最初に結論で申し訳ありませんが、日本の財政赤字は問題ない――1mmの問題すらありません。
どうして問題がないのにこんなに騒がれているのか? 不思議ですよね。
日本の財政赤字に問題がない理由を解説しつつ、問題ないものを問題のように見せかける手口を教えます。
最終的な結論は「まんじゅう怖い」……じゃなくて「幽霊の正体見たり枯れ尾花」です。
なぜ財政赤字が問題と思うのか
世間一般的になぜ財政赤字は問題だと思われているのでしょうか。一般論で言えば4つの理由があるように思われます。
マスメディアが問題だと報道しているから
新聞やテレビは日本の財政赤字を報道するときに、必ず「国民1人あたり○百万円の国の借金」と言います。
財政学や経済学に詳しい国民など一握りですから、多くの人が「やっぱり財政赤字は問題なんだ!」と考えてしまいます。
人から言われることで問題だと思ってしまうこと、ありますよね。
赤字額が大きくて不安になるから
メディアの報道で強調されるのは「日本の財政赤字額がどれだけ巨大か」です。「国民1人あたり○百万円」や「対GDP比で200%以上の財政赤字」などの表現もその一つです。
しかし数字が大きいだけで不安になるのは、例えば100階建てのビルは危険だ! と言い張るようなものです。
高層ビルは法律で定められた耐震性や耐久性を備えており、もちろん安全です。しかし目もくらむような高さに、危険だと思う気持ちも理解できます。
同じことが日本の財政赤字問題でも起こっています。
借金は返さないといけないから
財政赤字が問題だとする意見の中で、一番ポピュラーなのが「借金は返さないといけない」という観念論です。
一般的な借金とは「利子だけ払っていれば、いつまでも借り続けられるもの」です。なぜならそっちの方が貸した方が得するからです。
返さなければいけないというのは「借りた人が損しないための観念論」でしかありません。
しかし財政赤字についても「借金は返さないといけない」との観念論は強力に蔓延っています。
インフレになるから
一般的には「財政赤字でインフレになる! だから財政赤字は問題だ!」と主張する人はいません。基本的に「インフレになる!」と連呼して反論するのは、経済学に少し詳しい人です。
デフレで悩んでいるときにインフレの心配をするのは、食が細くて悩んでいるときに太る心配をするようなものです。
本当は日本の財政赤字は問題ない
日本の財政赤字はタイトルの通り全く問題ないです。これは現代貨幣理論でほとんど証明されており、単なる事実として「問題ない」のです。
その理由をわかりやすく解説します。
自国通貨建て国債だから
「巨額の借金を返さないといけない!」との議論は、日本の財政赤字では成り立ちません。
日本の財政赤字、国債はすべて自国通貨建てです。つまり円で発行されています。
通貨発行権は政府が所持しており、その気になればいつでも国債をゼロにすることができます。ただし国債をゼロにすると問題が起きるのでしないだけです。
例えば国債をゼロにすると、資金の運用先がなくなって銀行が困ります。他にも「誰かの負債=誰かの資産」ですから「政府の負債ゼロ=民間の資産がすごく目減りする」ことになります。
ざっと1000兆円の資産が日本から消えます。
自国通貨建て国債はいつでもゼロにできますが、ゼロにすると多くの問題が起きますから現実的ではありません。逆説的に、この事実は「日本政府が財政赤字を抱えてくれないと問題になる」ことを示しています。
つまりは「日本政府の財政赤字は問題ない」のです。
クラウディングアウトが起きないから
「財政赤字が行き過ぎるとクラウディングアウトが起こって、インフレになる!」と、経済学者は日本の財政赤字を問題視します。
クラウディングアウトとは「100あるお金のうち90を国が借りてしまったら、民間に10しか貸し出せなくなるので金利が上がってインフレなる」ことです。
クラウディングアウトは「お金は有限だ」という前提で考えられています。しかし最新の知見によれば「お金は借金することで生まれる」とわかりました。
つまり「現在100のお金がある。国が90の借金をしたのでお金の総量は190になった。国の借金は民間の借金を妨げない。したがって金利は上がらず、長期金利からインフレは起きない」となります。
もっと簡単に言えば「クラウディングアウトなど想像の産物でしかなかった」です。
突然のハイパーインフレの心配がないから
「国の借金が膨れ上がるとハイパーインフレになる!」と主張する経済学者もいます。
インフレとは需要>供給の状態です。食料品や衣類、日用品、外食などの需要が急増する、ないし供給が急減することはなかなか考えられません。
