デフレスパイラルとは?誰にでもわかりやすく解説

 報道でデフレという単語を、最近はあまり見ません。しかし日本は今でもデフレギリギリにいます。
 デフレスパイラルに再び陥る可能性は低くありません。

「ところで、デフレとかデフレスパイラルってなんだっけ……? 久しぶりに聞いたから忘れてるかも」

 そんな人のために今回の記事では、わかりやすく簡単にデフレとデフレスパイラルを解説します。

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デフレスパイラルとは

 デフレスパイラルの意味や、デフレスパイラルを断ち切るために必要な政策をまずは解説。

デフレスパイラルの意味

 デフレスパイラルとはデフレ+スパイラルの2つの単語から成り立ちます。
 デフレは物価下落・貨幣価値上昇を指します。スパイラルは循環という意味です。

 デフレスパイラルは日本語で「物価下落の悪循環」と言えます。

 物価の下落は、同時に貨幣価値の上昇です。
 今まで100円で1つのパンが買えていたのが、100円で2つのパンが買えるようになると「パンの物価が50円に下落した」とも「100円の価値がパン2つ分に上昇した」とも言えますよね。

 デフレになると貨幣価値が上昇するため、企業は借金ししてまで投資しようとしなくなります。むしろ借金の価値が上がるため、早く返済しようとします。
 待っていれば物価が下落するため、消費や投資も先延ばしされる傾向にあります。

 したがって需要は減少し、不景気を引き起こします。

デフレスパイラルが継続すると?

 デフレスパイラルが継続すると消費、投資ともに落ち込みます。消費や投資が落ち込むと需要が減少し、企業は売り上げが落ちます。

 売り上げの落ちた企業は黒字を出すため、コストカットに走ります。コストカットでさらに需要が減少し、売り上げが減少するという悪循環がデフレスパイラルです。
 このとき、もっともコストカットされるのが人件費です。

 通常の不景気は自律的に回復しますが、デフレスパイラルは民間の自立回復は困難です。

 デフレスパイラルが継続するとさらに設備投資や人材投資、開発投資も減らされます。設備は老朽化し、人材からノウハウが失われ、イノベーションの機会を逸します。
 デフレスパイラルは最終的に供給力を毀損していきます。

デフレスパイラルを断ち切るには?

 民間が自律的にデフレスパイラルから抜け出すことはできません。なぜなら需要減少となるコストカットを企業や個人が繰り返すからです。

 デフレスパイラルを抜け出すには需要増加が必要です。しかしデフレ状況でのコストカットは、企業や個人にとって合理的な行動です。
 デフレ下で企業や個人が合理的に動いた結果、需要が減少してさらにデフレが悪化します。
 これを合成の誤謬と言います

 合成の誤謬が起きるため、民間だけでデフレを脱却するのは不可能です。よって政府が支出を増やして消費や投資を増大させ、デフレスパイラルを断ち切らなければなりません。

日本のデフレスパイラルは1997年から起きた

 日本のデフレは1997年に端を発します。
 1991年のバブル崩壊で日本はディスインフレーションに入ります。ディスインフレーションとは高インフレから抜け出し、しかしデフレにはなっていない状況です。

 1997年に消費増税、歳出削減などの緊縮財政によりデフレに突入しました。また同時期にアジア通貨危機、日本の金融危機も重なります。

 2001年に政府は公式に、緩やかなデフレであることを認めます。
 2006年にデフレ傾向がやや緩和したものの、2008年のリーマンショックで再びデフレスパイラルに陥ります。

 2009年にも政府は、日本は緩やかなデフレ状況と認定します。
 2019年にようやく「デフレではない状況」と政府は答弁しましたが、同時に「脱却には至っていない」とも答弁。

 通常「脱却に至っていない」ならデフレです。とすれば日本は1997年から2019年まで、20年以上にわたりデフレスパイラルに陥っていることになります。

デフレスパイラルのメカニズムと原因

 デフレスパイラルのメカニズムは至って単純です。需要<供給の状態で企業は売り上げが上がらずコストカット、個人は所得が減少して節約します。
 そうしてますます需要<<供給となり売り上げや所得が下がります。

 また所得は物価以上のスピードで下落します。

 投資も減少しますから、実体経済に引きずられて資産価格も下落していきます。また経済の成長に必要なイノベーションの機会も、投資機会の減少で失われます。

 これがデフレスパイラルのメカニズムです。

 デフレスパイラルが起こる原因は、ほとんどの場合は金融危機か緊縮財政です。

 リーマンショックやアジア通貨危機、バブル崩壊などの金融危機は実体経済にもダメージを与えます。現在の世界的な長期停滞もリーマンショックが引き金でした。

 加えて日本の場合、過度な緊縮財政も原因です。1997年の消費増税や緊縮財政はデフレの発端です。その後も日本は緊縮財政を継続しており、同時にデフレスパイラルも継続しています。
 緊縮財政を続ける限り、日本はまたデフレスパイラルに陥るでしょう。

まとめ

 デフレスパイラルは百害あって一利なし。そして20年以上にわたりデフレスパイラルから抜け出せない国家は、世界中で日本しかありません

 デフレスパイラルから抜け出せないのは、経済政策が間違っているからです。緊縮財政を続けたことでデフレが継続しました。

 不確実性が高まる世界でデフレは、人々の生活を脅かしさらに不確実性を高めます。デフレスパイラルを断ち切るためには、政府の財政出動しか方法はありません。

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