民主主義とナショナリズムの関係性を理解したいと考えたとき、わかりやすく教えてくれる記事の少なさときたらっ!
どの記事も難しい言い回し、厳密な定義をしていてまるで論文です。
そこで中学生にでもわかるように、民主主義とナショナリズムの関係性を解説しました。民主主義とナショナリズムの関係を理解するポイントは「自分たち」と「他者」です。
2000文字という短さでまとめましたので、さらっと読めますよ。
ナショナリズムとは
日本ではナショナリズム=危険なものというイメージがつきまといます。しかしこれは不当におとしめられたイメージに過ぎません。
民主主義としばしば一緒に語られるナショナリズムとは何でしょうか。
ナショナリズムの語源「ネイション」
ナショナリズムの語源はネイションで、英語ではnationと書きます。日本語に翻訳すれば国民国家や民族のことを指します。共同体と意訳することも可能です。
ネイションは日本人のイメージでは社会を指します。
人間とは社会的生物です。人間は一人では生きていけません。
そして社会の最小単位は家族です。先に家族が存在し、その後にあなたという個人が生まれます。社会なくしてあなたという個人は存在しません。
すなわち個人より先、ないし同時に社会は生まれます。
社会を形成するために必要なものは「言語」「仁」「シンボル」の3つです。言語は共通の言葉、仁は愛情や慈愛、仁愛などの感情です。シンボルは名前や旗、紋章など。
社会が形成されると「自分たち」と、違う社会の「他者」が区別されます。
「自分たち家族」「自分たちの親族」が小さな社会と言えます。大きな社会は「自分たちの地域」「自分たちの県」「自分たちの国家」です。
これらの「ネイション=自分たちの社会」を重視するのがナショナリズムです。
国家主義とは悪い言葉か?
ナショナリズムはしばしば国家主義と翻訳され、日本ではイメージがよくありません。国家主義=全体主義という印象で語られます。
しかし国家とは字の通り「国という家」です。国家とは一つの社会であり、家族や親族の延長線上に存在します。
そもそも全体主義の発生は思考停止が原因です。ナショナリズムや国家主義と結びつくこともありますが、新自由主義や民主主義と結合することだってあり得ます。
決して国家主義=全体主義ではありません。
民主主義とは
ここでは、ナショナリズムに関連する民主主義のポイントだけ取り上げます。
民主主義とは国民主権が原則です。国民主権とは要するに「自分たちで自分たちを統治する」ということ。
自分たちの代議士を選び、議会を通して立法し、国家を運営していく。それが民主主義です。
とすれば「自分たち」と「他者」の境界線が必要です。
民主主義とナショナリズム
大分、核心に迫っています。民主主義とナショナリズムのポイントは「自分たち」をどう規定するかです。
民主主義とネイションは密接不可分
民主主義とは「自分たちで自分たちを統治する政治形態」です。ではその「自分たち」と「他者」はどのように区別するのか?
属している社会が同じかどうかで区別されます。つまりネイションが同じか、それとも異なるかによってです。
ナショナリズムがないと「自分たちと他者」の区別が付かず、民主主義は成り立ちません。
さらに自分たちの社会の成員であるという事実は、利害の不一致による衝突を緩和します。あなたが家族にプリンを食べられても「しゃーないなぁ……ほんまにもう!」と怒りながら許すのと一緒です。
民主主義は最終的に多数決で決まります。利害が一致しなくても少数が多数に従うのは、上記のような社会の成員としての性質です。
文化祭で自分がやりたい出し物じゃなくても、クラスに協力するのと一緒です。
このように民主主義とナショナリズムは密接不可分な関係にあります。
民主主義とはナショナリズムなしで成り立たない
民主主義はナショナリズムなしでは成り立ちません。前提条件である「自分たち」を規定するのがナショナリズムだからです。
これは冷静な議論をすれば誰でも理解できます。しかし日本ではナショナリズムが不当におとしめられています。
ナショナリズムを否定したいなら、思考実験で「原子論的個人で民主主義が成り立つか」と考えてみてください。
社会契約説はそのように考えましたが、現実に即していません。理論的に成り立つかどうかはともあれ、現実的に民主主義はナショナリズムを必要としています。
まとめ
- ネイション=日本人的には社会のイメージ
- 人間は社会的生物であり、社会の最小単位は家族
- ネイションとは「自分たち」
- 民主主義とは「自分たちで自分たちを統治する政治形態」
- 自分たちを規定するナショナリズムがないと、民主主義は成り立たない
上記が簡単な今回の記事のまとめです。民主主義への深い理解は、正しく民主主義を運営していく第一歩ですよ。
>ナショナリズムはしばしば国家主義と翻訳され、日本ではイメージがよくありません。国家主義=全体主義という印象で語られます。
ナショナリズムという用語は、Wikiにも書かれているように、国家主義、国民主義、国粋主義、民族主義等の様々な訳語で表わされる多義的な用語です。本稿では、健全な民主政を成り立たせるための不可欠な要素である、国民同士の連帯意識、同朋意識という意味で使っているので、「国民主義」と呼ぶのが一番ふさわしいですが、あまり一般的ではない。それでも、国家(正確には日本国家)をひたすら敵視してきた戦後左翼の連中にも受け入れられる適切な用語だと思います。
ネイション+ismですから受け入れてもらわんと困りますよね。