あるとすれば戦争で焼け野原にされて供給力が急減した、太平洋戦争のような状態でしょうか。
したがってハイパーインフレの言い訳、もとい根拠には食料品などの実物経済ではなく、長期金利などの金融経済が使われます。
つまり「クラウディングアウトで長期金利が急騰し――」です。
しかしクラウディングアウトは起きません。したがって突然のハイパーインフレも起きません。
このように財政赤字には何の問題もないのです。
問題ないものを問題に見せかける手口
ここまで、財政赤字には何の問題もないことを明らかにしてきました。ではどうして「財政赤字は問題がある」と思い込まされているのでしょうか。
問題ないものを問題に見せかける手口について解説します。
根拠がなくても問題視する
問題がないものを問題だと思い込ませるには「とにかく問題なんだ!」と騒ぎ立てることです。
日本人はロジカルシンキングが苦手と言われています。「問題だ!」と騒いでいる人がいたら「問題なのかもしれないなぁ……あれだけ騒いでいるのだし」と考える人だっているでしょう。
例えば芸能人の不倫問題です。あれってどう見ても「家族の問題」であって、芸能人が世間に謝罪する理由って何一つありませんよね。せいぜい起用されたCM企業への謝罪が必要なくらいです。
でもみんなが騒ぎ立てることで「問題だ!」となり、なぜか世間に謝罪させられます。同じ構図が財政赤字にも見え隠れします。
異なるものを、さも同じように扱って危険視する
国家の財政赤字と企業の財政赤字は全く性質が異なります。国家は通貨発行権を持っており、企業は通貨発行権がないからです。
例えれば「家族の中でポーカーをしてこさえた借金」と「サラ金から借金してパチンコで負けた」くらいの違いがあります。
どっちがヤバくてどっちが大丈夫か、子供でもわかる話です。
この二つを「同じ借金」として論じたらバカにされますよね。しかし日本の財政赤字に関しては、なぜか多くの人が真に受けています。
とにかく危険だと言い続ける
とにかく危険だと繰り返せば「そんなものか……?」と思う人は増えます。いわゆる印象操作です。
幽霊だっていると思えば怖くなりますし、危険だと考えますよね? 怖い、怖いと思い続ければどんなものだって危険に見えてくるものです。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というわけ。
「財政赤字が問題だ! 危険だ!」という言説もその正体は枯れ尾花。財政赤字には一つも問題ないのでした。
まとめ
- 日本の財政赤字問題は「みんなが怖いと言っているから怖い」
- しっかりと学術的に考えると財政赤字に何の問題もない
- 問題ないものを問題と見せかける手口は「問題だ」と言い続けること
日本は全く問題のない財政赤字を問題だと認識し、緊縮財政を続けてきました。経済的な理由による自殺者は年間に少なくとも5000人以上、その多くは緊縮財政の被害者と言えます。
失われた20年と言われていますから、少なくとも10万人が緊縮財政の被害者としてなくなったとすら考えられます。
財政赤字というありもしない問題を、「そんな問題はない」としっかり認識しなければなりません。
財政赤字の真実については以下の記事をどうぞ。
お邪魔致しますです。
>一般的な借金とは「利子だけ払っていれば、いつまでも借り続けられるもの」です。なぜならそっちの方が貸した方が得するからです。
おいらは、借金のサラブレッドなので当たり前って思ってたです。
土地だけを担保にしてる場合は、競売なりでなんとかなるので取りっぱぐれは希です。支払いが苦しくなったら、元金の返済を止めて金利だけを払うってやり方もあります。(建物込みの担保なら、担保価値の下落もあるから、難しくなるです)
『借金=ローン』って誤解があるんじゃないか?って感じたです。
自動車のローンだと、自動車が担保となるです。払えなくなったら自動車を取り上げる事になるです。自動車の価値の目減りに見合う、元金部分の返済と残金の金利を払ってもらわないとです。
住宅ローンも建物に対して、同様の考え方になるです。
あとは、払うことは『返済』ってなっちゃうのかもです。
厳密に言えば、ローンも返済と金利の支払いを合わせたものが『月々のお支払』です。金利だけ支払えばいいって借り方をしたことが無いとか、意識したことが無いのかもです。
>『借金=ローン』って誤解があるんじゃないか?って感じたです。
これはあり得る話ですね。
後はどうも日本人は借金を毛嫌いしすぎる性質があるのではないか……と。この辺は追々、違う記事に書くかもしれません。