです。

 格差は1980年代以降、拡大の一途です。富裕層はますます富み、低所得層の賃金が上がる気配はありません。

 グローバル化とグローバリズムは人類を幸福にしませんでした。むしろ弊害ばかり目立つのが現状です。

 どうしてこんな結果になったのか? グローバリズムという合理性が導き出した答えが、現実にそぐわなかったからです。

まとめ

 技術的なグローバル化は仕方のない話としても、貿易協定などの条約は政治の話です。政治の話である以上、民主主義国家では国民に選択肢があるはずです。

 グローバル化はその弊害が目立ち、人類を幸福にしなかったと結論づけていい段階でしょう。
 日本も日本ファーストに舵を切り、グローバリズムとは手を切るべきだと思います。

 日本はこれからどうしていくのか。選ぶのは国民自身です。

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2 Comments
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Muse
1 月 前

>グローバリズムと共産主義は通底しているのです。

それから、両者はいずれも広い意味での「一部の少数者による多数者支配」をもたらすという点で共通しています。後者は言うまでもなく、一握りの共産党指導者による専制体制を通じた多数者=人民からの搾取と支配の構造。旧ソ連や旧東欧諸国、中国が典型。

前者はグローバル=多国籍巨大資本による野放図な自由競争を通じた格差拡大と大多数の国民の貧困化→巨大資本による低所得層からの搾取と経済的支配の構造。